5 これからの予定!
大浴場にて親交を深め合った俺たちは王の間にて今後の予定について話していた。
「えーとですね、とりあえずトシユキ様には四部族の頭領の方々に顔合わせということでそれぞれの地域に向かってもらいます。もちろん護衛等の付き添いも付けますよ。そのうちの一人がリーランでもう一人お付けします。リーランは戦闘護衛、もう一人は知識専門というかそんな感じですね」
そんな感じらしい。確かに俺はこの世界について知らない事が多い。そういう時に知らない事を教えてくれるような存在がいるならとても便利だ。
「なぁ・・・もう一人の護衛ってやっぱりあいつ?」
リーランが顔を引きつらせながら言う。
「予想が立っているなら多分その人ですよ」
クローサが書類を整理しながら冷静に言い放つ。雰囲気が少し怒っているように感じるのは気のせいだろうか。
「あいつか・・・・・・なに考えてるのかわからない所があるからなぁ・・・・・・」
「その意見にはわたしも同意見です。ですが、知識と腕前に関しては間違いなくトップクラスですよ」
二人の間でどんどん会話が進んでいく。・・・腕前?知識の他に何かを扱っているのだろうか。
「さっきから言ってるそいつって、どんな奴なんだ?」
ふと浮かんだ疑問を二人にぶつけると、少しの沈黙の後に首を傾げながらリーランが口を開いた。
「ど、どんなって・・・・・・強いて言うなら変人?」
「どちらかと言うと変態ですよ」
「あー確かに。そっちの方がしっくりくるね」
そう言うと納得したような素振りを見せるリーラン。クローサはその受け答えの間も淡々と書類を書き上げて紙の山を消化している。こうまで言われると逆にどんな人物なのか気になってきた。
「その人物に実際会うことは出来ないのか?」
抑えきれない好奇心を満たすため、その人物と合うかどうかを聞いてみる。すると、出来ますよ、と軽い返事がクローサから返ってきた。
「基本的にあの子は図書館にいますから今日も恐らく本を読んでるでしょう。リーランなら場所がわかると思いますので詳しい場所はリーランに聞いてみて下さい。リーラン、あの子をトシユキ様に紹介して今回の護衛の任務を伝えてきてください。」
「えっ!?私が行くのか!?」
「当たり前です。トシユキ様一人に行かせるのもどうかと思いますし、なにより場所と人物がわからないでしょう?」
「そ、そうだけどさ・・・・・・」
クローサにジロリと睨まれ、思わずたじろぐリーラン。
「ハァ・・・仕方ないな、行くよ」
「よろしい。では、早速取り掛かって下さい。明日には出発してもらいますから、その準備もお願いしますよ」
「えっ?」
「えっ?」
俺とリーランが同時に疑問符を浮かべる。そんな二人をみてクローサは小さく溜め息を吐く。
「何でトシユキ様まで意外そうな顔をしているんですか・・・・・・さっき大浴場でも話しましたよ」
「してた?」
「いや、覚えてないな」
はて、そんな話していたか。恐らくクローサは話をしたのだろうが、俺は美女二人の裸体に釘付けでそれどころではなかったし、リーランはきっと素で聞いていなかったのだろう。
「トシユキ様の荷物はもう用意してありますがリーランの分まではしていませんよ。そういった準備は自分でした方が良いと思いますし」
「あぁ、そういう事ね・・・わかった、じゃ今から準備するよ」
「図書館への案内の方もお願いしますよ」
「はいはい。それじゃトシユキ様、案内するね」
そう言ってこちらを振り向くリーラン。そのまま王の間の入り口までツカツカと歩いていく。
「それでは魔王様、失礼します」
王の間の扉を開け、俺が出るのを確認すると静かに閉めた。急に口調が変わったと思ったが、廊下は王の間とは違い、周りの目があるから敬語になったのだろう。切り替えが早い。
「それではトシユキ様、ご案内いたします」
先程までとはまた違う笑みでニッコリと笑顔を浮かべるリーラン。
「・・・なんか違和感を感じるな」
「それだけ打ち解けた、という事にしておきましょう。ではこちらです」
言い終えると、リーランは長い廊下を早足で歩き出した。足が長く、歩幅も大きいという事もあって追いつくために少し駆け足になる。
慌ててリーランに追いつくとその綺麗な横顔がチラリと見えた。やはり、こうして改めて見るとリーランは美人だ。長い耳に整った顔立ち。高い身長にスレンダーな体系もあって、やはり綺麗でかっこいいと印象を受ける。
「どうしました?」
リーランにしばらく見とれていたら、不意に話しかけられた。
「いや、やっぱりリーランって綺麗だなって思って」
「へっ?いやっあのあまり言われ慣れていないので、少し恥ずかしいです・・・・・・」
ずいぶんとキャラが違うぞ。かっこいいお姉さんはどこにいったんだ。照れ屋はクローサの専売特許なんだぞ。
「同族とか仲間には言われないのか?確か、ダークヴァルキリー・・・だったよな?」
「それは役職ですよ。種族はダークエルフです、半分だけですけどね」
「半分?じゃあ、もう半分は何なんだ?」
「朱雀地方の貴族の方と聞いていますが、詳しい事はわかりません」
ハーフ。この世界にもハーフは居るんだな。朱雀・・・確か赤い鳥の四神だったな。という事は朱雀に居る人達は羽が生えているんだろう。それもある意味ファンタジーっぽいが、どうなっているんだろうか。
リーランの黒い羽を見つめながらそんな事を考えていると、不意に隣の早足だった足が動きを止めた。
「着いたのか」
「はい、恐らくここにいると思われます。では入りましょうか」
リーランが大きな扉に手を掛けて、ゆっくりと扉を開ける。二枚扉の片方を開け切ると、その奥には無数の書物が並んでいた。
そして、その中央の椅子に腰を掛けた黒いマントを羽織った小さな女の子が眠そうな顔で読書をしていた。
新キャラです。次回詳しく書きます。




