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ピープルインバスケット  作者: 扉野ギロ
ぐりむとれ
29/106

ぐりむとれ 16

 もう日が暮れる。

 窓から差し込む赤っぽい日差しに当たりながら、ラナイはふとアレの胸元の宝石を思い出していた。

 なんでこんなものが、なんて感想も懐かしく。

 

(……そういえば、あいつとちゃんとした飯を食ったことがなかったな)


 もしもあったならばとその日テーブルに並ぶ食事を妄想していた。

 それを(大皿いっぱいの……)まで思い浮かべて、ラナイは結局皿の上に何も乗せられなかった。

 

 自分の好物がわからない。


 きっと普通の生活をしていたはずなのに、毎日何かしらを口に入れていたはずなのに。

 記憶の部屋には、何を美味いと思って食べていたのか、何が好きだったのかなんていう簡単な自分自身を書かれた本すら見つからないのだ。


 あるのは、【イグナスの山】で目覚めて下りてからの記憶。それだけだ。

 改めてそれをパラパラと読み返すと、


(そうだ、アレの好物なら……)


 思い浮かべて、大皿いっぱい"キノコ"がテーブルに並んだ。

 なんとも質素な食卓だ。

 二人揃って食卓を挟み皿いっぱいのキノコを貪る。そんな無骨な光景にも関わらず、ラナイの喉がゴクリと鳴った。


 その音は、腹が減って鳴ったわけじゃない。

 妄想にせよ、生のキノコを飲み込んで喉が乾いたのだ。

 となれば、体が欲するものはひとつ。

 ラナイは、いつの間にか手に持っていた白い陶器のジョッキを傾ける。

 すると、喉奥に流れ込む冷たい液の感触、そして口の中に広がる甘酸っぱい味、甘い香りとそれが発酵して放つ独特の香りが鼻に抜けていく……。


 とその時、妄想に耽るラナイの意識に自分の名を呼ぶ声が響き、口の中に感じた甘酸っぱい味も香りも消えてしまった。


「あの……お腹空きません?」 

 

 それは、同じくベッドに腰掛けていたルールーウィップの声だ。

 ラナイは二回、膝を鳴らす。


「あっ、そうか……。ラナイさんはお腹空かないんでしたね……そっか……」


 とまたルールーウィップが漏らすと、その腹の虫が鳴く。


「あ、あの、私ちょっと夕食を買ってきます。もしかしたら、二人も外輪で食事をして遅くなっているのかもしれないし、探しがてら……」


 一緒に来ますか、そう言ってルールーウィップはラナイの方を向いた。

 断る理由もない。

 ラナイは無言のまま立ち上がり、彼女の肩に手を置いた。


 二人が宿を出ると、外輪は夜に向けてせっせと賑わいの準備をし始めていた。

 店々の扉が開けっ放しにされ、そこから商品を乗せる台やら商品そのものを運び出す人々の姿、荷物いっぱいの荷車を道端に停めてそれを露店へと変形させる者、まだ店になりきっていない道端に置かれた商品を早速と物色する者なんかもいて。

 

 それは宛ら、長年放置された庭の隅のブロックをひっくり返したような光景だ。


 落ち着き無く歩き回る人々に混じって、ラナイとルールーウィップは外輪をなんとなく歩いていた。

 するとふと、


「私は、ヒイラギと一度も食事をしたことがないんです」


 ルールーウィップがどこか遠くに向けてそう言った。


「ただ、いつも……たぶん同じ場所で、同じくらいの時間座って話をしていました。

 とはいっても、話すのは大概私ばっかりで、ヒイラギは『そうか』とか『わからない』しか言いませんでしたけど」


 クスと笑うルールーウィップ。


「だから、懐かしいです。ラナイさんといると、本当にヒイラギが帰ってきたみたいで」


 声の行先がラナイの顔へと向く。


「ねえラナイさん。どうしてヒイラギはいなくなってしまったんだと思います?」

「…………」

「……わからない、ですよね」


 ラナイは一回、指を鳴らした。その時。

 ルールーウィップが不意に足を止めた。

 

 突然の行為に戸惑うラナイがルールーウィップの目の前で、(どうした?)と肩をすくめると、


「血の……匂い……」


 そう言ってルールーウィップは尖った気配を零区の方へ背けた。

 そして、「ラナイさん、行ってみましょう」と腰の剣に手を掛けて走り出す。


 後を追い、ラナイも零区の迷路へと踏み入る。

 しかし、急いでいるルールーウィップの足は速く、そこへ入って早々にラナイはルールーウィップを見失ってしまった。

 その姿を探そうと鼻を利かせてみるが、何も感じられず。

 適当に進もうとした迷路の向こうから、「こっちです!」と声が響いた。


 とにかくと声を追うラナイ。

 角を曲がる度に「こっち」、「こっちです」と、目に見えぬルールーウィップがラナイを誘導する。

 それが幾度目か、導きの声が止み。


「イルルさん!? イルルさんですか!?」


 と曲がり角の先から慌てた様子のルールーウィップの声が聞こえた。

 だが、そこを曲がっても彼女の姿はなく。

 結局ラナイが二人の妖獣人の男に抱えられる妖精の姿を見つけたのは、ニ回ほど曲がり角に迷った後だった。   

 

