13 新たな仲間!
敵の勇者を倒し、まだ戦っているであろう仲間の元へたどり着いた俺はとんでもない光景を見た。
そこにあった光景は
リーランが敵の拳闘士をなぜか馬乗りになってボコボコにして、ランロンがセルロを持ち上げ高い高いの様なことをしている、という状況だ。そして近くになぜか氷の塊まである。
「・・・これ、どんな状況?」
「フッー、フッー・・・あっ、トシユキ様。勇者は片付けたのか?」
「あぁ、こっちはもう大丈夫だ。だからリーラン、この状況を説明してくれないか。」
「えーっと、話すと長くなるんだけど・・・」
リーランから聞くところによると、戦いの最中、相手の拳闘士がリーランの体を見て「こいつ、胸ねぇな・・・」と小声で言ってしまい、それが聞こえたリーランは持っていた剣を捨てて相手に猪突猛進の勢いで突っ込んだところ、相手は予想外の攻撃を仕掛けてきたリーランに反応できずマウントを取られてボコボコにされた、ということらしい。
ハッキリ言って意味わからん。話を聞いてもよくは理解できんが、恐らく胸がコンプレックスなリーランは自分の小さな胸を馬鹿にされたと思ってボコボコにした、ということか。
もう一つの不思議な光景であるランロンとセルロについてだが 、こちらはシンプルにランロンが時間を稼いで魔法使い二人を相手しており、その間に魔力を溜めたセルロが大技を放って出来上がったものが、先ほど言っていた氷塊でその中身は双子の魔法使いが入っているそうだ。魔法の扱いがスゴい奴だなとは思っていたがまさかここまでとは。
「いや~セルロちゃんはすごいな~!人間二人を一気に氷に封じ込めるなんて!」
高い高いをセルロにしながらにんまり顔で言うランロン。
「・・・これくらい当然、だからそろそろ下ろして・・・」
高い高いに明らかに不満を抱いているセルロが頬を膨らましながら文句を言っている。
しかしランロンはお構い無しにセルロを抱き上げたまま離さない。
そういえばさっきは無かった角がランロンの蒼い髪の隙間から生えている。それこそ龍の角のような立派なものが。
「ランロン、お前角なんて生えてた?」
「ん?あぁ、これか。龍族は本当の力を出すときは角を出すんだ。そうしないと龍本来の力が発揮できないからな。」
へぇ、なんかかっこいいな。秘められし力を解放するときが来たのだな・・・みたいな。
「もう勇者の仲間は他には居ないらしいし、後はもう大丈夫だろう。」
「何でわかるんだ?他に仲間が居ないなんて。」
俺に返り血を浴びたまま質問するリーラン。
「お前は早くその手や体についた返り血を拭け・・・」
「あ、それもそうだな。」
「・・・多分他に仲間はもう居ない・・・」
「セルロちゃんが言うなら大丈夫だろう。」
「あ、そういえば勇者の仲間を生け捕りしたぞ。俺がいた物置みたいな部屋にくくりつけておいた。」
「じゃ尋問、もとい拷問をワタシの家でするか。」
「「「賛成」」」
金髪を尋問やら拷問をすることに満場一致で決まった俺たちは、あの鍛冶場屋敷に戻ることを決めた。
「トシユキ殿、今回の件は深く感謝する。」
屋敷に着くと会うなりいきなりイーロンが頭を下げてきた。
「なにが?俺なんかしたっけ?」
「今回の勇者襲撃、我らだけでは到底どうにか出来た問題ではなかった。トシユキ殿一行が来ていなかったら、村民を守りきれず死者も出ていただろう。」
あ、そういうことね。それで俺に感謝するんだ。確かに義理堅いとは聞いていたがこんなことで感謝されるなんて。
「もはや交換決闘とは言うまい。ランロンをそちらに派遣することを許可しよう。」
「父上!?」
急に自分の話になり、大声を上げて驚愕するランロン。
「それはあんまりではないですか!?」
「何を言っている、今回の勇者はあまりにも強力だった。お前だけでは守りきれなかっただろう。」
「そ、そんなことありません!それになぜワタシなのですか?他にも優秀な人はいます!他の人たちではダメなんですか?」
「ダメだ、お前は少し外の世界を知らなすぎる。この機会に勉強をして来い、そういった意味もかねてのこの案なのだ。」
「それで良いんじゃないか?だって、中央部にはお前好みの女の子も居るかも知れんぞ?」
「なんだと!?行くっ!絶対行く!」
リーラン、何言ってんのお前・・・これ以上被害出そうとするなよ・・・
「そうすれば中央部でセルロとも一緒にいれるぞ?」
「・・・お断り・・・」
「なるほど!頭良いなリーラン!」
「話はまとまったようだな。では今からランロン、お前に中央部派遣を申し付ける。」
「わかりました父上!」
決闘しなくてすんだのは良いけど、こんな終わり方で良いのか?もうちょいバトル展開欲しいんだけど。
「では、何か情報が聞き出せたらそちらに連絡する。トシユキ殿、ここはいつ出発するんだ?」
「あー、わからん。とりあえず他の二人に合わせる事にするよ。二人とも他の用事とかある?」
「私は特に無いかな。」
「・・・私も・・・」
「じゃあ一旦戻るよ、報告もしないといけないからな。」
「そうか、わかった。・・・ランロンの事だがよろしく頼む。あれでも可愛い一人娘なのだ。」
「あぁ、まかせろ。一応仲間だからな。」
そう言うと安堵と苦笑の混ざった複雑な表情がイーランの顔に表れた。
「でも、疲れたからあと一晩だけ泊めさせてくれ。」
「そうか、わかった。最後にゆっくりしていってくれ。」
「あと、さっきから悲鳴が聞こえるんだけどもしかして・・・」
「あぁ、拷問によるものだ。」
さらっと恐ろしい事を言うイーロンだった。
こうして俺たちは再び屋敷に泊まり、朝を迎えたのだが金髪の叫び声が朝まで途絶える事はなかった。
今回短めでしたね、次回はもうちょ長く書こうと思います。




