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第五節「追慕」

留意事項:暴力的描写

イメナータは覚えている。

絶望の朝を。

それが途切れ途切れだとしても強く。

思考が体から離れたようにぼんやりとしていたとしても恐ろしく。


直前は何をしていただろう。

母に着いて宮を駆けていた時?

宮の廊下で、黒装束の一団とすれ違って、目が合った。


そして?


気付けば薄暗い部屋で、仰向けに寝かされていた。


寒々しく心許ない体は薄着か裸か。

少女を囲む何対もの黒い目が愉快そうに細められていた。

浅黒い肌の両の手が、

少女から切り取られた細指の手首を玩具のように操り、

白い腹の上に踊らせた。


そんな、光景。


不敬な悪夢であればどれだけ良かったか。

朝に目覚めたのは、宮の大広間の端の硬い床の上。

布の端切(はぎ)れで(おお)われて、痛みを思い出し脈打つ、

先のない右手が現実だった。


出会う者、突き当たる家に、覚えていることを訴えた。

しかし、仲間だと、友だと思っていた者にも失笑され、

年長の者には張り飛ばされる。

嘘を吐くな。黒銅の民を。それを愛し子とする神を。

侮辱するな、と。


張られて腫れる頬。

ふらふらとする体が日射に刺される。


そして――帰り着いた家に家族の姿はなかった。


配給も取りに行く体力も、礼拝に行く気力も失われた。

礼拝を抜かしたのは後にも先にもその日だけだ。


やがて夜が深まるにつれ、頭が暗くなり何度も吐いた。

血と唾液が混ざって泡を立てていた。

このまま死ぬのだと思った。


しかし、扉が暴かれ光が差した。

甘い香りがした。

伸ばされた手に引き上げられた。


プラムバムの名を継いだ若き神官の手によって……。

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