鉄壁の凶陣 Ⅱ
距離を取っても追ってくる。
そこには無謀な攻めではなく考えられた間があった。
止まることはなく、絶対に前後をとられる。
攻撃を与える余裕がない。
連携を崩さなければ勝機は見えない...。
なぜ連携がとれているのか...
おそらく思考が同じなのだろう。
そう考えるしかなかった。
次に迫る拳を避けた後、
背後にいる魔族を狙い、足で地面を踏みつけ、泥で視界を悪化させる。
魔族は泥に阻まれ一瞬止まる。
その間、後ろを振り向き、拳を構える。
反撃を考慮し、体制を低く保つ。
なのに泥で遮った先から拳が正確にこちらを狙っている。
こちらの考えを読んだのか...?
そんなことできるはずない。
魔力探知が正確...?
なら最初から泥で動きが一瞬止まることはない。
後ろの視線――
感覚を...共有しているとしたら....
なら試すしかない。
思い切り地面を殴り、湿った泥が全方位に飛び散る。
霧と混ざり魔族の視界は濁る。
一瞬、魔族の動きが止まったのが分かった。
その隙に泥を握り、1体の顔へ投げつける。
これではまだ連携が少し乱れる程度だ。
もう片方が動いた所で足払い――
ぬかるみで足が滑る。
体勢が崩れ、倒れる。
そこへ拳を振り抜く。
一撃の猶予しかない、
でも一撃で殺せる確証はない。
胴は駄目だ――
固く致命傷になりにくい。
――腕は細くて確実に潰せるが致命傷になり得ない。
急所の中でも細く守りにくい場所――
それなら....
衝撃と骨が砕ける感触がした。
俺の拳は魔族の首を貫き、頭と身体を切り離した。
魔族の身体は崩れ落ちていく。
「まずは1体...。」
だが――
次の瞬間。
霧の奥、魔族が複数固まっている所からもう1体、魔族が迫って来ていた。
本当に厄介な連携だ....
そして――
感覚の共有、
唸ることも喋ることもない魔族、
こちらを監視するように距離を保つ魔族の集団。
その全てが違和感だ。




