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メタモルフォーゼス  作者: 新町 東
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第15話『本当に……本当にそっくりなんですよ』

第15話『本当に……本当にそっくりなんですよ』


「城之崎先輩は判っているんですか?自分が今しようとしている事を。町の人も守れず、お兄さんも救ってはくれなかった。その癖事実上Cランクは魔法師に成れないなんて威張ってる協会側に対して貴女は幻滅していてもおかしくは無い」


「そうね……」


「魔法師を良く思っていなくてもおかしくは無いし、何だったら友人である柄巻先輩の魔法師志望を聞いたらそれを辞めさせようとしても変じゃない」


「……」


「それでも城之崎先輩、貴女が友達の……柄巻先輩の夢を叶えてあげたいと思うのはきっと」


 一呼吸置く、それから告げる。


「城之崎先輩、貴女は柄巻先輩にお兄さんの面影を重ねているんじゃないですか?」


「!?」


 柄巻先輩の顔がハッとしたものになる。


「お兄さんと同じ魔法師を志し、同じCランクで、そして同じ様に諦めずに努力を重ね続けるその姿が……」


「…………」


「お兄さんにそっくりだった。だから放っては置けなかった。そうじゃないんですか」


「そうか、そういう事だったんですね」


 胸のつっかえが取れ、安堵の表情を浮かべる城之崎先輩。


 目を瞑れば瞼の裏に映るのはあの光景。


『絶対に魔法師に成るからな!!』


 そう笑顔で毎日言っていた兄。


 中学時代、兄の死を引きづっていて沈んでいた私と友達になって、その出来事を聞いた時に、


『そうですか。なら加奈子、貴女に誓いましょう。私が今度こそ、人々を守れる魔法師に成ります』


 そう言って優しく手を取ってくれた佳澄。


 そして二人とも自分がCランクである事を知った時に放った言葉。


『Cランクだろうと絶対に諦めないからな!!だって……』


『加奈子、貴女に誓いました。人々を守れる魔法師に成ると。だから私は諦めませんだって……』


『『約束したからな(しましたから)!!』』




「本当に……本当にそっくりなんですよ」


 城之崎先輩の頬を涙が伝う。


「魔法師に成りたい。それが例えCランクだったとしても、無茶で無謀な事であったとしても、決して諦めない所が……だから!!」


「加奈子……」


「……城之崎先輩の考えは判りました。では少々訂正してもいいですか?」


「訂正?一体何を……」


「エスターテ杯についてです」


 俺は呼吸を整え、


「先程は見習いとして生徒会活動には参加しますが、エスターテ杯には出ないと言いました。参加しないのは変わりません。ですがアドバイスぐらいであれば俺からも協力させて貰います」


 その声に対し、柄巻先輩は軽く手を挙げて、


「しかし先程は参加しないと言っていたのにも関わらず、どうして手の平を返す様な事を?」


 その問いに対し俺は、


「簡単な事ですよ、そりゃ…………」




「で、結局こうなったと?」


「こうなってしまいましたよ……ハァ」


 あの後簡単に今後の方針を説明し、その日は解散となった。


 智樹には先に帰ってろと伝えたはずなのに何故か教室に残っていた。


 本人曰く事情を聴きたかったからだそうだ。


 確かに朝、柄巻先輩が接触して来た時、智樹も一緒だった為にその事を耳に入れてしまっている。


 まぁ、気になるのも致し方ないと思った俺は下校中に簡単に説明したのだ。


「それで、これからどうするんだ?」


「そうだな、まずはどれだけエスターテ杯に出たくても人数が足りないんじゃ意味がない。だから当面はメンバー集めだな」


「ふと思ったんだが、今の生徒会に二・三年生がいないのはこれを知っていたからって事だよな」


「ああ、だから上級生には期待は持てない。だから狙うのは一年。そんでもってCランクの魔法持ちのみ」


「Cランクのみ?それじゃあ勝てないだろ?」


 智樹が顔を傾け?を浮かべる。


「確かに戦いは厳しいものになる。相手は魔法師に成る為に毎日血反吐を吐きながら努力している奴らの中でも特にヤバイ連中。それが魔法師専門校の生徒会ってやつだ」


「だったら尚更高ランクの人間を集めるべきじゃないのか?」


「いいか、この戦いは勝つことも大事だが根底にあるのは別の事なんだ。それはCランクをアピールすることにある」


「なるほど、高ランク、ましてやSランクの城之崎先輩が勝った所で結局『努力せずともSランクなら勝てる』と思わせるのはマズイってことか」


「そうゆうことだ。俺達がアピールしたいのはあくまでCランクであって普通校所属のSランクじゃあ無い。だからさっき城之崎先輩には出ないで欲しいと言う旨を伝えておいた」


 これは解散する前に幾つか今後の方針を説明した際に説明した一つだ。


 城之崎先輩は納得してくれた反面、人が集まるか心配していた。


「でもそれじゃ、今現在一人だけって事だよな?」


「参加するには合計五人、出来れば補欠も欲しい所だがそこまで欲は出せない。」


「あと四人ってことか、大変だな……」


「そこでだ、智樹おまえにだけしか頼めない事がある」


「俺にしか?」


 キョトンとする智樹に俺は真剣な表情でそれを伝える。


「もしも人数が足りなかったら、おまえが出てくれ」


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