 そばに寄る前から、匂いでラナイにはイルルに何が起きたのかわかっていた。

 だから急いで周囲を見回した。だが。

 やはりそこにグリムの姿は無かった。


「すごい血の匂い……。イルルさん、しっかりっ」


 暗くなった零区の路地で隣家の窓から漏れる明かりに照らされ、イルルの布の服は黒く染まっていた。

 彼女を抱える二人の男も血で汚れている。


「あんたら、この子の知り合いだな!?」


 男が言う。


「ええ、そうです。彼女に何が……?」


 緊張した声でルールーウィップが問いかけると、男は「わからない」と頭を振った。


「わからない……?」

「一度外へ帰ったんだと思ってた。それが、この子だけ通路に血まみれで倒れてたんだよ……」


 男の証言に、「どういうこと?」とルールーウィップが呟く。


 すると、ルールーウィップが疑問に答えを出すのを待っていられないといった様子で、別の男が「急がんと、この子が死んじまうっ」と急かした。

 そうして呆然とするルールーウィップを押しのけて二人が先へ進もうとすると。

 

 すれ違いざま、イルルが震える手でルールーウィップの腕を掴む。


「め……ちゃ……つ、よ……」

「強い? 強いって誰が?」


 声を聞き漏らすまいとその小さな顔に耳を近付けたルールーウィップ。

 そこへ震える唇でイルルは最後「り」と「あ」だけ伝えて、腕の力が抜けた。

 

 それをきっかけに一気に加速し走り去る二人の男。

 その背中を僅かにだけ見送り、ラナイはネズミ道に向かって走り出した。

 背後には、「私はイルルさんについていきます!」というルールーウィップの叫び声が聞こえていた。


          ◯

 

 ネズミ道の入り口に立つと、ラナイをまず出迎えたのは"わけのわからないもの"だった。

 昨晩に見覚えが無いのは当然として、焦げていること以外それが何の焼けた後なのかすら理解できず。ラナイにはただ何かの塊としてしか認識されなかった。


 それはまるで捨てられたように入り口の脇に転がされていて、豚の丸焼きに見えないこともなかったが(とても食い物とは思えない……)匂いを発していた。


 そんなわけのわからないものを横目にラナイは四足姿勢へ変化、ネズミ道へ続く穴へと潜り込んで行く。

 そこに満ちた暗闇は、ラナイの前では特に意味もないものだった。


 輪郭をくっきりと浮かばせるその視界は、イルルの"テルテル"で映し出される景色と似ているが、ラナイが見ているのは相変わらず白黒で色のない世界だ。

 ほとんど直線と思えるその道をいくらか進むと、脇から光の漏れる道を発見。


 ここよりも二回りばかり狭い道に体をねじ込むと、ラナイは肘を張った格好から所謂四つん這い、だがどちらかといえばそういう獣のような姿勢に変わる。

 それで道幅の八割ほどを埋めるラナイの巨体。


 もしもこの狭い道でこんなものと出くわしたのなら、慌てて道を引き返すか、それとも悲鳴を上げるだろう。

 しかし、ラナイが適当に進む道で人を見かけることはなかった。

 むしろ、グリムに聞いたような賑わいなんてものはどこにもなかったのだ。


 そこにまるで人気を感じず、ただ自分の足音がバチャバチャと響くだけの物悲しい空間がずっと奥まで続いていた。

 それは、暗い洞窟や深い森の奥で感じる孤独を滲ませるものではない。

 何の用も無くただそこらを彷徨い歩く時の無意味さを孕んでいた。

 

 幾つも壁に張り付いた木製の扉が絵画のように立体化を失って見え、その先に何があるかなんてことは気にもならず。

 耳に触れる自身の足音も、いつしかあって当たり前とラナイの耳の穴には特別に感じられなくなっていた。


 そんな無機質で素朴でつまらない空間を先へ進もうとさせていたのは、"匂い"だ。


 あまりにも現実的な世界で、奥から漂う異臭が今をネズミ道の異常だと叫んでいるかのようだった。

 誘われ、ラナイはルールーウィップほど器用にではないが、匂いを追った。

 

