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封印されて五百年、世界は俺に牙を剥く  作者: NAriS


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燃えたぎる執念

デグニテがゆっくりとこちらへ歩いてくる。


 砕けた右顔面、そこから禍々しい魔力が漏れ続けている。


 威圧が俺の身体を襲う。


 一歩、デグニテが踏み出す....


 その瞬間に俺は既に懐へ飛び込み、腹部へ渾身の一撃を叩き込む。


 鈍い衝撃の後、続けざまに拳を振るう。


 肋骨、脇腹、顎....


 何度も打撃を与えた...


 だが、


 デグニテは僅かに押されるだけだった。


 まるで巨大な岩を殴っているような感覚。


「......無駄だ。」


 低い声が耳を伝い背筋が凍る。


 冷や汗が流れる。


 もう一度踏み込み、全力で叩き込もうとした瞬間だった。


 デグニテの瞳がこちらを捉えていた。


 ――避けられない。


 そう理解した。


 だがそれ以上に、奴の反応速度が異常に思えた。


 拳を振るう前に腕を掴まれる。


 次の瞬間には身体が浮いていた。


 建物へ叩きつけられる。


 石壁が砕け、建物の中まで吹き飛ばされる。


 肺の空気が押し出される。


「っ……!」


 立ち上がるより早く、デグニテの姿が消えた。


 直後、天井が砕け、轟音と共にデグニテが降ってくる。


 狭い部屋の中、俺に向かって一直線に拳が迫る。


 拳を躱す。


 デグニテの拳は壁を吹き飛ばしている。


 再び拳――

 木製の棚が粉砕され、石壁に大穴が空く。


 狭い空間を、デグニテが暴れ回り、建物が崩れ始める。


「私は村でお前に腹を貫かれた時感じたのだ。」


 話しながら攻撃を続けている。


 俺は背後へ回り込み、 首へ拳を叩き込む。


「――死の恐怖を。」


 振り向き様の裏拳、


 視界が揺れ、身体が吹き飛び、  城壁へ叩きつけられた。


 石が砕け、 瓦礫が降る。


「だが、それと同時に死の先に可能性を見出した。」


 デグニテの黄色い瞳孔が揺らぐ。


「これは可能性を追求した結果だ。」


 俺は崩れた瓦礫を蹴り上げる。


 土煙と石片がデグニテの視界を塞ぐ。


 さらに浮いた瓦礫を拳で弾き飛ばす。


 デグニテへ向かって散弾のように飛ぶ。


 そして俺自身は背後へ回り左肩へ打撃を与えた。

 確かに重い感触がある。


 デグニテが僅かに顔をしかめた。


 瓦礫の効果は薄いが、左肩は痺れている。


 削れないわけじゃないのは分かった。


 隙を突けば通る...!


 .....だが


 その隙があまりにも少ない。


 デグニテが振り向く。


 同時に、 俺は背後に回った隙に回収したベッドのシーツを投げつける。


 デグニテの視界を塞いだ。


 だがデグニテは魔力探知でこちらを捉えている。


 鋭い爪の雑な引っ掻きを身体を屈めて回避する。


 そのまま再び左肩へ拳を叩き込むと鈍い音が響く。


 デグニテの左肩がついに垂れ下がる。


 動いていない...


「まだ完全ではないのか.......この身体は...」


 その瞬間、


 シーツが燃え上がっていた。


 一瞬で部屋が熱気に包まれ息が熱く、肺が焼ける。


 避けるというより熱された空気に押し出されるように外へ出る。


 『 大竈(オオカマド) 』


 周囲を炎に囲われ、檻のようになる。


 温度がどんどん上がり始め、体力を奪われる。


 床に落ちる汗すら一瞬で乾いた。


 だが、 デグニテはその炎の中を突っ切ってくる。


 拳は直撃し、よろける。


 さらに蹴りが刺さり、身体が吹き飛ぶ。


 炎を一瞬で抜け、一つ建物を貫通した後、檻部屋の建物まで飛ばされた。


 一瞬気を失っていた。

 暗い檻に崩れた壁から差し込む光が、埃を照らしている。


 俺は立ち上がる。


 「.....ここなら、」


 ここは狭い。


 デグニテが建物の中へ入ってくる。


 デグニテの巨体は攻撃の度に壁や檻へ引っかかる。


 小回りは俺の方が利く。


 デグニテが突っ込んでくる。


 あえて正面に立つ。


 デグニテは上から下に大振りの一撃を放つ。


 ――それしかできない。


 俺はデグニテが拳を振るより前に横に避けることができた。


 粉塵とともに背後を取りデグニテが一瞬見失う。


 デグニテが振り向く瞬間にナイフを振るう。


 腹から胸へ完璧な軌道で滑らかに斬る感触がした。


 .....だが、


 浅い傷ではない。

 だが致命傷でもない。


 デグニテはゆっくりとこちらを見る。


 暗い部屋の中で黄色い瞳孔だけが光り笑っている。

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