55.ようこそ
この日からスカイシップは更に世界中を飛び回る事になる。命に関わる事が一番。食料問題が二番。病気が三番。事件、事故が四番。イジメ、セクハラ、過重労働が五番、と言う風に、女将が組分けと、優先順位をつけてくれ、誰がどこに飛んで行けば良いのかを、フリー&ブレスに指示を出してくれる。ベイ達4組の夫婦は女将から出動要請が出るまでスカイシップの中で待機して居る。でもよく考えれば…別に助けて欲しいと言われた訳でも無いのに、8人は、その人の前に現れる…優しさの押し売りもいいところである。しかし8名が駆けつけて助けた人は、誰一人として文句を言う人はいない…それはなぜか?…全てホタル達の働きである、1人の肩に2匹のホタル…誤った情報は1つも来ない…だから本当に「助けて〜」と言う人の所に行っているからである。世界中を、飛び回り出して3日目に…匠と女将から衝撃的な告白があった。8時間の活動を終えてスカイシップに帰って来た8人が「ただいま帰りました…」と言うと、匠から「お帰りなさい、ご苦労様でした」と言う労いの言葉が…しかし横から女将が「ベイ博士、皆さん、ラチがあきません…」と言った言葉が発せられた。8人は「えっ?」と言いながら女将を見つめた…女将は腕組みをし…「70億人を超える人数に対して…いくらマッハのスピードで飛べても、いくら壁を通り抜ける事が出来ても…8名では無理があります。…そこで匠と私から提案があります」「何ですか?」と聞いたのはジョニーである、女将はニッコリと微笑んだ後「ホタル達に…四番目と五番目の仕事をしてもらいます」「…なるほど、助かりますね」と言ったのはベイである、メリーはベイの顔を見つめ「ねぇ、どうやって…?」「ホタル君達に先回りをしてもらうんだよ」「えっ?」「例えばね、居眠り運転で事故を起こしそうな人がいるとするでしょ…ホタル君に運転手を路肩に止めてもらって仮眠をとらすんだよ」「もしも、間に合わない時は?」「歩行者の肩についているホタル君達が、車が突っ込んで来る3秒ほど前に、被害者に成るであろう人達を避難させてくれるんだよ」「へぇ〜すごい。じゃあ、例えば女性を襲おうとしている人がいるとすると、事前に眠らせちゃうとか?」「その通りだよ。もし間に合わない時は、女性の肩についているホタル君が、強姦魔に睡眠ガスをかけるんだ…それと同時に、強姦魔の肩についているホタル君は、警察に通報するんだ…」メリーだけではなく全員が「オォッ〜」と言う歓声をあげて納得した。ルーシーが嬉しそうな顔で「イジメやセクハラも、同じような感じですか」と言うと、ベイは微笑みながら「そうだよ、イジメる前とか、セクハラをしようとする前に、気絶するの…女将さんそんな感じですよね」女将は笑いながら「はい、ベイ博士が説明して下さった通りです、気絶したり、転んだり、手を挟んだり、いずれにせよ悪い事をしようとした人です、痛い目に合ってもらいます。でわベイ博士、今までよりも多くの機能をホタル達に与えますけど…。よろしいでしょうか?」「はい、そうして下さい、女将さんと匠さんの考え方に私も賛成です、よろしくお願いします」「ありがとうござます…では直ぐにホタル達をバージョンアップします」「えっ〜、直ぐに出来るんですか?」と言ったのはグレイである、女将は笑いながら「はい、出来ますよ…あなた、終わったかしら?」と言って匠の顔を見ると、匠は2秒ほど沈黙した後に親指を立て「はい…いま全て終わりました、…ホタル達が今まで以上に活躍が出来ると言って喜んでいます。これで皆さんの出動回数がグンと減ると思いますよ」と言って微笑むと、8人は心の中で(もともと2番の作戦は、匠さんと女将さんが私達が寝ている間に、ホログラムを使って…食料を瞬間移動で届けてくれて居たんだよね…その上に4番目と5番目の作戦までも…どこまでやさしいAI…イヤ…優しい人なんだよ…)と思い…鼻をすすりながら親指を立て…そして微笑んだ。