256 いしのなかにいる
(モチベが尽きました。)
※作戦会議パートはダレるのでカット!
取り乱したマリ姉の放った『爆裂火球』により、坑道の崩落に巻き込まれた俺たち。
元居た場所から数百mは落下したが、アデリナとマリ姉の魔法のおかげで、誰1人として怪我を負うことが無かった。
「せー…、のっ!」
ガゴオオォンッ!
しかしまだ「無事に済んだ」、とは言え無い。
何故なら現在、俺たちは崩落により地下に閉じ込められてしまっているからだ。
ズキッ!
「うぐっ…!アデリナ済まん─」
「───、『回復』。」
パアッ
左腕の痛みに俺がアデリナに治療を頼もうとすれば、俺が言葉を言い終える前に治療される左腕。
何故こんなにもやり取りがスムーズなのかと言えば…単純に、何度もこのやり取りを行っているからに他ならない。
グルグルグルグル、キリキリキリキリ…
「ラストさん、次は私にやらせて下さい。」
〈パイルバンカー〉を再セットする俺に、悲壮な顔をしたリタがそう言った。
「いや、リタにこの盾は重過ぎだったろ?」
このやり取りも2回目であり、俺は1回目の時に「どうしても」と言うリタに俺の盾を持たせた結果を以て、リタの頼みを再び断る。
「でもラストさん、腕が…!」
ここから脱出するために現在の方法を取ることは既に、リタを含めた全員が納得済みだ。
しかし素直であるが故に感受性の高いリタは、実際に俺が繰り返し左腕を壊すのを見たことで激しいショックを受けたのだろう。
…脱出に際して現在リタが行っていることが、「〈パイルバンカー〉の破壊力が逃げないよう、俺の身体を押さえること」なのもリタを苛む要因となっていそうだ。
因みに、他のメンバーの役割は以下の通りだ。
ニーニャ → 音の反響や岩盤の隙間から吹く風の音
で、岩盤の薄い場所=出口の探知。
マリ姉 → 破壊する場所以外の岩盤を魔法で強化
し、再度の崩落を防止。
アデリナ → 『灯光』による明かりの確保。
及び、俺の腕の治療。
(リタ) → 討伐した〈ゴーレム〉の捜索。(済)
討伐証明部位、素材の回収。(済)
それはさておき。
俺はアデリナに治療されたばかりの左腕を、リタに見せつけるように曲げたり回したりしながら言う。
(…よし、今回もしっかり治ってるな。)
「何、心配は要らないって…ほら。
この通り、アデリナが完璧に治してくれてる。」
ブラブラ
確かに…毎度怪我をする際、俺はその激痛に思わず呻いてしまっている。
しかしアデリナが直ぐに治療してくれているため、痛みに苦しむ時間は極僅か。
皆を無事に脱出させる為ならば、この程度の痛みなど…どうってこと無い。
いや、まぁ…「他に良い方法があれば」とは俺も、それこそ痛いほどに思ってはいるのだが…。
グルグル…
(しかし…。)
チラッ
かれこれもう十数回は岩盤と左腕を砕いているわけだが…こう何度も岩に打ち付けていると、いくら鋼より硬い杭とはいえ流石に鋭かった筈の先端が丸くなってしまっている。
今使っている杭は、後1回使ったら予備の杭と交換になるだろう。
予備の杭は2本あるが、1本目の消耗から考えると…使える残り回数はざっと30回ほど。
未だ脱出の目処が立たない現状、この残り回数では心許ないにもほどがある。
キリキリ…
(『流砂刃』で砥ぐか?
…いや、その前に本体が壊れそうだな。)
〈パイルバンカー〉の製作者であるガンキンが2本の予備を奨めてきたということは、そのくらいの回数は保つ…とは思うが─
(“あれ”で失くすことを込みだとしたら…?)
─本体の耐用回数以上に予備が必要な理由に、心当たりが…。
〈パイルバンカー〉は特殊過ぎてアレだが、こういう時のためにパーティーメンバーに鍛冶職人が欲しくなる。
だが鍛冶職人としてやっている者が、果たして冒険者パーティーと行動を共にするだろうか?
グルグル…キリキリ…
(…うん、無い無い。)
同じ非戦闘員である治癒士はその身ひとつで治療を行えるが、鍛冶師は拠点があってこそだろう。
もし冒険者パーティーと行動を共にする奇特な鍛冶師がいたところで、結局は俺が思うほど便利にはならないということだ。
ガチンッ!
(おっ、来たか…。)
考え事をしながらの準備は、心なしか無心でハンドルを回すより早かった。
(…気がするだけだな。)
ガシャッ
「リタ、…いけそうか?」
俺だけの時よりもリタに押さえて貰った時の方が、より深く岩盤を破壊することが出来て効率が良い。
リタも少なく無いダメージを受けることになるのだが、杭の消耗を考えるとリタの協力が必要だ。
「っ…、はい!」
リタは一瞬躊躇ったものの、力を秘めた目をして俺に応じてくれた。
(この杭は最後の1発だ。)
「それじゃあリタ、行くぞ…!
せー…、のっ!」
ガゴオオォンッ!
序盤は相変わらずの理屈コネコネですね。
いつも読んでいただきサンガツ。
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