 五回ほど角を曲がり、そしてラナイが見つけたのは、扉の脇に壁が破壊された跡、中途半端に数枚の板が貼り付けられて塞がれた風な場所だ。

 前に立つと、それまでもずっと感じていた生臭さがここから漏れていたのだと、初めて来たラナイでもすぐに理解することができた。


 グリムが閉じ込められ、そしてイルルが破壊した壁だ。

 ラナイが様子を確かめようとそっと板の隙間から中を覗き込むと、部屋の隅に重ねられた死体の山が目に映る。


 謎の多いこの通路で、確かにそれは異常な光景だ。

 だが、ある意味でラナイにはそれが不自然なものだと感じられていた。

 なぜ。


 理由は、死体が集められているからだ。

 野垂れ死ににしろ、何にせよ死体があっておかしくはないが、それはおそらく偶然の出来事だったはず。

 それが、突如所為をもってそこに"重ねられている"。


(邪魔だったから、まとめたのか?)


 というようにだ。

 ならば、一体何が"邪魔"だったのか。

 少ない情報の中でラナイが思いつくのは、それらが"死体"であることとだ。

 

 そこに山となっている死体から考えられることは、あれらは"死んでから"そうされたということ。

 そしてさらに、あれらを襲ったのが野獣であるならば、集めた餌は適当に食らうはずなのに、覗き見た室内に荒らされたような痕跡は見つからないことから、死体は"後でどうにかする"、"置いていった"という犯人の意志が込められているような気がした。


 つまり、あれらは何らかの理由でこの部屋に"運び込まれた"。

 知能の高い者が犯人だ、というのが現時点でのラナイの答えだった。 

 

 そこでラナイは、イルルの伝えたかった「り」と「あ」のことを思い出す。


――グリム、危ない


 彼女が伝えたかったことは、それで間違いないはずだった。

 グリムは、少なくとも油断して野獣に何度もやられるような者ではない。

 

(なら、今グリムを危険に晒しているのは……)

 

 ふと、また死体の山へと視線を戻すラナイ。

 そして、それらが"朽ちかけている"無残な姿を見て、昨日グリムから聞いたことを踏まえて考える。

 

(時間が経った死体、それでここは開かずの間か。だったら死体は増えていないはずだ。数ヶ月か数年前か、ここで誰かに殺されて。そして今回、イルルが襲われた……妙にタイミング良いな)


 何か浮かびかけるラナイ。その時。

 その耳の穴に誰かの叫び声が届いた。


 声がしたのは、今いる通路の先。

 急ぎ曲がり角を越えたラナイの目に、またわけのわからないものが映り込む。


「なんだこいつっ! やめろぉぉお!」


 必死に叫ぶウサギの妖獣人の女、それをうつ伏せに押し倒して何やら女の頭部の匂いを嗅いでいるのは、先刻グリムとイルルを襲った全身に深緑色のアンノウン"人虫"。

 そして、ラナイにとっての(毛虫人間……?)だ。    

  

 もしやこの毛虫人間がグリムを襲ったのか、とラナイは女が襲われる様を曲がり角から観察していると、


「ぎゃぁあああ!」


 目が合って、女は一層激しく絶叫した。


「ちくしょう! なんでこんなところにゴーレムが! ちくしょう! ウチが何したってんだよぉぉおお!」


 女はまた叫び、体を押さえつけられたまま滅茶苦茶に腕も足も振り回して暴れた。

 すると不意に毛虫人間の顔がラナイへと向けられる。


 全身の薄い毛をフワフワと漂わせ、毛虫人間は首を小刻みに動かしながら、ラナイからなかなか顔を逸らさなかった。

 その様子に自分も観察されていることを察したラナイが、念のためと、


「よ……こん……わ」


 声を掛けてみると。

 突如毛虫人間はウサギの妖獣人の女を放置し、ゆっくりとラナイへ近付き始めた。

 

(一応通じるみたいだな……)


 交渉の余地ありとラナイが二言目を発しようとした途端。

 急加速して地面を蹴り、毛虫人間はラナイの大きな頭部に飛びついた。

 

 突然の出来事に一応には驚いてみたものの。それよりも、頭を這うように動き回る毛虫人間が自分の体の何に興味を持ったのかが気になって、その動きを視界に捉えようと頭を動かすラナイ。


 それが耳の穴の辺りに来ると、体表面には感じられなかった毛虫人間の息遣いと長い毛が感じられた。

 少しむず痒いような感覚に頭を避けようと身動ぎした瞬間。


「ヌグっ!」


 耳の穴の奥に異物感、瞬間的な痛みを感じ、ラナイは咄嗟に頭を振り回した。

 

