11.意思の疎通
2人の子供は声を揃えて「わかった。バニーママ…バニーママ。」と2回名前を呼んでいる時に、母親が目を開けた。子供たちは声を揃えて「バニーママ」と言ってみた…すると「…なぁに、キャリー、カール」と言って微笑みながら両手を広げた…。2人は優しい声の響きに、思わず「ママ」と叫びながら胸の中に飛び込んで行った。バニーは2人にキスをしながらハリーの顔を見つめ…「ハリー、私なんかでいいの?」「バニー、会いたかったよ…いいに決まっているじゃないか…君こそいいのかい、僕は2人の子持ちだけど…」「ハリー、2人は私が産んだのよ、貴方と私の2人の子供でしょ…」「ありがとうバニー…僕と結婚してくれるかい?」「ハリー、イエスに決まっているじゃない、私は子供の頃から貴方の奥さんに成りたかったのよ、今…嬉しくて死んでしまいそうよ」と言うと、キャリーが「ママ、私達さっき神様に生き返らせて貰ったばっかりよ、それにママ結婚もしているわよ…」「あっ、ゴメンなさいねママったら何を言っているのかしらね」と言うと父親が「キャリー、カール、パパが今…ママに結婚って言ったのわね…もう一度新しい気持ちでって言う事だよ」と言って微笑んだ。するとカールが母親の胸から離れ「お姉ちゃん、パパもママを抱きしめたいんだよ…」「あっ、私ったら気がつかなかったわ、ゴメンねパパ」と言って母親の胸から離れた。強く抱きしめ合ってキスをする両親を見上げる子供達の顔は、満面の笑みである。生き返った17名は、皆んな嬉しそうに喋っている、8人は小さな声で「皆さん、お幸せに…」と口々に言いながら、テントの入口に向った…2人の警察官が涙目で8人に敬礼をしている。外の方から沢山の人の声が近いてきた、8人は2人の警察官に小さく手を振りながら「フリー・…透明シールド」と言ってテントの中から、一瞬にしてパッと姿を消した…テントの中に居る人達は(やっぱり神様だったんだ)と思いながら絶句した。…その直後に5名のドクターと10名のナースと6名の警察官と7人の消防士…そして駆け付けた37名の家族の人達が続々とテントの中に入って来た。まずドクターとナースが立っている17人を見て「キャッー」と悲鳴を上げた。すると後ろから警察官の人達が「ドクター、どうしたんですか?後ろがつかえてますよ、奥に入って下さい」と言いながら中に入って来て「ワアッー」と叫んだ。
その警察官の背中に消防隊の人達が「どうしたんですか?遺族の方達が待っていますよ、中の方に入って下さい」と言った、黙っている警察官に対して「押しますよ」と言いながら、7人の消防隊の人達は、日頃鍛えている肉体で、警察官、ドクター、ナースの21名をジワジワと中に押し込んで行った…37名は泣きながらテントの中に入った…体格の大きな消防隊の人達が壁に成って…遺体が見えない、先ほどまて前に進んでいた消防隊の人達までもが立ち止っているのだ。遺族の人達は立っている警察官やドクターの間を縫うようにテントの中央に来た…「えっ?」誰もがそう思った。1人の婦人が「もっ〜、悪い冗談はやめてくださいよ〜、チャンと生きているじゃないですか〜、でも良かったわ〜、あんなに大きな山火事で助かるなんて奇跡ね〜」と言って喜んだ。消防隊の人達は(何で?…真っ黒の遺体を俺達が運んだんだよな〜?)警察官の人達は(立ち会った時には真っ黒な遺体だったけど…?)ドクター達は(?確かに…死亡を確認したんだけど…?)ナース達は(私達は遺体だと思ってシートを掛けたんだけど…?)と思った。生き返った中の1人の壮年が「神様がね…信じて貰わなくてもいいけど、神様がね、今さっき、私達の目の前からパッと消えたんだよ…8人の黒い服装の神様…信じないよね…」と言って小さく笑った。6名の警察官はテントを警備していた同僚に目を向けた…(えっ…⁇…彼は病気で余命幾ばくもないはずなんじゃ…⁇)と思いながら「いったい何があったのかな…」と尋ねた。