33.ポーズ
ベイは開口一番に「匠さん女将さん…ただいま帰りました、ギンバレーさんを救う事が出来ました、ありがとうこざいました」とお礼を言った「それは良かったです」と匠が応えてくれたが…女将の方は…少し元気が無い「実は…主人とも相談しているのですが、まだ世界中のホタルからの…報告内容の分析が済んでないんです、すみません」と言う謝りの言葉が返ってきた。ベイは小刻みに首を横に振りながら「イヤイヤ、女将さん謝らないでください、無理なお願い事をしているのは私の方なんですから、こちらこそスミマセン」と言って頭を下げた。女将は分析が少し難しい事をベイに率直に告げた…「ベイ博士、実は私も匠も、少しモヤッとする人達がいるんです」「えっと…どういった人達ですか?」「一言で言えば、意地悪な人達です」「いじめっ子みたいな感じの人ですよね」「その通りです、子供から大人まで…正確に言うと老人まで…どうしましょう、生き返らせますか?」匠も女将も、ホタル達からの報告を受けて「どうしたものだろう…」と悩んで居たのである。メリーをはじめ7人は、ベイがどんな答えを出すのか…息を潜めて博士の顔を見つめていた。するとベイは「う〜ん…」と言いながら目をつむる事8秒…「…生き返らせずに、ほっときましょう」「えっ?マジで…」7人は思わず声が出てしまった。ベイは微笑みながら「僕は初めから皆んなに言っていたよね、悪魔の使いだって、気まぐれだって、世の中を混乱させるんだって…僕は昔から優しい人間じゃないよ、神様でも仏様でもないよ、頭は良いけどね、執念深いんだよ…昔僕達に意地悪な事をした人達の顔はいまだに覚えているし、その人達が今現在…困っていても助ける気なんて…さらさらないから、だってさ、僕達は泣きたい思いで、いや泣きながら、必死で耐えて居たんだよ、いつになったらイジメが終わるんだろう、いつまで続くんだろう…だいたいイジメをしてる奴らの言い分ってなに?、ひがみ?、妬み?、弱いものイジメ?、勉強が思うように進まずイライラしてたから、仕事がスムーズに進まなかったから、亭主が冷たくなったから、子供が俺の言う事を聞かないから、知らねえよ!全部自分で何とかしろよ。自分のストレスを他人に向けるんじゃねぇよ、って言う話だよね。イジメられている方は、何が何だか分からないからね…イジメる奴らは直ぐに徒党を組んで、大人数で1人や2人をイジメるんだ、何故だか分かるかい、罪の意識を分散、軽減させる為だよ。えっ〜俺はアイツのこと一回しか叩いてないし、俺だって一回しか蹴ってないぜ。私はあの子を無視しただけよ、私だってあの子と喋らない方がいいよって、知り合いにラインを送っただけよ。って言いやがるんだ…お前は一回殴っただけかも知らねえけれど、やられている1人は10回も15回も殴られ、蹴られてるんだよ。お前が喋らない1人の、女の子や、男の子は、誰からも口を聞いて貰えないんだよ…いい歳こいた大人が、分からない訳がないんだ、奴ら自分が悪い事をしているって、薄々分かってるんだよ、5歳の子供だって、自分の言葉で相手が喜ぶとか、悲しむって、良い事と、悪い事の区別はつけているよ、なのにそれ以上年上の人が、何で判断を誤るんだよ…むかし私はイジメっ子でした、今はしていません、イジメて居る子を見ると注意しています、あぁそう御苦労様、でもアンタが昔イジメて自殺した子は帰って来ませんから、年老いた親は亡くなった子供の事を思い出して、今でも泣いていますから…」ベイ博士はここまで一気に話すと7人の顔に目を向けた。熱く語ってしまった事を少し反省しながら「…ゴメン、一人で熱く成っちゃって…」と言った時だった、リンダが涙声で「私は昔、ボブに助けてもらい、皆んなに助けてもらったから…ベイ博士のおっしゃる事が分かります」と言った、するとボブも「俺も分かります…あの時、皆んなが加勢してくれなかったら…俺は力尽きて袋叩きにあって居ましたから」「イヤイヤあの時はボブ1人でも十分勝てたよ」とベイが言うとルーシーが真顔で「あの時、ベイ博士がお兄ちゃんの味方になってくれたから勝てたんですよ、いじめっ子は…力だけでは収められないんです、皆んなから信頼されている、頭の良い人が味方に着いてくれないと、勝てないんです」と言って下唇を噛んだ。