 衝撃に毛虫人間がすぐそばの壁へと飛び退き、そして。

 そこへ向けられたラナイの視線に、ギチッ、とひと鳴きして大顎を開き、奥に潜む無数の歯の生えた口を激しく打ち鳴らし始めた。


 すると全身の毛がピンと伸び、忙しなく動き続けていた首もピタリと止まり、壁面を掴む三本の指に力がぐっと込められる。


 静かだった通路が、今度は、カタカタ、と続く喧しさで満たされていた。

 そこに混じり込んだのは、音域の違いが無ければ気付かなかったかもしれない程度の僅かに水の動く音。


 それが聞こえた瞬間、毛虫人間はまた飛び退いた。

 鳴くのも忘れるほどの一瞬の出来事。

 毛虫人間のいた場所にあるのは、バンッ、という衝撃音と共に置かれた歪で大きな手の甲だ。


 その手の甲へ一瞬視線を送り毛虫人間が再び鳴き始めると、風が追って訪れる。

 逆立った毛は一本残さずに前方へと流れ、誘われているかのようだ。


 待ち受けているのは、小さな洞穴か。

 大口を開け、通路内の空気全てを吸い尽くさんとして息を吸い込む歪な原石の人型がそこにいた。

 

 毛虫人間は流れる風の勢いに負けまいと姿勢を低くし、地面に強く指先を食い込ませる指の股で薄っすらと張った水が波を起こして小さな飛沫を上げる。

 喧しい毛虫人間の鳴き声は止んでいた。


 そして、ハッ、と小さな息遣いを合図に通路は静寂を取り戻し。

 次の瞬間。


「……ハッ、ハァァッ……ケホッ」


 洞穴の奥から風が漏れて、掠れて鳴る。


(おかしいな……)


 拍子抜けしたのは、ラナイだけでなく、通路の中央にいる毛虫人間もだった。

 再び忙しない首の動きを再開し、何度も小首を傾げているような仕草は、そこにいる原石の人型が何をしようとしたのか考えているようにもみえる。


 それが幾ばくか。

 突然向きを変えた毛虫人間は、そこで倒れているウサギの妖獣人もこの期に及んで考え事を始めた原石の人型にも目もくれず、通路の奥へと走り去って行った。


 そうして通路に残されたラナイ。

 曲がり角の向こうに消えた毛虫人間を見送りながら考えていたのは、(いつからだ?)ということ。


 少なくとも四日ほど前から、ラナイは例の息が出せなくなっていた。

 そのことに気づいたのは、あの晩にルールーウィップを試そうとしたその時からで、本人に自覚は無いが、もう少し前からだったのかもしれない。


 とにかく、気がつくとラナイは黄色の息を吐き出せなくなっていたのだ。

 割りかし不便だと思っていただけに、気をつける動作が一つ減ってラナイにとってそれはそれで気にするようなことでもなかったが。


 実際使おうと思って使えないことがこの緊急時に一つ手段を失ったという重要な事実だと知ったラナイは、自分に残された"武器"が何なのかを考える。

 力以外何もない、と答えはすぐに出た。


 この先グリムを救うにあたり、怪力を用いること以外にラナイにできることがないのだ。

 おまけにこれは本来の自分ではない、仮の姿のさらに仮の姿ときている。

 

(まあ、叩いて潰せる相手ならなんとか……)


 手の平にまで張り付いた鈍い赤色の原石に視線を落とすラナイ。

 ついさっき壁に叩きつけても傷一つ付いていない。それから壁に視線を移すも、そこにも傷は付いていない様子だった。


(叩けば、いけるよな……?)


 若干の不安とともに壁から再び手の平に視線を戻し、ラナイは拳を握り締めた。


 そうしてついに視線はうつ伏せに倒れたまま動かないウサギの妖獣人へ。

 ラナイはゆっくりとウサギの妖獣人の女に近付き、(大丈夫か?)とその小さな背中を軽く指で突く。

 しかし、女はピクリと一瞬反応しただけで、それ以上動こうとしなかった。


(死んだフリか……)


 なら、無理して起こす必要もない。

 女を無視して毛虫人間の逃げた先の角を覗き込み、ラナイは思わず息を呑んだ。


 通路の壁や扉についた黒い煤、そして飛び散ったおびただしい量の血の痕。

 そこには一目瞭然な戦闘の痕跡が残されていた。

 にも関わらず、大きな血痕にも関わらず地面に赤色は残されておらず、あるべき血痕の主もそこにはない。


 不明のけが人、もしくは死者を想像し、そしてラナイはイルルを抱えていた二人の男の話を思い出す。


(……ここで、イルルは倒れてたのか?)


 血痕に近付き、そっと匂いを嗅いでみるが、ルールーウィップのようにそれが誰のと判断することはできない。

 

(そういえば。あいつらは一度外に出たはずなのに、って言ってたな。なんでだ?)


 血痕を前に、ラナイはここにいた当時の二人を想像し、そして幾つも散らばっていた疑問を繋ぐ一つの答えを見つけた。

 即座に道を戻り、うつ伏せのまま頭を左右に振って慎重に通路の様子を探っている女に問いかける。


「イ、リ……プゥ……っかっ?」

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