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メタモルフォーゼス  作者: 新町 東
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第19話『くそぉ……騙された!!』

第19話『くそぉ……騙された!!』


 翌日になると例の件は学校中に、正確には一年生を中心に広まった。


 当事者である俺もクラスメイトから色々聞かれた。


 大抵は『何考えてんだ?』とか『本気か?』と言った声であったが、何気に一番多かったのは何故智樹も一枚噛んでいるのかというものだった。


 そりゃ、Dランクの智樹は魔法を使う事が出来ない為に参加した所で戦力にはとてもじゃないがカウントできない訳だが俺が、


「暫定的な人数合わせと生徒会のパシリ役にしているだけだ」


 と説明した所大体が納得してくれたにも関わらず、


「一応言っておくが俺もDランクだから戦力にはならんぞ?」


 と言う俺の言葉は『生徒会のアドバイザー』という意味に変わってしまっていた。


 すまんな、智樹。


 一応、質問された際に募集中である旨と良さそうな人物がいたら教えて欲しいという事を伝えておいた。




 放課後、生徒会室に向かった俺たち二人は生徒会室に入った所、


「ん?」


 知らない生徒が座っていた。


「あ、こんにちは」


 その生徒はこちらに気が付くと柔和な笑みを浮かべて挨拶をして来た。


 朱色の髪に赤い瞳。その上から黒縁のメガネを掛け、小動物を思わせるような外見なその生徒に対し、


「どうもこんにちは!!」


 俺の悪友の反射神経が光速を超越した。


「初めまして。俺、広田智樹って言います、お名前を聞いても?」


「え……あ、はい。間仲樹って言います」


「実に素晴らしいお名前だ!! 名は体を表すとは正にこの事か!!」


 変態のテンションが有頂天であるが、ここで俺はそれに気が付く。


「おい、智樹」


「何だ和俊、今良い所なんだ。邪魔しないでくれ」


「その人、男じゃないか?」


「え?」


 どうやら変態さんは顔にのみ目線が飛んで行ってしまったようで、彼が着ている制服が俺たちの物と同じだったことに気が付かなかったようだ。


「……」


「うぅ……」


 智樹はじっくりと品定めするようにその視線をつま先、足、腰、腹部、胸、顔と映していく。


 その視線が余りにもアレだったのか、引きながら涙目になっている間仲少年。


「くそぉ……騙された!!」


「いや、誰もおまえの事なんか騙して無いから、勝手に勘違いしただけだから」


 そうは言いつつも、俺も一瞬女子かと思ってしまったのは秘密にしておこう。


 隣で拳を床に叩きつけながら血涙を流す智樹を尻目に、


「間仲くんでいいんだよね? 俺は平賀和俊。よろしく」


「こちらこそよろしくお願いします」


 お互いに簡単な挨拶を終えた所で、城之崎先輩と柄巻先輩の二人が来た。


 そして間仲くんの方を見ると、


「よかった、来てくれたのね」


「はい、城之崎先輩に言われた通り生徒会室で待たせて貰っていたんですが本当に良かったんですか?」


「ええ、私も佳澄も用事があって遅れるって分かってたのに折角来てくれた新メンバーを廊下に立たせたままってあんまりじゃない?」


 城之崎先輩のもっともな意見。


「となると現在二人だから後三人か」


 智樹による人数合わせはあくまで最終手段の為ここでは人数にカウントはしない。


「そんじゃ、今日も張り切って勧誘に行きますか!!」


「おう、行って来い」


 そう言い残して智樹は旅立った。


「そうだ、間仲くんに一応聞いておきたいんだけど、どうして参加しようと思ったの?」


 その城之崎先輩の言葉に、


「僕は昔から平凡な生き方しか出来ない自分を変えたかったからです」


 強い意志を持った目で答える。


 確かに俺たちがやろうとしているのは平凡や一般的、常識なんて綺麗な言葉からは離れている。


「なるほどね。良いと思うわ」


「ええ、強い意志を持った人とであれば心強いです」


 そんな励ましの言葉を掛ける。


「それじゃあ早速だけど、間仲くんの魔法を見せてくれるか?」


「はいっ!! 変身」


 間仲くんの右手の上で作られたのは髪と同じ朱色のメタモルフォーゼス。そして光がその体を包み込んだ。


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