光が咲く
残り3話
デグニテは黄色い瞳孔を光らせ笑う。
俺は距離を取る。
だが傷口から溢れ出た魔力が変質し、肉体を維持している。
デグニテが一歩踏み出す。
その瞬間にはもう俺の目の前にいた。
拳が迫り、咄嗟に腕を交差させる。
凄まじい衝撃が身体が軽々と吹き飛ばす。
城壁へ叩きつけられ、そのまま壁を突き破った。
石レンガが崩れ落ち、視界が揺れる。
立ち上がろうとした時、頭上に大きな気配を感じて空を見上げた。
デグニテが空中にいた。
『 白羽矢 』
轟音とともに青白い光が地面を突き刺す。
地面を転がるように避け、雷が着弾し深い窪みを作る。
デグニテも同時に着地する。
今しかない...
俺は踏み込み、拳を腹へ叩き込む。
確かな感触、だが浅い...
デグニテは僅かに後退しただけだった。
「その程度か。」
俺は返事をしない。
そのまま壁側へ走り、デグニテが追う。
「逃げるのか?」
デグニテの拳が振り抜かれ、俺は壁へ足を掛ける。
身体を回転させ、空中で姿勢を変える。
そのまま膝を突き出す。
膝蹴りがデグニテの顔面へ直撃する。
鈍い音。
デグニテの首が僅かに揺れた。
完全に不意を突いた。
デグニテが右手で鼻を押さえる。
「なるほど....」
デグニテの口元が歪む。
「面白い。」
再び飛んできた拳を避ける。
さらに避ける。
俺は城の上層へ向かって走った。
俺に残された手段は理解していた。
門が見える。
俺は砕けかけた門をくぐり、足を振り抜く。
門が砕け、大量の木片と石片が舞い上がる。
視界が塞がれ、その隙に回し蹴りを放つ。
デグニテの脇腹へ命中する。
それでも大した手応えはない。
木片の向こうで魔力が揺れ、冷気が流れ込む。
ーー嫌な予感が冷気とともに首筋を伝い鳥肌が立つ。
『 百鬼狩 』
デグニテの手の中に氷が形成されていく。
やがて反りのある片刃の巨刃となった。
デグニテはそれを片手で軽々と振る。
一振りで城壁が斬れ、石レンガが宙を舞う。
二振り目には凍てつく風が降りかかる。
俺は後退する。
残り一本のナイフで刃を受け流しながら反撃の隙を伺う。
だがその剣を折っても再生する。
野太刀が届かない距離を保つ。
だが、次の一振りで野太刀が砕け、破片が大量に飛び散る。
壁に破片が突き刺さる。
俺の腹にも深く刺さっていた。
デグニテがもう一度巨刃を生成する。
同じ手は通用させない。
回転斬りだ...
巨刃が死角から現れた時、刃が俺を捕らえていた。
柄が伸び、反った片刃の槍のようになっている。
「逃がさん。」
横薙ぎに振られ首にひやりとした殺意が触れる。
「 魔法盾!」
咄嗟に魔法盾を生成して氷を防ぐ。
その隙にデグニテの腹に蹴りを入れ込む。
「....フン」
デグニテが鼻で笑う。
デグニテがすぐさま体勢を立て直し槍を降り直す。
俺は狭い通路に追い込まれる。
この狭さでは...
デグニテが笑い、槍の刃をこちらに向ける。
その瞬間、
槍が砕けて氷の刃片が通路を埋めるように迫る。
俺は城壁を交互に蹴って城の三段目まで登る。
後はこの建物を通れば....
背後からデグニテの気配が迫っていた。
氷が集まり、棘のついた巨大な棍棒だった。
デグニテが振り棍棒が横薙ぎに迫る。
避けきれず、腕で防ぐ。
骨が軋み、身体が吹き飛ぶ。
俺は壁を貫き、荒れた食卓へ叩き込まれた。
テーブルが砕け、椅子が宙を舞う。
デグニテが壁から突っ込んでくる。
テーブルを飛び越え部屋を出る。
デグニテが追い、その度に建物が壊れる。
床が抜け、天井が落ちる。
やがて出口が見え、階段を駆け上がり、城壁を蹴る。
城壁の上に登り、俺は天守閣の屋根へ飛び移る。
デグニテも天守閣へ登る。
「何をするつもりだ?」
「...ただ.....ここで終わらせるつもりなだけだ。」
その言葉を聞き、デグニテが氷を反った片刃剣に変え、一気に踏み込む。
俺は滑り込んで居合斬りを回避する。
すぐさまデグニテの喉元に手をかける。
「―反発魔法!」
デグニテを吹き飛ばし、見張り台の最上階に激突する。
まだデグニテは起き上がる。
こいつを倒すには犠牲が必要だ...
犠牲は絶対に無駄にしない...
だから...
「――代償強化」
全ての魔力と魔法を捨てる。
「――雷魔法――」
「 アマテラス 」
デグニテは逃れることが出来ない。
「それが貴様の覚悟か...」
見張り台ごと光に包まれ、塔が崩れ落ちる。
デグニテは言葉を残す暇もなく溶けて、蒸発するように消え始めていた。
残り2話




