差し向く牙
――魔王城、玉座の間
魔方陣が浮かび、黒い煙が吹き出す。
魔王は黒い煙の中から現れる。
「魔王様!」
部下が駆け寄る。
魔王が負った傷は立つことも許さない。
「四天王...を..召集せよ...」
魔王は掠れた声で命令する。
ーー日を明け、魔王城のある一室、円形の卓、
魔王が座していた。
静寂。
やがて、強力な気配が集まる。
四つ。
四天王である。
それぞれ卓につく。
沈黙が続く。
やがて——
「残念ながら、奴の力は健在だ」
魔王が口を開いた。
「殺してやりたかったが、手傷を負いすぎた。私は傷が癒えるのを待たなければいけない。」
わずかな沈黙。
一人が口を開く。
「……では、予定通り拘束とデバフを主軸に?」
「...それが妥当だろう。」
魔王が表情を曇らせる。
別の一人が異論を唱える。
「そこまで必要ですか? 武器は奪いましたし魔法も強化済みです。全員でかかって正面から潰せばいいのでは?」
その言葉に、別の影が低く返す。
「それで勝てるなら、もう終わっている。」
空気が、わずかに張り詰める。
静かな声。
「あいつは、四天王全員を同時に相手して、二人を倒した。」
沈黙。
「もう一人は、自身の命を代償に封印した」
わずかに、空気が重くなる。
「……俺はその場にいた」
その声は、わずかに低かった。
「涼しい顔をしていた。化物だ」
誰も否定しない。
できないのだ。
魔王が呟く。
「魔族一人分の代償では足りない。」
「いい知らせがあります...」
四天王の一人が話を続ける。
「魔法の強化には限界があります。
しかし、代償による魔法の性能の底上げに限界はありません。」
「他人にも代償を払わせればいいのです。」
魔王が言う。
「ならば魔法部隊を用意しよう....」
誰も異論を出さない。
世界の牙は鋭さを増していく。