ジョニーは頷きながら「僕もそう思います、好きなヒーローを語っただけでイジメられるって…おかしな話ですよね…あの時、皆んなに助けてもらえて…本当に嬉しくて、今でも感謝してるんですよ…」アンジーも頷きながら「覚えているわ、あの日の事…6人が私達2人の前に立ってくれて…イジメられると思った瞬間…とっても怖かったけど、皆んなが駆けつけてくれた瞬間…とっても嬉しかった、味方に着いてくれる人が居るって…こんなにも心強いんだって、体の底から感じたわ」8人はお互いの顔を見ながら…笑顔で頷きあった。6秒ほどの沈黙の後にメリーが静かな口調で話し出した「…私達は神様じゃない。…今私達が言っている事は、世の中のイジメっ子を殺してしまおうって言う話じゃない…その人が事故や病気で亡くなった時…ソッとして置きましょうって言う事よね…私はベイの言う通りにする」と言って右手を上げると、他の6人も勢いよく右手を上げた。その様子を見た女将は…匠と、うなずき合いながら「ではベイ博士…助けない方向でよろしいでしょうか?」「はい、その方向で…ただし、イジメっ子が、ちゃんと、イジメている相手に謝って、スっごく反省して、守る側にまわった時は助けましょうか?」「助けるんかい!」と即座に突っ込んだのはボブである、そして、いきなり笑い出したのは、リンダである「あっ〜ははははははは…お腹が痛い〜、もうベイ博士ったら、やっぱり助けるんじゃないですか〜おかしいと思ったんですよね。だって昔、私達に意地悪な事をした人達に対してでも、必ず最後には反省させて仲直りさせてましたもんね」するとベイは寂しげな表情で「…希望的観測なんだよ…反省して、守る側に立つ人は、本当に少ないんだよね…だって悪気なくイジメてる人の多い事、えっ〜冗談で叩いただけよ、冗談でお金を取り上げただけよ、冗談で無視しただけよ、冗談なのよーって…本当に冗談では済まない結果になる事を、分からないのかなぁ…」と呟いた。メリーは自分の拳をさすりながら「女将さん、イジメっ子に反省を促すような方法って無いでしょうか?」と尋ねてみた、すると女将が「有りますよ、ホタル達に、人間が寝ている間に夢を観させるんです、内容は、他人をイジメると必ず自分に返って来るぞ、と言うようなモノです、やってみましょうか?」メリーがニヤリと笑うと、他の7人もニヤリと笑った…すると匠が、嬉しそうな声で「ホタル達に今…夢見の機能を送信しました。今夜からイジメっ子達は必ず恐怖で目がさめる事でしょう…フッフフフ」と笑うと、女将も8人も匠につられて「フッフフフ」と笑い出した。ルーシーがグレイに「私達の笑い方って、段々と悪魔の使い、って言う感じに成って来たわね」「そうだね、あとは決めポーズを、ベイ博士御夫妻から伝授してもらうだけだね」と言ってグレイはベイに視線を向けた、博士は嬉しそうに立ち上がると「…あのね色々な映画を見て研究してみたんだけど、今からメリーとやってみるね…」メリーは真っ赤な顔で立ち上がると「皆んな…お願いだから一回で覚えてね、結構照れ臭いの…」そう言った後…2人は皆んなの前で約二時間にわたって講義&ポーズの実演を丁寧に教えて行った。ベイは初めからノリノリだが、引っ込み思案的なメリーは笑顔がこわばっていた…しかし30分も過ぎると何か吹っ切れたのか、かなり熱のこもったノリノリでキレッキレのポーズを決めてくれるようになり、終わる頃には「今…ベイと私がしたのは…あくまでも1つの提案だから、皆んなも好きなポーズを創り出してね、以上で終わりです、エヘヘヘヘへ」と言って自ら、講義の終了を告げる事までやってのけた。メリーは皆んなに頭を下げた後に、ベイに抱き着き「もぅ〜ベイ、スっごく恥ずかしかった〜」と言って足をパタパタ、(走り出すのか?)と言う感じで動かしている、6人はその姿を見ながら(いやいやメリー、めちゃくちゃ楽しそうに演っていたし、ベイ博士よりもノリノリで演って居たからね、本当は人前で何かをするのが、好きなんじゃねぇ…?)と思ったが、大人なので、そんな事は何も言わずに「ありがとうございました」と声を揃えて、御礼を言った……。。。




