7 作戦決行!
ここが俺の部屋か。なんていうか、その、物が少ないな。必要最低限といった感じだ。あるものといったら・・・ベッドとタンスとテーブルとイス、あと少量の本くらいか。しかし寝床があるだけでもありがたい。それじゃ疲れたし仮眠でもするか。ここに来て色々あったから体力的にも精神的にも疲れた。それに明日の準備はしてくれたみたいだからゆっくり眠れるだろう。
「寝よう、おやすみ・・・」
誰に言うわけでもなく就寝の言葉を言って俺は眠りについた。
・・・ん、なんかゴソゴソって音がするな。せっかく寝ていたのに、いったい何の音だ?
体を起こし辺りを見回すが特にそれらしいものはない。というか、俺のベッドの中から聞こえるような気がするんだが。
「・・・おはよう・・・」
掛け布団を開けると、眠たげなセルロが俺のベッドの中からそんな声を上げた。
「いや、お前なにしてんの?」
「・・・夜這い・・・?」
疑問系で言われてもな。質問を質問で返すなぁー!!疑問文には疑問文で(ry
って夜這い!?
「なんでそんなことしてんの!?」
「・・・したことないから、やってみたいなって・・・」
「そんな感覚でするような事じゃないよ!?はじめてのおつかいじゃねぇんだぞ!?」
「・・・どうやってやるかわかんない。クローサ、リーラン。どうやるの・・・?」
何でその二人の名前が出るんだ。まるでこの部屋に居るみたいな言い草だな。
「名前呼ぶなよ・・・」
「わたしは何もしていません!」
居るんかーい!
「居るんかーい!」
クローサはタンスから、リーランはベッドの下から現れた。
「私はセルロに誘われただけだし・・・」
「わたしは二人を止めようとしてですね・・・」
二人で俺を襲おうとしてたってことか。しかし、途中で俺が起きてバレたと。こいつら重要人物なんだよね?偉い人なんだよね?この際ハッキリ言わせてもらうけどさ、
「馬鹿じゃないの?」
「・・・否定できない・・・」
「何で私が・・・」
「わたしは関わっていませんので!」
「いや、お前止めに来たんじゃないのかよ。止めてくれよ。何で知らない顔できると思ったんだよ。」
「いや、そ、それはですね・・・」
「・・・クローサもお年頃、察してあげて・・・」
「意外とむっつりなとこあるもんなぁ~」
「ち、違います!わたしはあなた達がまた良からぬ事をしでかすのかと思って監視するために・・・・・・」
はぁ、こうなればもはや水掛け論になるだろう。俺が気にしてないと言ってこの場は納めるか。
「気にしてないからお前ら早くどっか行ってくれ、俺はまだ眠いんだ。二度寝をしたい。」
「・・・今日のところはこれまでにしておいてやる・・・」
お前どこの悪役だよ。
「いやートシユキ様の見たかったなぁ。」
何をだよ。いや、ナニをだろうけど。
「結果オーライですねっ!めでたしめでたしです!」
このむっつり、ぬけぬけと・・・おぼえてろよ、次の風呂でもっとすごいことしてやる。
こうしてやっとあいつらが居なくなった所で俺は再び眠りにつく事にした。あー、メシは・・・いいか、腹へってないし。よし、寝るか。
「おやすみ」
「・・・おやすみ・・・」
「おやすみー」
「おやすみなさいです。」
「お前ら早く出ていけえええええええええええ!」
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「ん~よく眠れたな。結局朝まで寝ちゃったか。」
爽やかな朝の風を浴びながら俺は気持ちよく起床した。昨日の事が無ければもっと気分がよかったんだろうな、多分。とりあえず朝飯を食べに行くか。でもどこに食事処があるのかわからんし、適当に通りすがりの人に聞いてみればいいか。よし、そうと決まれば部屋から出るか。
部屋を空け廊下へ出てみるとそこには多種多様な魔族が騒がしくひしめきあっていた。
「おーこれが闇勇者さまカー」「思ったより地味だゾ」「魔王ちゃんは貴様に渡さないぞ!」
あの三人も居た。相変わらず声がでかい三人だな。魔王ファンにいたっては数人が同じようなことを言っていた。別に俺のものにしようとか思ってないし。
「えーっと、食堂とかってどこにあるかわかる?」
「腹減ったのカー」「たしか、まっすぐ行っ手つきあたりで左に曲がればあるはずだゾ」「魔王ちゃんと一緒に朝食を取るとでも言うのか!」
ファンクラブのやつらうるせぇな、メシ食うだけだっつの。二番目の奴、教えてくれてありがとう。それじゃあ向かうか。意外と廊下長いな・・・
「クローサ、リーラン、それにセルロ。おはよう。」
「・・・おはよう・・・」
「おはざーす。」
「おはようございます。」
食堂に着くと例の夜這い三人組が居た。こいつら以外に人は居ないところを見るとどうやら貸しきり状態にしてるっぽいな。だから部屋の前に魔族の群れがあんなに一気に居たのね。
「昨日はよく眠れましたか?」
「おかげさまでな。」
「朝食を取って少し時間を置いたら出発してもらいますね。」
「わかった。お前らも準備は出来たのか?」
「私は全然オッケー。」
「・・・私も・・・」
「そうか、なら問題ないな。」
ここでドタキャンなんぞ入ったときは面倒だからな。良かった良かった。
さて、俺もじゃあメシくうか。メニュー表みたいなものがあるな。えーと、なになに・・・
グローンの姿煮?キコックスの照り焼き?アルゾノサラダ?なんかよくわからんが、ゲテモノ臭がすごいんだけど。しかし腹を満たさないとやっていけないし、頼んでみるか。
それから数分後、俺の眼前に持ち込まれた物はどう見ても巨大な虫の煮物と、赤と白の斑模様のキノコのソテー、紫の色をした野菜の盛り合わせだった。ゲテモノってか毒物なんじゃないかこれ。
「食べないのですか?」
「いやちょっとこれは・・・」
「好き嫌いですか?いけませんね。お残しは許しませんよ、食堂のおばちゃんが!」
やたらムキムキのおばちゃんがこちらを睨む。く、食わないと殺される・・・!
「わーおいしそうだなーいただきまーす!」
「こんな心のこもってないいただきますって初めて見たぞ。」
「・・・実際おいしい・・・」
欠片も期待しないでいざ口に虫の姿煮をほお張ってみると
「おいしい!」
「でしょう。見た目で判断してはいけませんよ。それに魔力回復の効果もありますからね。」
たしかに、全身に力が漲るのを感じる。しかし、それ以上に美味い!厨房でおばちゃんがドヤ顔をしている。この分じゃキノコも野菜もさぞかし美味いのだろう。
三種類の料理すべてがとても言葉に出来ないほど美味かった。皿を返すまでの間おばちゃんがドヤ顔し続けてていたのも納得できるレベルだった。これで旅も最高の気分で出発できる。
ありがとう、おばちゃん!




