迫る処刑陣
村の目前の空気は魔力で満ちていた。
そこには馬のような魔物に乗った魔族達がいた。
武装した前衛騎馬隊が5体、武装していない後衛騎馬隊が4体。
そして奥に魔物に乗っていない魔族が3体。
「勇者はいるか?」
「来るなら楽に殺してやる。」
前衛の騎馬隊の一人が声を張る。
「...ここだ。だが殺される気はない。」
「そうか...」
魔族は声を落とし、剣を空にかざす。
一斉に騎馬隊が駆け出した。
前衛の騎馬隊が俺を取り囲む。
魔物は蹄で一定のリズムを奏でて俺を輪から逃がさない。
前衛の騎馬隊のうちの一人が輪から外れ、一歩近づく。
俺の一撃が入るところまで迫った時、馬の魔物を潰す。
魔族は当然、落馬する。
魔族の盾も鎧も関係なく砕く。
――前衛は残り4体、
未だに前衛は輪を成しており、気づけば後方の4体もその外側に輪を成している。
後衛は魔法を発動しようとしていた。
だが前衛が防御体制をとっている。
それだけじゃなかった。
飛びかかっても届かない距離を維持しながら回っている。
後ろの四体の詠唱し続ける。
いつでも撃てる状態。
それよりも外側の三体は魔力の量が多く危険だ。
――そして詠唱を終わらせようとしている。
騎馬隊に接近するが後一歩足りない。
最初の一体をおとりにして安全な距離を測られた。
後ろの3体が詠唱を終える。
身構えるも無駄だった。
「「「ーーー拘束魔法」」」
俺の身体は動くのを拒み、手も足も出なかった。
後方の騎馬隊の魔力が波打つ。
炎が放たれ、成す術なく直撃する。
魔法は絶え間なく俺の身体を固め、絶え間なく俺の身体を焦がす。
炎は決して強くない。
――だが、流石に積み重なれば死ぬ。
まるで処刑のようだった。
積み重なる熱で身体が限界を感じ始めた頃、
突然、拘束魔法が途絶える。
魔族は魔法が使えなくなっていることに困惑していた。
「...何故だ?」
その隙を見逃さなかった。
輪を抜け出し、拘束魔法を使った3体を蹴散らす。
――後8体、
騎馬隊は一瞬固まり、判断が遅れる。
強く踏み込み、前衛の一体を頭から魔物まで叩き割る。
そのまま流れるように後方二体を反応前に潰す。
残り前衛3体、後衛2体。
炎が来るが既に魔力で見えていた。
避けた先に剣――
振られた瞬間刃を避け剣を掴む。
そしてへし折る。
そのまま頭を蹴り、首が飛んだ。
盾を投げ、後衛の心臓を貫く。
最後の後衛が少し離れた場所にいた。
――逃げている。
俺は後衛に向かって石を投げる。
落馬し動かなくなった。
――残り前衛2体。
俺の左右を挟むように剣を振るう。
俺は咄嗟に落ちていた魔族の剣を拾い、大きく剣を振るった。
俺の剣の軌道は魔族の剣を叩き割り、2体とも胴に大きな傷を与えていた。
魔族は全て崩れ落ち、魔物も全員潰す。
また村に静寂が訪れ、風だけが残る。
部隊は全滅した。
――後はエルフに会うだけだ。