次の日…1番と3番の作戦だけに限定されると本当に皆んなの出動回数がグンと減り、8人の自由時間が大幅に増えた。そんな時「ベイ博士…ぼちぼちリチャードさんのご家族を食事会に誘ってみてはいかがですか」と言ったのはジョニーである、ベイは「ありがとうジョニー、実は僕も気になっていたんだよ…皆んな、いまジョニーから食事会の提案があったんだけど…」と少し大きな声で皆んなに伝えた。「いいですね〜、やりましょう」と言ったのはボブである、ベイは屈託のないボブの顔を見て「えっ〜とね、リチャードさんの家族と…ギンバレーさんの家族も招待しよう…当然ブラウンさんの家族も招待して…皆んなで友達に成っちゃおう…なんて思っているんだけど、皆んな…どうかな?」全員が笑顔で賛同してくれた、ベイは頷きながら更に「…食事会の席で、匠さんと女将さんを、リチャードさんの家族と、ギンバレーさんの家族に紹介したいと思います、いかがですか…」と言って2人に視線を送った…2人は照れ臭そうに小さく会釈をし…そして微笑んだ。ベイは自分達の活躍を影から支えてくれている2人を、どうしても皆んなに紹介したかったのである。。地球の危機からアッと言う間に1年が過ぎた、今でもスカイシップは週に4日間、地球狭しと飛び回っている。誰から頼まれてもいないのに、あいも変わらず優しさの押し売り(無料)をしている。2日間のお休みはホワイトホテルでのんびりと過ごし、残りの1日は、海底に眠る財宝を拾いに行く…どこの国にも届けない、泥棒と同じである…10人以外の誰にも知られてはいけない、本当の…闇のトップシークレットである。世界中のお金持ちが欲しがる物を、一番高値を付けてくれた人にコッソリと売りに行く…その額…物によって違うが、1億ドルから100億ドル、大金持ちなので、当たり前のように払ってくれる、よっぽど欲しかった物なのであろう。ただサービスで…その家族全員の病気を、全部治してあげると言う事も…大きな魅力の1つなのかも知れない。しかし10名は…財宝泥棒で稼いだお金を私利私欲の為に使う訳では無い、1番から5番で助けた人が、経済的に困って居る時に差し上げる為のお金である…偽善者もいいところである…しかし、たとえ汚れたお金であっても…本当に困って居る人には有り難いのである…偽善者作戦は臨機応変に進められて行った。。さて話は少しだけ戻る1月、3月、5月…と奇数の月は食事会。そして2月、4月、6月…の偶数月は遠足にしようと、皆んなで話し合い、満場一致で可決した。…人生は楽しむ為にあるのだ、多少無理だと思っても、頑張って楽しもう…ベイが子供の頃から皆んなに言ってきた言葉である。初めてスカイシップに乗ったギンバレー家族と、リチャードスミス氏の奥さんと、娘さんは、テンションが異常なくらいに高くなっていたが…回を重ねるたびに冷静さを取り戻して行った。5回目の遠足の時だった、事前に行きたい場所を必ず3家族に聞いていたのだが、遠慮をしたのか、それとも4回行った遠足で満足したのか?誰からも行きたい場所のリクエストが無かったので、とりあえず3家族をスカイシップに招待した後に、女将から「皆さん、こんにちは、今日は楽しい遠足の日です…さて今回は何処に行きたいですか?どなたからもリクエストが有りませんでした、どうしましょうか?」誰もが(えっ?なんで…自分の行きたい所を言わなかったの?ちなみに私は遠慮したんだよ…)と皆んながそう思った。