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第二節「様子見」

鍵を開けられたことに気が付いたのか、そろりと扉が開けられる。


「失礼いたします……」


隙間から、プラムバム神官が顔を出した。

コッパーは寝台の上へのそりと体を押し上げたところで、

黒装束の丸まった大きな背中はまるで熊の類だ。


「おはようございます」


プラムバム神官が寝台に歩み寄り、扉が開け放たれると、

後ろから盆を持った男の神下(しんか)が不安そうに部屋の中を伺った。

神下(しんか)と言っても硬い胴着などのやや(あつら)えの違う装いをしていた。


コッパーはその二人を眠たげに眺める。


プラムバム神官は、肩で息をしているコッパーを見て異変に勘付いた。

一言断りを入れて、コッパーの頬に触れる。


「熱だ……」


その間に机に盆をたどたどしく揃えていた男神下(しんか)はそれを聞き

プラムバム神官の方へ顔を上げた。


「神官様……」

「お前は仕事に戻れ。

 神下(しんか)にコッパー様の状態を伝達し、

 まずは着替えと新しい水を」

「はっ、かしこまりました」


神下(しんか)はぴんと足を揃え礼をし、姿勢良く走り去った。

この神下(しんか)は本来給仕ではなく見張りなどを行っているのだろう。


「食事を取ることはできますか」

「……ああ……」


プラムバム神官は机を慎重に引き、コッパーに近付ける。

また、扉のそばの妙な位置にある椅子に首を傾げながらも、

寝台の近くに持って腰掛けた。


コッパーは盆の上のものを食べ始める。

プラムバム神官はその様子を観察し、遅い動きながらも、

食事の進行に手の震えなどの差し障りはないことを確認したため、

窓の光の方を眺め静かに待った。


やがて、男女混合の神下(しんか)が4名ほど訪れたが、

コッパーの食事が終わるまでは部屋の外に控えさせられていた。

コッパーが食事を終え息をついたのを合図に彼らは入室し、

コッパーの体は薄く濡らした布で拭われ、座ったままで着替えさせられる。


プラムバム神官はその間、簡単な指示出しの他は静かに座してその様子を見ていた。

汗で濡れた布、水の交換などの交換は女が行い、

コッパーの体に触れるようなことは男だけで行われたが、

そのように指示したのもプラムバム神官だ。


滞りなく作業が完了し、神下(しんか)が去る。

プラムバム神官はそのまま座している。

熱に浮かされたコッパーでも、彼が何か使命を帯びて来たことはわかった。


「どうぞ、楽になさってください」


半身起き上がってプラムバム神官を見るコッパーに、

彼はそっと手を添え、横たえるように介助する。


「やむなく大袈裟になりましたが、

 私はただ、本日のご予定を伺いに来たのです」


彼は椅子に座り直し、黒い瞳が自分を向くのを待ってから続けた。


「昨日はご案内できず、申し訳ありませんでした。

 グスタ神官も……。

 本日からは何卒、と思っていたのですが」


布団に包まれた大きな体が呼吸によって大きく膨れ縮む。


「……長い話は今することではありませんね。

 かように熱もあることですから、

 もちろん本日は回復に務められるよう働きます。

 私も時々伺いますが、

 この部屋に神下(しんか)をおいても構いませんか」

「……」

「……失礼いたしました。

 扉のすぐ外に控えさせるのは?」

「……」

「……イメナータは、来ません」

「ん……」

「……良かった。何か合図があるまで入らないよう、

 見張りとともに控えさせます。

 用があれば手を叩いたりなどしてお呼びください」


コッパーの眉根にぐぐっと力が入るのを見たり、

瞼の落ち方などの小さな表情の機微で、

プラムバム神官は巧みに対話を成り立たせる。


そして、椅子をあるべき位置に残し、プラムバム神官は去っていった。

展開が少ないっ

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