253 いざ〈ゴーレム〉退治!
ゲリラ連投中(3/?)
※?は作者のモチベーション次第ということです。
〈スミスタウン〉で情報を仕入れた俺たちは、早速件の休鉱山…その名も〈ボッチ山〉にやって来た。
この山は、ミレット伯爵領と辺境伯領を跨ぎながらもそのどちらにも属さないというだだっ広い平原に、ポツン…と単独で座している。
〈スミスタウン〉で聞いた話では、あの平原は元々良質な鉄鉱石が採れる山が幾つか連なっていた場所なのだとか。
その山々を掘り尽くした結果、平原と廃棄鉱石が積み上がった〈ボッチ山〉が遺された…らしい。
(…まぁ、良くある与太話の類いだろうな。)
じゃあどういうわけか説明しろとなったところで、神々が実際し神話の存在の末裔たる俺が居るのだから「そんなこともあるだろう…。」で済む話。
今の俺には与太話を解明することよりも、依頼を達成することの方が遥かに大事なのだ。
… … … … … … …。
… … … …。
…。
〈スミスタウン〉のギルドで貰った地図を頼りに、俺たちは〈ボッチ山坑道〉の入り口前へとたどり着いた。
グルグルグルグル…
「へぇ、意外としっかり補修されているみたいね。」
入り口から顔を突っ込み坑道内の様子を確認したマリ姉が、感心したようにそう言う。
100年以上も閉鎖していたとはいえ、鉱山を完全に放置することは出来なかったのだろう。
キリキリキリキリ…
「街の方の話では入り口付近のみとのことなので、注意しなければなりませんね…。」
しかしアデリナの言う通り、貰った地図によると…補修がされているのは入り口から精々100mといったところまでらしい。
〈ゴーレム〉が発見されたのは入り口から1kmほど奥らしいので、当然補修などされていない。
グルグル…、キリキリ…
「マリ姉、…分かってるな?」
基本的に壁の破壊されないダンジョンでは大いに活躍したマリ姉の魔法だが、今回の依頼では火の魔法と『爆裂』系の魔法の使用を禁じた。
これでマリ姉の十八番の『爆裂火球』が封じられたわけだが、なら他のパーティーが依頼を辞退した理由となった「〈ゴーレム〉の身体を地道に削っていく」戦いになるかと言えばそんなことは無い。
「え?…ええ、勿論よ!」
ガチンッ!
(ヨシッ!)
今の〈白の大樹〉…というか俺には、たった今準備が完了した〈パイルバンカー〉に、槍に付与されたスキルの『流砂刃』と、〈ゴーレム〉等の「硬い敵」にも有効な攻撃手段がある。
俺たちが今回の依頼を受けたのは、いわば俺の新装備の実戦証明の意味が大きいのだ。
…まぁ当然ながら、倒した〈ゴーレム〉の身体から魔力で変質した希少金属が採れることへの期待もあるのだが…。
グッ
「皆待たせたな、それじゃ行こうか。
アデリナ、頼む。」
通常よりは重く…しかし色々と仕込んだ割には軽い大盾を持ち上げた俺は、皆に出発の声掛けをしてアデリナに明かりの魔法を頼む。
「はい、ラストさん。
我らが行く先の闇を照らし給え、『灯光』。」
ポワン
アデリナが頷き祝詞を唱えると、俺たちの頭上に柔らかな光を放つ光球が浮かんだ。
「ご主人、行くね?」
「ああ、頼んだ。」
光球を頭上に浮かべた俺たちは夜目の利くニーニャを先頭に、闇で先の伺え無い旧き坑道に踏み込んで行くのであった。
… … … … … … …。
… … … …。
…。
坑道に踏み込んでから、凡そ30分ほどが経っただろうか?
ニーニャの先導があるとはいえ、暗闇の中で足元や魔物に注意しながらでは歩みが遅くなるのは当然と言える。
しかし歩みが遅くなっていても通常の倍の時間も掛ければ、もうすぐ標的の〈ゴーレム〉が発見された地点となる。
「ニーニャ、居そうか?」
ピクッ、ピクピク
「……うぅん、居ないみたい?」
〈ゴーレム〉に限らず魔物が居ないかを訊ねた俺に、普段よりも時間を掛けて音を探ったニーニャは、それでも自信無さげに首を横に振る。
「…ご主人、ごめん。」
「いや、気にすることは無いさ。
先導してくれるだけでもかなり助かっている。」
耳を伏せて申し訳なさそうに謝ってくるニーニャに、俺は俺たちがニーニャのおかげで助かっていることを伝えて慰める。
「………、そっか…。」
しかし俺の慰めの言葉にあまり効果は無く、少し間が空いた後無理やり浮かべた笑みで頷くニーニャ。
何故ニーニャがこうも落ち込んでしまっているかと言うと…実はここまで来る途中、隊列の真ん中を歩くアデリナの目前に、地中から〈土潜小魔蛇〉が光に釣られて飛び出したのだ。
幸い…と言って良いのか微妙なところだが、この〈土潜小魔蛇〉は「蛇」と名前に付くが…要はでかいミミズである。
あまり一般的な魔物で無いせいで「魔物最弱四天王」から外れてはいるが、〈歯鼠〉の餌になる魔物だ。
故に被害と言える被害は無く、…強いて挙げるとするならアデリナが驚いて可愛らしい悲鳴を上げたくらいなもの。
しかしニーニャにとっては任された仕事の失敗であり、リタの悪気無い─
「これが〈ゴーレム〉だったら大変でしたね。」
─という言葉が、ニーニャを更に落ち込ませる要因となってしまった。
(う~ん、どうしたものか…。)
これは夜目や耳が俺たちより利くからといって、安易にニーニャに斥候を任せてしまった俺のミスでもある。
しかし今は落ち込んでいられ無い。
それはニーニャや、ニーニャを落ち込ませてしまって落ち込むリタも同様だ。
(これは良くないな…。)
ピクン!
「ッ!なんか来る…!」
だが俺が悪い雰囲気何とかする方法に悩んでいると、耳を激しく反応させたニーニャが警告を発したのであった。
「魔物最弱四天王」、覚えていますか?
(〈歯鼠〉〈角兎〉〈ゴブリン〉…
残る1種は〈♡♡♡〉だったりします。)
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