すると父親の警察官が「…男女合わせて8人の黒衣の人達が入って来たんだよ…何だか変な行動をしているので注意しようとしたら、俺達2人の身体が動けなく成って、そしたら8人の中のリーダーの人が…息子の病気を治してくれて、俺の足を治してくれて…その後、次々に亡くなった人達が生き返って…皆んなが入ってくる少し前に「皆さん…お幸せに」って言ってくれて…その後、パッと消えたんだよ…神様って本当に居るんだなぁ」と言って涙ぐんだ。日頃から冗談1つ言わないクソ真面目な警察官である。ドクターの1人が「神様だと…本人が言ったんですか?」と尋ねた…すると息子の警察官が「神様ですかと尋ねたら、違いますよとハッキリ言っておられました…でも神様以外に…誰がこんな事出来るんですか?誰か教えてください…」と言って周りを見回した。誰も言葉が出ない、するとキャリーが大きな声で「ベイ博士って言う名前の神様だよ、あとはね〜ボブさんリンダさん…ジョニーさんアンジーさん…え〜とねぇ、グレイさんとルーシーさん…神様の隣にはメリーさんがピッタリくっついて居たよ」と言って胸をはった。透明シールドを張って外に出ようとした8人だったが、既に沢山の人達が入って来たので、入口の横で待機せざるを得なくなっていた…しかし、キャリーが皆んなからの注目を集めてくれたので、そのスキに8人は外に出て、ヘリコプターに乗り込み、スカイシップに帰る事が出来た。スカイシップは一気に高度1万メートルまで上昇した。「皆さん、お帰りなさい、ご苦労様でした」と言う女将さんの声に、リンダは開口一番に「子供の記憶力はすごい〜」と言って笑った。皆んなも笑っていたが、ベイだけは笑わなかった。其の事に気付いたメリーは「ねぇ、皆んな、一度自分達の部屋に戻ってシャワーでも浴びて2、3時間休憩を取らない?」「良いわね〜そうしましょう」と言ったのはアンジーである。ボブはリンダと部屋に入る時に「女将さん、何か有れば直ぐに招集をかけて下さいね」と言って微笑んだ。ベイは部屋の中に入っても無言だった…メリーは手前の部屋で「フリー・メー、フリー・べーご苦労様、少しベイが疲れているみたいだから奥の部屋で休むわね。2人もゆっくりして居てね」と言って奥の部屋に入って行った。ベイは部屋の真ん中でボー然と立ち尽くしている、メリーは「ベイ…私達なにか気に触るような事をしたのかしら、もしそうだとしたらゴメンなさい…」と言ってベイの腰に手をまわした。ベイは小さな声で何かブツブツと言って居る、メリーの顔を見ては居るが…眼のピントが合っていない…と言う感じである…メリーは、フト思い出した(…そう言えば…前にも何度かこういうベイを見た事があるわ…)と思って居ると急に身体が締め付けられて来た、ベイが力の限りメリーを抱きしめているのだ…そして満面の笑みで「メリー、僕ね〜スッゴイ事を考えたんだよ」「何かしら」「教えて欲しい」「えぇ知りたいわ」「その前にキスしてもいい」「もちろん、いいに決まってるじゃない…」ベイはもの凄い勢いでキスをし出した、10秒…20秒と続くキスの中で、メリーの顔はだんだん赤くなり、頭の中がボッ〜として来た(ええと〜こうゆう時のベイは、キスだけだったかなぁ〜、其れともベットに入ってエッチまでだったかなぁ〜、どっちだったかしら、あぁ〜足の力が抜けて来ちゃった〜)そう思っているメリーをベイはヒョイと抱き上げ…ベットに向った。メリーは薄れて行く意識の中で(えへへ〜、エッチまでだったんだぁ〜)と思いながら、その身をまかせた…。隣の部屋でフリー・ベーが、ボソッと呟いた「御2人の体温が2度ほど上がった…」するとフリー・メーが「…と言う事は…幸せな状態に成っているのね」フリー・ベーは黙って頷いた。そんな時間が2時間ほど続いた…。