↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
舞妓探偵  作者: 掛出すみれ
雪乃編
PR
9/33

第一話 九節

稽古の後、舞妓たちがぽつぽつと散っていく中で、羽根駒だけがお師匠に呼び止められた。

華宮耶も一緒に叱られるものと思って、そろりと隣に座る。

「華宮耶、あんたはもうええ。問題は羽根駒、あんたや。」

羽根駒は小さく身を縮めた。

「あんたが稽古に身ぃ入ってへんのは珍しいな。」

お師匠の声は低かった。

「あんたのえらいところは、自分に厳しゅうできるところや。それはうちも太鼓判を押せる。けどな、弱いところもそれや。あんたは自分に厳しゅうしすぎる。人を見過ぎる。自分を後に回しすぎる。」

羽根駒は返す言葉もなく、畳に額がつきそうなほど俯いた。

「あんた、ずっとあそこを見とったな。」

お師匠の視線が、いつも雪乃が座っている辺りへ流れる。

「ええ加減にし。あんた、そんなこと考えてる場合とちゃうんえ。」

その言葉は、焼けた火箸のように羽根駒へ突き刺さる。

「……まさか……『この先』から逃げようとは思てへんやろな。あんたは……」

一転して、声は氷のように冷たかった。

羽根駒は三つ指をつき、深く頭を下げた。

「へぇ。思うてません。」

師の言葉を遮るなど、普段の羽根駒なら決してしないことだった。

ーーどうか、それ以上を言葉にするのは堪忍しておくれやす。

しばし沈黙が落ちた。

「ええ……うちも、そうは思うてへん。」

お師匠は小さく息を吐く。

「お説教は終いや。」

そう言ってお師匠が立ち去ってなお、羽根駒は暫く動けなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。