静寂を裂く
雪を抜けた先、空気が変わった。
風は弱く静かだ。
森が近く、木々が密になり始めている。
その先に村があった。
これまでと同じようで少し違う雰囲気。
整っていて人の気配もあるが、静かだ。
近づくと視線が集まる。
だが警戒が薄い。
……違う、怯えが少ないのだ。
理由は、一つだ。
「...エルフがいるのか」
誰に言うでもなく、呟く。
村の中に入ると、一人の男がこちらを見ている。
「...どうされました?」
「聞きたいことがある」
短く言う。
「エルフはどこにいる?」
男の表情が、わずかに変わる。
「いるのか」
「はい...」
村の外れを指差す
「この森の奥です。...ですが無礼の無いようにお願いします。」
振り返るとそこには先へ続く深い森があった。
だが、そのとき。
遠くから、何かが来る。
それは確実に近づいていた。
隠す気も無いようで、足音や揺れが伝わり、空気が変わった。
村の人間も気づく。
「.....来る。」
誰かが呟き、視線が一斉に外へ向く。
次の瞬間、村が魔力の塊に呑まれた。
姿が見えていなくとも巨大な群れであることは十分理解できた。
ただの巡回にしては統率され過ぎている。
狙いがあるのだ。
――多分俺だろう。
直感的に判断すると同時に前へ出る。
村と奴らの間に立つ。
息を吐き、呼吸を整える。
数が多い...
――だが、やることは同じだ。
視界の先に魔族の群れが、姿を現す。
この場で全員潰すだけだ。