ベイは苦笑いしながら「女将さんゴメン、僕が何も言わなかったのは、僕が行きたい場所を言うと、皆んなが遠慮してしまうと思ったからで…」と言うとボブが「私もベイ博士と一緒で、リチャードさん、ギンバレーさん、ブラウンさんの家族の方達から色々なリクエストが有ると思って…」と言うと…ギンバレーが「いや、あの実は、家内と子供達に…リクエストを遠慮しなさいと、言ってしまったんですよ」と言って頭をさすると、リチャードもブラウンも同じように頭をさすっている。女将さんは笑いながら「大人達の気遣いが、子供達の行きたい場所を、遠慮させてしまったんですね…今回の遠足は大人達の意見は聞かずに、子供達の希望する所にしましょう、さぁ子供達…どこに行きたいですか?」トムとニーナ、マイクとリン、そしてパトリシアの5人はデッキの中央に集まって相談した…一番年下のニーナが女将の前にすすんだ「決まりましたか?…どこに行きたいですか?」と女将さんがたずねると…ニーナは「5人の意見をまとめました…天の川が綺麗に見える所に行ってみたいです」「はい、かしこまりました…」リチャードとギンバレーは子供達の要望を聞き…(可愛いね〜子供達の発想は、赤道の辺りまで行くのかな?)と思った、しかしブラウンだけは(…あっ…きっと宇宙に出るんだ…)と思った。過去4回の遠足は全て地球内で、宇宙に出た事はない…ギンバレーとリチャードは宇宙を知らない。女将が「皆さん席にお座り下さい…」と言うと、皆んなは笑顔でソファに腰を下ろした…匠が微笑みながら「天の川が綺麗に見れるように、360度…窓にさせて頂きます」デッキ前方部分の窓ガラスがドンドン横に広がり…アッと言う間に、360度の大パノラマ状態に成った…すると急にソファが動き出し…気がつけば全員が横一列に並んでいた、青空が眩しく思えた。匠は更に「星を見る為に、あえて光速で移動します。スカイシップにシールドを張ります…出発します」窓の外に見える青空がアッと言う間に紫になり気がつけば大気圏の外に…ギンバレーの家族とリチャードの家族は全員席を立ち上がり…後ろを振り返った「えっ?地球が…だんだん小さくなっていく…えっ?星を見に行くって宇宙…」と言ったのはリチャードスミスである、妻のマーガレットは夫の手を握り「あなた、私ったら夢を見ているのかしら…」リチャードは妻の手をギュッと握り返し「現実みたいだね…本当に宇宙まで行けるんだ…」と呟いた。ギンバレーは妻のステラを抱きしめながら「む、胸がドキドキしてるだろ…ボ、ボクシングでは味わった事がないドキドキだよ…」ステラは夫の胸に耳を当て「本当だ…あなたにも怖いモノがあるのね…」ギンバレーは小さく頷いた。女将と匠は皆んなの前に進み「皆さん、約6時間ほどの遠足だと思って下さい」と匠が言うと、女将は「2時間後に食事の用意をします、それまでに飲み物、軽食等を御入用の方は遠慮なさらず声を掛けて下さい」と言った。するとメリーが(きっと誰も、遠慮して、喉が渇いた、なんて言わないわよ…)と思いながら「女将さん、何か飲み物を頂きたいんですけど」と言った、女将は微笑み「はい、かしこまりました」と言い終わると同時に21人の前にテーブルが現れた19人が(んっ?…)と思った次の瞬間、19人全員の前に、飲み物とちょっとした食べ物が出て来た。ベイ達8人とブラウン家族は驚く事はないが、他の7人は、目の前に自分が飲みたいと思っていたビールやシャンパンなどが現れ…なおかつ、ウィンナーやチキンやサラダなど…とにかく自分が欲しているモノが出て来たので(えっー?私が飲みたかったモノ…)ステラ婦人も、マーガレット婦人も、両手で自分の口を押さえ、目は見開いたままである…子供達の前にも同様に、イチゴパフェやチョコレートパフェやケーキの五種類盛りや、フルーツのオードブルなどが現れた。マイクとリンは母であるステラに「ママ、2時間後の食事…無理かもしれない…」と言ってスプーンとフォークを満面の笑みで握った。。。。。。