しまりのない顔で天井を見つめているベイの胸に…これまた、しまりの無い顔でメリーが甘えている…「ねぇ〜ベイ…どんなスゴイ事を考えたの…」「あのね、さっきテントの中から外に出ようとした時にさ、沢山の人達が入って来たから、僕達はテントのスミの方でジッとしてたじゃない」「そうだったわね〜」「あれってさ〜、何て言うか…カッコ悪かったよね」「そうなの」「うんスマートじゃないよ…そこで僕は、フリー達に包まれた状態で、壁を通り抜けられるモノを考えたんだよ」「えっースゴイ」「でしょ〜、今から服を着て、2人で匠さんの所に行こうか?」「うん、行く…」鼻の下を伸ばした2人が匠と女将の部屋の前に来たのは…それから30分後のことである。匠と女将、そしてベイとメリー…。ベイは身振り手振りで、通り抜け装置の設計図を語っている、紙に書いた図面ではないが匠にはちゃんと解るらしく、「はい、博士のおっしゃる通り…可能です…はい作り上げられます…24時間頂けますか?」と匠が言った、ベイは嬉しそうな顔で「さすが匠さん、1日で出来るんですね、僕がしたら1カ月くらいかかりますよ」と言って微笑んだ。メリーはベイの隣で(…ちっともベイが言っている事が解らない…タクミさんも女将さんもスゴイなぁ)と思いながら小さく首をかしげると、フリー・メーが「メリー様、女将さんの声が届いています…」メリーが「えっ?」と言った次の瞬間「メリーさん、私は主に情報を集めて、分析すると言うコンセプトで作られました…ですから、私もメリーさんと一緒で、ベイ博士と主人が言っている事…ちっとも分かりません…2人で何を作ろうとしているんでしようね、うふふふふ」と小さく笑った。メリーは女将さんの優しい心遣いが嬉しくて、思わず満面の笑みで小さく手を振ってしまった、すると匠は自分に振られたと思い「はい?メリーさん、何でしょうか」と言った、女将は匠の隣で笑いながら「あっ、ゴメンなさい、今ね…メリーさんと私で、ガールズトークをして居たのよ」「おっ、私としたコトが、気配りが足りませんでした」と言って匠は頭を下げた…メリーは慌てて「私こそゴメンなさい、男同士の話の邪魔をして」と言って頭を下げた、ベイは笑いながら「メリーお待たせ…匠さんとの会議が終ったよ、上に上がって皆んなで夕食にしよう」と言ってその場を後にした。エレベーターの中でメリーは「ねぇベイ…後で皆んなにも発表するの?」「今はしないよ、発表はマシンが出来上がった時にしようと思って…今は僕とメリーだけの…秘密だよ」と言ってキスをすると、メリーは「明日の今頃が楽しみだわ」と言って微笑んだ。 第7 〈…マジック…〉次の日、1月8日、朝7時…皆んなで朝食をとっていると、ジョニーがボソッと「…あの〜ベイ博士…」「何だいジョニー」「あの〜昨日は山火事で、その前が漁師さんを助けて、またその前は落盤事故の方達を助けて…」「そうだね、どうしたの…疲れちゃった?」「とんでもない、むしろ喜びを感じています…実は昨夜テレビのニュースで、色々な難病で苦しんで居られる方達が沢山居ると…あの〜ベイ博士のおっしゃる復讐には…この方達は入らないんですよね?」「ジョニー…その分野まで手を広げると大変だよ…病院関係者の仕事を奪ってしまう事になるしね」ジョニーは黙ってしまい、皆んなも黙っている。1分間の沈黙を破ったのはボブだった「ベイ博士…こうゆうのはどうですか、ドクターがサジを投げた方達、あるいは今の医学では治せない方達だけ…どうですかね…?」ジョニーは笑顔で頷いているが、ベイは黙っている、するとグレイが「…世界中に病院ってどれくらい有るんだろう…中にはお金が無くて病院に行く事すら出来ない方達も…沢山居るんだろうなぁ…」「病院の数は女将さんに聞けば直ぐに分かるけど…病院に行けない方達の数はね〜」と言ったのはリンダである…「ベイ博士…宗教的には病気になっている方達の事をどのように言っているんですか?」と質問して来たのはルーシーである、ベイは身を乗り出して「どこの宗教の哲学も、けっこう辛辣な事を言ってるよ…過去の行い、前世の行いが今現在に現われている、みたいな感じの事を言ってるよ…だからビンボーで苦しんでいる人…病気で苦しんでいる人…皆んな過去の自分がした事の結果なんだってさ」と言った。