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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
7章 カジノ国の地下闘技

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257 脱出作戦、進行中?

Tips:〈ハニカムシールド〉

 六角形を隙間無く並べた、いわゆる「ハニカム構造」で作られたラウンドシールド。

 六角形を形作るのはオリハルコンの丸棒であり、軽さと硬さが高いレベルで両立されている。

 しかし忘れること無かれ。

 如何なる英雄であっても、毒虫の一刺しで容易く死に至ることを。


 杭を予備の物に替えて、また岩盤と左腕を壊すこと十数。


 俺の左腕が反動の大部分を請け負っているとはいえ、そもそも〈パイルバンカー〉は元の威力からして途轍も無い。

 そしてその反動の一部を回復も受けずに連続で受けたリタは、何回か前に遂にダウンしてしまった。


 リタがダウンしたことで、ここ数回は再び…毎度の「苦行(左腕の激痛)」に耐える自分自身との戦いとなっていた。

 ダウンしてすぐにアデリナの治療を受けたリタは復帰しようとしたのだったが、これ以上リタの身体に負担を掛けたく無い俺はリタを無理やりに押し留めさせて貰った。


カラカラカラ


 そしてまたアデリナに左腕を治療して貰った俺は、今回はハンドルをセットする時とは逆に回す。


ポロッ…、ガランッカラーンッ!


 すると程無くして、〈パイルバンカー〉本体から杭が抜け落ちる。


「ふぅ…、………。」

ゴソゴソ

(あと1本か…。)


 俺は杭の交換を行いながらも、内心で焦りを抱く。


「ご主人。」


 黙々と杭の交換作業を進める俺に、背後から俺を呼ぶ声が掛かる。


「…お、ニーニャか。どうした…?」


「風の音が聴こえる。」


 一瞬内心で焦っていることを感付かれたかと焦った俺だったが、ニーニャの用件は朗報であった。

 しかしこれまでもニーニャが探知した結果に従って岩盤を破壊してきており、俺たちには聴こえずともニーニャはずっと前から風の音が聴こえていた筈。


(ということは…)

「………。」


 ニーニャが態々「風の音が聴こえる。」と、俺に伝えてきたことには意味がある。


ヒュォォォォ…

「おおっ…!」

 

 作業を止めて耳を澄ませば聴こえてきた風の音に、俺は思わず歓喜の声を上げた。 

 …一瞬「この先が出口とは限らない」という考えが浮かびはしたが、結局のところはこの先を目指す他に無い。


キリキリキリキリ………、ガチンッ!


「おっしゃ、行くぞ!

 せー…、のっ!」


ガゴォオオォォンッ!


(イける…、イけるぞ…!)


 今までより明らかに響く破砕音に、俺は壊れる左腕の痛みも何のその。


 アデリナに治療を受け、〈パイルバンカー〉を再セットし、岩盤と左腕を砕く。

 この一連の流れ…特に〈パイルバンカー〉の再セットの行程に掛かる時間の短さが、現在の俺のテンションの高さを物語る。


 出口(希望)か…はたまた、ただの空洞(絶望)か。

 そんなことは今の俺の頭には無く、俺は只管に岩盤と自らの左腕を壊したのであった。




 … … … … … … …。


 … … … …。


 …。

 



 杭を最後の1本と交換してから10回近く。


「『回復』。」

パァアッ…!


「ハァ…ハァ…、アデリナ…さんきゅ。」


 テンションをいくら高めたところで、体力が急激に増えるわけでも無し。

 2~3回はテンションで誤魔化せても、10回ともなると流石に体力が尽きる。


(…だが、その甲斐はあったぞ。)

チラッ


 アデリナの治療が完了しても、座り込んだままで体力を回復させる俺の視線の先。


チカッ、チカチカッ


 〈パイルバンカー〉で砕き続けた岩盤に出来た隙間の向こうから、明らかに光が差してきていた。

 この光が何であれ、これでこの岩盤の向こうが出口に繋がっていることは確定した。

 …俺が今こうして体力の回復を図っているのも「もう少しで脱出出来る」という安心感から、今までの疲労が一気に襲って来ているからという面もあるわけだ。


(治しているとはいえ、怪我は怪我だからなぁ。)


 怪我というものは、怪我を負うだけでも体力を消耗するものだ。

 『回復』で怪我を負う前の状態に戻したところで、消耗した体力までは戻らない。

 短時間に何度も…しかも重傷を負っては治療して貰っていた俺は、俺が思っていたより遥かに体力を消耗していたのだろう。


「ラストさん、貸して下さい。」


 体力の回復に努める俺に、リタが俺の傍らに置かれた盾を指してそう言った。

 どうやらリタは、脱出を目前にダウンした俺を見かねたらしい。


「いや、後1回だし─」


 俺は再三、リタの提案を却下しようとした…のだが─


「それは分かってます!」


 リタの申し出をやんわりと断る俺の言葉は、珍しく声を荒げたリタに遮られてしまった。


「分かってるんですっ、ラストさんに頼らなければいけないことは…!

 …でもだからって、全部をラストさんがやる必要は無いと思うんです!」


「あー…。」

(リタの言いたいことはつまり…)


 〈パイルバンカー〉で岩盤を砕くのは、盾の保持の点から俺しか出来ないことである。

 しかし〈パイルバンカー〉の再セットは、ロックが掛かるまでハンドルを回すだけなので、俺以外にも出来る…ということだろう。


「分かった、リタ…セットを頼む。」

ズッ…


 リタの気持ちを汲んだ俺は、リタの方に盾を押しやる。

 

「…え?

 は…はいっ、任せて下さい!」

ドンッ…、フルンッ!


 まさか本当に任せて貰えるとは思っていなかったのか一瞬呆けたリタ。

 しかし状況を理解したリタはパッと華やぐ笑顔を浮かべて、胸を叩いた(揺らした)のであった。


グルグルグルグル…、キリキリキリキリ…


 目を輝かせるリタが、早速〈パイルバンカー〉のセットを開始する。

 と、そこへ─


「あれ~?おかしいのです…。

 この壁の中から話し声が聞こえたのですよ。」


「「「「っ!?」」」」


 ─岩盤の向こうから、若い女の声が聞こえて来たのであった!



 

 

最近序章を読み直したんですが、今と比べたら拙すぎてもう…(汗)

(「今も巧く無い」というツッコミはナシでw)



いつも読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 岩盤…という単語を見るとどうしても某王子と、ブロッコリーっぽい名前の筋肉モリモリマッチョマンを思い出しますねww まぁ今のラストがやってることは『北斗○拳』のアイ○ですが。 そ…
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