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封印されて五百年、世界は俺に牙を剥く  作者: NAriS


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24/27

頭に焼きつく悲鳴と血の匂い

気づけば霧は晴れ、湿地を抜けかけていた。


 


 ぬかるみの臭いが薄れ、鼻を刺すような深緑の匂いが漂う。


 


 森の先に人と魔族の気配があった。


 嫌な予感しかしない。


 


 生い茂る森を薙ぎ倒す勢いで向かう。


 


 緑色に暗く巨木に隠れるよう村があった。


 その中で悲鳴と血の匂いが混じる。


 


 村人が逃げ、魔族が迫る。


 


 俺は村に飛び入り、魔族の頭を叩き潰す。


 

 俺が周囲を見渡した時、


 魔族全員がこちらを見ていた。


 魔族のうちの1体が

「お前が勇者だな?」

と聞く。


 魔族は不適な笑みを浮かべていた。


 


 誘われていた――

 そう理解する前に


 天と地が反転するような感覚に襲われる。

 


 精神魔法....幻覚か...


 村は俺を誘う囮だったわけだ。


 どの感覚も信用できず、立っているのかすら分からない。


 

 この状態で暴れれば村人を巻き込む可能性がある。


 だが魔族が村人を襲ってしまう。


 「やはり人を巻き込むのが怖いか」

 嘲笑うような声がぼんやりと聞こえる。


 使うしかない。

「——抹消魔法」


 


 幻覚を打ち消し、感覚を取り戻した瞬間――


 

 腹部に激痛が走る。


 


 気づけば魔族がナイフで俺の胴を引き裂こうとしていた。


 俺は反射で魔族を殴る。


 ....痛みすら消されていた。


 ナイフを引き抜き、抹消魔法が切れる前に周囲を確認する。


 魔族は6体いる。


 また幻覚が襲い、視界が歪む。


 

 抹消はしばらく使えない...。


 


 腕を口元へ運び、皮膚を噛み千切ろうとする。


 


 痛みの感覚がない。


 激痛による強制解除が想定されている。


 

 ――精神魔法の構造は分からない。


 


 魔族の魔力は常に波打っている。


 

 魔法をかけた相手の感覚を常に制御しなければならないなら...


 

「——魔法盾」


 

 魔法を防ぐ水晶のような板。


 

 それを頭に覆うイメージで展開する。


 

 少しずつ感覚が戻っていく。


 

 視界や平衡感覚、痛みまで。


 

 「——回復魔法」


 脳と腹部を修復する。


 


 魔族が近づいている。

 

 後方から心臓を狙っている。

 ナイフを取り上げ腕を掴む。

 


 「なぜ魔法で攻撃しない?」

 


 答えは沈黙だった。


 腕を離し頬を殴打する。


 盾が消える前にもう1体持っていく...。


 一番近い魔力、

 それは背後にあった。


 ナイフを蹴り上げ喉を潰す。


 だが再び幻覚が迫る。


 世界が歪む。


 

 でも魔力探知が歪んでいない。

 


 さっき見えた魔族の位置と魔力探知の位置が変わらない。


 


 魔力探知は誤魔化せないことを隠したかったのだろうな。


 


 もう見る必要はない――


 

 ――目を閉じ、魔族の強い魔力だけを追う。


 


 魔族も異変に気付き応戦体制に入る。


 

 魔力が波打つ....。

 腹から全身に固まるような衝撃が走る。


 雷...


 身体が麻痺する...


 「やはり付け焼き刃の魔法じゃ殺しきれないか...」


 ナイフを持った魔族が近づく...


 「そいつに近づくな!」


 別の魔族が叫ぶがかえって隙ができる。


 魔族の腕を抑え頭突きをする。


 魔力をより正確に観測しろ...


 でなければ魔王には勝てない。


 魔法が来る...。

 雷の軌道を全て予測する。


 魔族の一寸先まで迫りそのまま胴を貫く。


 だが、まだ1体残っている...。


 幻覚はいつの間にか消えていた。


 目に映る光景に絶望した


 

 魔族が 喉元に 刃を当てていた


 


「動くなァ!!」


 

 魔族が叫ぶ。


 

 村人が死んでしまう...


駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ――


 「地面に伏せろ!!」


 魔族が俺に命令する。


 全てを諦めたその時――


 「構うな!殺せ!!」


 ...村人が叫んでいた。


 足が震える...


 それでも全力で踏み込む...


 

 俺が魔族の頭を潰したのは魔族が村人の喉を裂いた後だった。

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