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封印されて五百年、世界は俺に牙を剥く  作者: NAriS


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知覚

轟音が森を揺らす。


 

 衝撃が周囲に伝わるとともに土煙が上がる。


 拳で地面が抉れ、その中心に魔族が倒れていた。


 


 何体倒したのだろうか。

 覚えていない。


 

 呼吸をするが息を吸うのが重く感じる。


 

 腕に裂傷を抱え、わずかに焼け跡もある。


 

 だが動ける範囲内の傷だ、問題ない。


 そう言い聞かせた。


 視線を上げる。


 

 気配は途絶えない。

 


 「...まだいるのか。」


 


 囲むように、距離を取っている。


 

 さっきまでとは違う。

 

 魔族の位置も数も正確に見えている。


 

 ――違う。魔族ではない何かが見えている、


 目を瞑るとはっきりと分かる。


 透明な靄のようなもの。

 


 次の瞬間、背後の靄が波打つ。


 振り返ると魔族が魔法を放とうとしていた。


 雷が放たれるが掠りもせず避けれた。


 「これが魔力と言うやつか...。」


 直後、後ろに靄が迫っていた。


 頭部を狙った拳を躱し、腕を掴む。


 そのまま肘打ちを直撃させる。


 魔族の身体は崩れ、魔力が弱まっていた。


 

 俺は逃げる魔族の退路を断ち、頭を蹴り飛ばす。


 

 代償による魔法の強化はさらに魔力の揺れが激しかった。


 だが、放つ前に潰すだけでよかった。


 

 気づけば魔族の数もかなり減っていた。


 


 次の魔族に手をかけた瞬間、突風が俺を突き飛ばす。


 


 かなりの距離を吹きとばされ、理解する。

 


 魔力を感じ取れる距離があるのだ。


 


 それより――


 

 俺は木葉の如く軽々と空へ飛ばされている。


 着地が面倒だ。


 下手に落ちれば流石に損傷するだろう。


 ――衝撃を相殺するしかない。


 地面と衝突する直前、左腕で地面を叩く。


 

 落下の勢いは殺せたが転げる。


 左腕が砕けた以外は軽い擦り傷程度に収まる。


 魔族達は探知範囲外だ。


 

 もう一度感覚を研ぎ澄ます。


 

 痛みが強く感じられる。


 そして、前方から4体向かってくるのが分かった。

 


 身体が確実に削れている。

 


 息が重い。


 

 全ての気配が激しく波打つ。


 正面からの攻撃を予想し横に避ける。


 だが攻撃が来ない。


 もう一度魔力を探る。


 上空、無数。


 雷と炎が幾度も降り注ぐ。


 接近を断念し、魔族達と反対の方向へ全力で逃げる。


 森を抜ける。


 攻撃が弱まり始めた頃、気づけば俺が始めて訪れた村の付近まで戻っていた。


 魔族が目の前に現れる。

 


 拳を振りかぶると腕を掴まれ動けなくなってしまった。


 「魔法以外も強化できるのか...代償は」

 


 後ろには魔法を構える魔族が3体。


 俺は頭突きで拘束を逃れ氷、炎、雷、全て避ける。

 


 固まった魔族達を潰すのには苦労しなかった。

 


 終わる。

 


 しばらく、立っていた。


 気配が完全に無くなる。


 


 周囲に静寂が訪れる。


 

 もう魔力は立ち上っていない。


 


 ようやく、足を止める。


 


 息を吐く。


 

 深く。


 

 身体が、重い。


 


 ――さっきの村に戻ろう。

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