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封印されて五百年、世界は俺に牙を剥く  作者: NAriS


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15/23

残りの二百年

さっきまでの戦いがなかったように森は静かだった。


 風も弱く、木々が優しく揺れるだけだ。


 


 しばらく森の中を歩むと誰かがいることが分かった。


 

 木々を抜け、少し開けた場所にいた。


 


 少し離れていたが細身の輪郭と長い髪が見える。


 


 近づくと長い耳をしていることに気づく。


 


 こちらを見て、一瞬驚いたような顔をした。

 

 

 穏やかな目、そして、ゆっくり口を開く。


 

「やぁ、久しいね。ルスト」


 


 足が、止まる。


 ーー名前、


 確かに今、


 そう呼ばれた。


「ルスト....それが俺の名前か...?」


 


 口に出しても、なぜか違和感はなかった。


 

 むしろしっくりくるくらいだ。


 


「....もしかして私のことも覚えてないかな?」


 

 エルフは、静かに言ったが責めるような響きはない。


 

「.....ああ」


 

 短く答える。


 


 「私はエルダ、 君の 知り合いだ。」


 

 間を置かず、続ける。


 

「君が封印された五百年前のね。」


 

 視線が動く。


 ーー五百年。


「......都市が壊滅したのは、三百年前じゃないのか」


 

 口から出た。


 それは確かに村人に聞いた話。


 


 エルフは、頷く。


「約 、三百年前ね」


 


 少しだけ、目を伏せる。


「その前の百数十年は——」


 


 言葉が、わずかに止まる。


 それでも、続ける。


 


「....君が目覚めるのを信じて、人類が立ち向かったんだ。」


 


 静かだった。

風の音と木葉同士が掠れる音が聞こえる。


 

 何も言うことが出来なかった。


 


 胸の奥がわずかに重くなったようで苦しかった。


 

「..........」


 


 沈黙がしばらく続く。


 

 エルダが口を開いた。


 

「.....君は悪くない。」


 短い言葉。


 だが、はっきりとしていた。


 恐る恐る視線を上げる。


 


 その目は、変わらず穏やかだった。


 


「.....そうか」


 

 それだけ返す。


 ーーそれ以上は、言えない。


 

 エルダは続けて話す。


「ここから少し離れた場所に壊れた都市がある」


 


「次の村より遠いけれど君の記憶が繋がるかもしれない」


 

 頷く。


 それは、必要だった。


 

「それとーー」


 

 エルダが俺の頭に手をかざす。


「私の使える魔法は攻撃には向かないけど君を守れる。」


「魔法を打ち消す魔法に回復魔法ーー」


 

 「それから魔法を防ぐ盾と物理を弾く力」


 「...いいのか?貰っても....」


 「いいよ。 君が生きていればそれで。」


 「けど魔法は持続するものじゃないから過信しないでね。」


 魔法が使えるということは選択が増えるということだ。


 

 これまでとは戦い方が変わる。

ーーより対抗できる。


 


「......助かる。」


 


 エルダは懐かしいものを見るように笑った。


 「君が都市の跡を訪れる間に隣の村に向かうつもりだ。」


 「...分かった。隣の村でまた会おう。」

  


 そう言って振り返る。


 


 森の外へ。


 向かう先は壊れた都市だ。


 

 そして——


 過去を受け入れる準備が整った。

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