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一番星は追放された宮廷魔法使いに恋をする  作者: 海野豹香


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【番外編】ジャンケンの魔法


ある日の昼下がり。ステラはルーカスの部屋を掃除していた。毎日掃除しているはずなのに、ちっとも片付かない。コーヒーのカップを回収してキッチンのシンクに入れ、床に散乱した魔導書を本棚に戻していく。いつものルーティンだ。


「もー、師匠!昨日もご飯食べてないでしょ!」


片付いた綺麗なキッチンを見て、ステラがルーカスに怒る。彼は掃除の邪魔にならないように窓際に座って魔導書を読んでいた。


「...昨晩は珍しい召喚魔法の魔導書が見つかって集中してたんだ」


「そんなこと言って!あんまり体たらくな生活してると、不健康ですよ!ほら、顔色もなんだか悪いような...夜は私が家に帰っちゃいますし、一人でもちゃんと食べてくださいね!」


箒を持ったステラが読書中のルーカスの顔を覗き込む。


「はいはい」


ルーカスのやる気のない返事にため息をついたステラは慌ただしく部屋中を行ったり来たりしていた。


本棚に魔導書を戻しながら、背表紙がずらりと並んだのを見てステラが尋ねる。


「そういえば...師匠って普段は何の魔法を研究しているんですか?エレン様はなんとなく動物を使役する魔法をお使いになられているのはわかりますが、師匠が使う魔法って何の魔法なんでしょう?」


「俺はエレンのようにひとつの魔法を極めるタイプじゃないからな...基本なんでも使える。まあ、オールラウンダーってところだ。魔法使いによっても色んなタイプがいる。火だったり水だったり...ある程度、属性があった方が魔法を習得しやすいと聞くが」


「へぇ〜色んな魔法が使えるんですね。ちなみに今は何の魔導書を読んでいるんですか?」


「これか?『ジャンケンで必ず勝てる魔法』だ」


思ったよりくだらない魔法で、ステラは唖然とした。ウィルトール王国で最強と謳われたこの人が、ジャンケンに勝つための魔法を研究しているなんて......「わ、わぁ〜それはすごいですね」と引き気味に言った。


「これを読み終えたら、俺が本当にジャンケンで勝てるか勝負してくれ」


「はいはい......」


ステラは箒で掃きながら、まるで少年のようにワクワクしているルーカスを見て笑った。



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