258 脱出成功!
モチベ回復のために、更に別作品を書くという…。(4月公開予定)
2026年2月28日追記
おかげ様で3Mpv到達です。
今後ともよろしくお願いします
「おいっ、そこに誰か居るのか!?」
岩盤…壁の向こうから聞こえて来た少女(?)の声に、衝撃からいち早く立ち直った俺は呼び掛けた。
ガタガターンッ!
「ふぇえっ!!
やっぱり気のせいじゃ無かったのです~!?
きっと、昔の落盤事故で死んだ坑夫の〈幽霊〉なのです~っ!」
予想外に人が居たことでつい後先考えずに声を掛けてしまったが、壁の向こうの少女(?)はパニックを起こしてしまった!
(これは不味い!)
「待て誤解だ、俺たちはまだ生きてる!」
魔物と勘違いされたままでは出るに出られず、俺は壁の向こうの少女(?)に俺たちが生きた人間であることを訴える。
「ぴぇえぇ!?
自分が死んだことに気付いて無いのです~っ!
しかも今、「俺“たち”」って言ったのです~っ!」
(ああ、クソッ…!)
確かにそういうタイプの〈ゴースト〉もいるにはいるが、そういうタイプの〈ゴースト〉も生前の行動を繰り返すだけだ。
会話が出来ることに気付けば誤解も解けそうなものだが、いかんせん向こうはパニックで落ち着いて会話が出来そうに無い。
(仕方ない…。)
「はぁ…、良いから一旦落ち着け!!」
俺はため息を一つ吐くと、壁の向こうに居る見ず知らずの少女(?)に怒鳴った。
「ぴっ!」
さすがに怒鳴られて驚いたのか、鳥の雛の鳴き声のような短い悲鳴を最後に壁の向こうが静かになった。
「あ~…急に怒鳴ってスマン、話せそうか?」
見ず知らずの相手に怒鳴ってしまい気不味さを感じるも、俺は壁の向こうで固まってしまったであろう少女(?)に、なるべく穏やかな声で謝罪の後に会話の可否を訊ねる。
「ふぇっ!…っ、はいです~…。」
驚いたような反応でまた同じことの繰り返しになるかと思ったが、どうやら必死に再びのパニックを抑えたようだ。
しかし会話が出来そうな状態にはなったが、どう話を切り出せば良いものやら…。
「えっと…まず俺たちは生きた人間で、冒険者だ。
…ここまでは良いか?」
俺は迷った挙句、普段はそこからしないであろう自己紹介を行った。
体型を揶揄して〈オーク〉と言われ慣れている俺でも、本気でこちらを〈ゴースト〉と勘違いした相手の誤解を解く手順など…知るわけが無い。
「………あ、はいです~…。」
俺の確認に対する返事までに妙な間があったが、互いの姿が見えないのに頷きでもしていたのだろう。
決して、俺の「俺たちは人間」発言に納得していないわけでは無いだろう。
…多分、…おそらく、…きっと。
「…ぇっと皆さん?は、どうしてそこに?」
どうやら「まだ誤解が解けていない」ということは無かったらしく、相手から当然の疑問を尋ねられた。
「情けない話なんだが─」
…………………
…………
…
~事情説明中~
…
…………
…………………
「─というわけで、そろそろここから脱出したいんだが─」
「はいです、退避ですね!」
事情を説明する中で〈パイルバンカー〉で掘り進んで来た話をしたからか、壁の向こうに居る少女?は、みなまで言わずとも俺の意図を察したみたいだ。
最初は訝しげな雰囲気だった少女?だったが、今や楽しげに声を弾ませて話している。
…俺の勘違いで無ければ、壁の向こうに居る少女?の態度が変わり始めたのは、俺が〈パイルバンカー〉の話をした辺りからだったと思われる。
残念ながらマリ姉達には伝わらなかったが、〈パイルバンカー〉の良さを話だけからでも感じてくれる少女?がいたことに俺は感動を覚えた。
「退避完了ですです~。
もう、ババーンッとやっちゃって下さいです~!」
〈パイルバンカー〉は現状、俺だけしか持っていない新武器だ。
壁の向こうから聞こえて来る声は、〈パイルバンカー〉に対する期待が溢れていた。
「わ…分かった、分かったから焦るなよ…。」
マリ姉達のように白けられるのも虚しいが、あまり期待を掛けられ過ぎても気圧されてしまう。
…俺、覚えた。
それはともかく。
「3つ数えたら「せーの」で打つからな?
…絶対に近付いて居るんじゃ無いぞ?」
俺は壁の向こうに居る少女?に向けて、最後の注告をする。
そして─
「3…、2…、1…─」
─退避したとは聞いたが、万が一の為に十分に間を取ったカウントダウン。
「0、せー…のっ!」
ガゴオッ、ガラガラガラッ!
〈パイルバンカー〉に打ち砕かれ、崩れいく岩壁。
「ぃ良っしゃ…!」
その向こうに坑道のようなものが見えた俺は、脱出がなったことに思わず両手でガッツポーズを取る…が。
ビキーンッ!
「ぅぐわぁああぁっ!?」
突如左腕に走った激痛に、俺は大声を上げて地面に転がった。
ジタバタ!
「ちょっ、ラストさん!?」
「すぐに治療を、っ…!」
焦るリタを押し退けたアデリナが俺の治療を行おうとするが、不意の激痛で暴れる俺に近付くことが出来ない。
「全く…何やってるのよ、───『土捕縛』。」
ウネウネ…、ヒュッ!
ビシィッ…!
「ぁおっ!?」
マリ姉の魔法による土の縄に縛られた俺は、声を出す以外の身動きが出来なくなった。
「マリアさん、ありがとうございます!
───、『回復』ッ…!」
パァアッ…!
アデリナの治癒の暖かな光に包まれると、途端に引いていく左腕の激痛。
「うぅ…皆スマン、取り乱した。」
俺が皆に謝ると、皆は安堵が多分に混ざる苦笑いを浮かべて頷いた。
(はぁ、締まらないなぁ…。)
俺はそう思いながらも、皆と崩落から無事脱出することが出来たことを喜ぶ。
「ふえー…、本当に人間さん達が出てきたのです。」
そんな俺たちを小柄な少女が、肌と似た茶色い瞳を丸くして眺めていたのであった。
因みに、事情説明の1/3は〈パイルバンカー〉語りだったそうな…。
マリ姉達「「「「 ( ˙-˙ )………。」」」」
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