8 いざ青龍に出発!
こうして、俺たちは四部族の地域の内の一つ『青龍』に向かうことになった。なぜ青龍が最初かというと青龍地域の人たちは基本的に仁義に厚く、色々世話になった先代魔王に恩を感じている人も少なくないとか。先代魔王のことはよくわからないし、俺が口を出すことではないので素直に了承をしておいた。
「そんな訳でさっそく出発するか。」
「はぁ、だるいなぁ。」
「・・・やっぱり留守番してていい・・・?」
「おまえらなぁ・・・」
そう、俺はとっくに行く準備を終えたというのにこいつらが直前になってだらけだしたのだ。
「だって歩いて行くんだろ?」
「だろうな、俺は場所がわからないから案内してくれよ。」
「青龍つったら山じゃん、遠いんだよなぁ。」
「・・・インドアな私には少し厳しい・・・」
「と言っても任務なんだから全うしてくれよ。」
「はぁ、しゃあない。そろそろやる気出さないとな。」
「・・・だね・・・」
やっと出発か、これは先が思いやられるな。出発するたびにこの調子じゃどうにもならないからな。よし、それじゃあ出発!
「ま、まだ到着しないのか・・・」
「こんなんでバテてるんじゃこっからもっと大変だぞ?」
「・・・この人、私より体力無い・・・」
仕方ねーだろ、こちとらニート歴6年だぞ。ろくに家出てない奴に山登りの体力を期待するな。
「ココからあとどれくらいだ?」
「うーん、どうしても一泊・・・というか野営しなきゃいけない距離だな。」
「・・・今夜は何もしない・・・」
「こんなバテてる時にそんなことされたら死ぬわ!」
そんなにかかるのか、意外と距離があるんだな。そもそも、移動手段があって地域巡りを提案されたのかと思ってた。まさか、歩きとは。途中で気づいてたけど。
「今何時くらいだ?」
「大体昼ごろだな。そろそろ昼食にする?」
「・・・おなかへった・・・」
驚くことにこの世界には時間という概念があり、元の世界と同じく数字によって区分けされている。それに伴い、朝・昼・晩もあるらしい。なんというか随分都合良く作られている気がする。
「もう少ししたら奥に見晴らしのいい原っぱがあるからさ。そこまでがんばろうぜ。」
そう言って俺を元気付けてくれるリーラン。アネさんと呼ばせてもらいたいぐらいかっこいい。
「よし、がんばるか。」
急な斜面を登っていき、そこを越えたところにはさっき言った言葉どおり見晴らしのいい場所があった。そこは日当たりもよく、小さい雑草が群生しており正に原っぱといった感じだった。
「ついたか~。ここは日当たりも良くて飯を食うには最適なんだよな。休憩もかねてここで食っていくか。」
「確かに昼寝の一つでもしたくなるような所だな。日光が気持ちいい。」
「・・・暑いかも・・・」
「日陰行けよ。」
ここで食うのはいいんだが肝心の飯はどこにあるんだ?誰も持ってる雰囲気無いし。
「リーラン、ところで昼食は?」
「え?セルロは持ってないのか?」
「・・・魔導書しか持ってきてない・・・」
「う、嘘だろ?飯があるから俺はここまで頑張れたんだぞ?」
「あー・・・じゃあ昼休憩なしで。そのまま向かおう。」
「・・・私は別にいいけど・・・」
マジかよアネさん!飯抜きとかマジきつくないっすか!俺の腹とかとっくに限界きてるんすけど!
「ほらトシユキ様、早く行かないと置いてくぞ。」
「マジキビいっすよ・・・」
「・・・早く行けば早くご飯食べれるよ・・・?」
そう言われちゃぐうの音も出ない。仕方ない、少しでも多く進もうか。
とうとう辺りが暗くなってきた。茂みからガサガサ音がするし、なにかが這いずる音までする。
「そろそろテント張らないと。」
「暗くなってきたし野営の準備をし始めないと間に合わないかも知れないしな。」
「・・・頑張ってね・・・」
え、こいつ手伝わない気か。いくら見た目かわいくて小さくても、こればっかりは男女平等だ。しっかり手伝ってもらう。
「お前も手伝わないと中に入れないぞ。」
さすがアネさん!俺に言えないことを平然と言ってのけるぅ!そこに(ry
「・・・仕方ない・・・」
よし、三人がかりならそう時間はかからないだろう。ちゃっちゃと作って寝よう、疲れた。
意外と作ってみると簡単だった。骨組みを組み立てて布を被せるだけなので当たり前だが。
「じゃあ順番で見張り頼むね、最初は私がいくから。」
「え、なんで?」
「なんでって、魔獣が出るからだよ。」
「それって人襲う?」
「もちろん。」
マジかよ・・・ここに来てそんな危険があるのか。中央区を都市だと考えればここは田舎みたいなもんだからな。熊的な感じで出るのかもしれないな。
「とりあえず、来たら教える。二人は中で寝てな、疲れてるだろ。」
「ああ、ありがとう。」
「・・・わかった・・・」
俺とセルロの二人でテントの中に入ることになった。寝袋的な何かと本が一冊置いてあった。
「これが魔導書ってやつか。」
「・・・うん・・・」
「意外と重いな。これって何に使うんだ?」
「・・・図書館にある本がすべて読めたり、魔法が使える・・・」
「へぇ、すごいんだな。」
沈黙の空気が流れた。な、何か話題を振らないとッ!
「と、ところでさ。セルロって二人とどんな関係なの?」
「・・・クローサの親に殺された敵国の王の娘・・・」
予想もしていない返事が返ってきて、再び俺は言葉を失った。