するとアンジーが「じゃあ…過去の自分のせいなんだから、あきらめろ、って言う事ですね〜」と言って下を向いた、ベイは更に「中にわさ…死んだ後に天国に行けるぞ〜とか、極楽に行けるぞ〜何て…言ってる所もあるよ。僕達はあの世を見て来たけど、普通は死んだ後の世界何て知らねえし…って言う感じだよね。また中には宿命に流されずに、宿命を良い方向に転換して行こうって言う宗教の人達も居るよ…」「前向きなのね〜…考えると、私達も過去に良い行ないをして無かったのよね、だってさ…皆んな撃ち殺されちゃったものね、ベイが居なければ7人とも死んだままだものね」と言ったのはメリーである。ベイは皆んなの顔を見回しながら「…メリーの言う通りだね。思えば僕自身…皆んなを失った後に、かなり心が荒れてね…「過去の事なんて覚えてねえし、宿命なんて言われても従う気なんてねえし、大事な人を失ないたくねえし、其れを受け入れろって言う奴が居たら、「よし分かった、じゃあ俺が地球を無くしてやるから、全員あの世で仲良く暮らそうぜ」って言う一人言を言いながら、スカイシップを創り上げたんだよ…」と言って下を向いた。7人は顔を見合わせながら(常に冷静な人だと思っていたけど…私達(俺達)の為に地球を壊そうと思っていたの…えっ〜〜本気ですか…)と思った。メリーが優しい声で「ベイが悪魔に魂を売らなくて良かったわ」と言うと「いや〜僕が今している事は…既に売ってしまっていると思うよ…人は悲しみの中から立ち上がって…強く成ると思うんだ…その部分を邪魔してるんだから…」と言って口をつぐんだ…しかし3秒後、急に明るい声で…「なんて言う事をさ、何度も自分に問いかけて、う〜んって、考え込んだんだけどさ…答えが出ないんだよ〜、でっ、皆んなの考え方を聞いていたら…難しく考えないで楽しく行こうよ、って言う答えが今、浮かんで来てさ…ジョニーの意見と、ボブの提案を、ミックスして2で割ったような事をする、と言う事でどうかな…ジョニー、納得してくれるかい?」ジョニーは笑顔で頷きながら(あ〜そうだった、昔からベイ博士は、僕達が提案する事は何でもやってくれたんだよなぁ〜、ただしマズイ所は必ず修正してくれたんだ…そうだよなぁ〜ベイ博士が全力で動いたら、医療関係者は失業しちゃうもんなぁ〜)と思いながら「ベイ博士、ボブの提案が入った方が、僕もイイなと思います…」と言った、するとアンジーが「良かったわね〜ジョニー、この間からずっと悩んでたもんね〜」と言ってジョニーの手を握った。ベイは斜め上を見ながら「女将さん、今聴いて頂いた通りです。ジョニーの言っている病院は何処でしょうか?」「はい、ジョニーさんが見られたニュース番組は、今の医学では治せない…最後の時を過ごす小児病院の事です。番組で取り上げられたのは5カ所です、全て違う国です。」「匠さんなら、ひとっ飛びだね」「はい…病院と直ぐにコンタクトを取れるようにしておきます」「ありがとうございます。さあ〜皆んな、どうゆう感じて病院に行こうか?」「…フリー達の力を借りてマジックショー何てどうですか?」と提案したのはルーシーである「グレイといつも言ってるんですけど、食事の後に食器達が宙に浮いて…自ら洗われて、踊るように乾いていく姿は…マジック以外の何物でもないよね〜って言ってるんですよ」するとグレイも頷きながら「子供たちが喜んでくれると思うんですけど、どうでしょう」と言って、皆んなの顔を見回した。するとボブがサッと手を上げて「俺もマジックに賛成なんだけどさ…バックミュージックをかけて無言でする人と、ユーモアのある話を織り交ぜながらする人と…俺、自慢じゃないけど…人前で話をするのは苦手だよ…」誰もが世界ヘビー級タイトルマッチの、前日記者会見を思い出した…舞い上がってしまったボブとリンダである…ベイは笑いながら「ボブ、僕もしゃべるのは苦手だよ…トークはジョニーとアンジーにお願いしようよ…2人共イイかな…」……




