247 今更もう遅い?
7章だと思った?…ご免なさい、閑章です。
お詫びのゲリラ投稿です。
(1話あたりの文字数を2000字前後に戻さねば…!)
1週間と数日を掛けて〈ベビーリーフタウン〉に帰還した俺達。
ギルドへの顔出しを後回しに、とりあえず旅で疲れた身体を休めようと俺達の家に向かったのだが─
「「むむむ…!」」
─家の前に来たところでベアトリスが出てきて「丁度良い」と思ったのも束の間。
何か互いに感じるものがあったのか、顔を合わせた途端に唸るベアトリスとソーナ。
((この娘わたしと個性被ってない?))
フイ
「…ねぇ、また女の子を拾って来たの?
しかも今度は2人も。」
ジト…
ベアトリスがふと睨み合いから目を逸らすと、俺へ視線向けてそんなことを言い出した。
「は!?別にそんn─」
「それが貴女に何の関係があるのよ?
わたしもカティアもラストの妻なんだから、単なるハウスキーパーが口を挟むんじゃないわよ。」
俺は慌ててベアトリスに弁明しようとしたが、当のソーナが俺の言葉を押し退けてベアトリスに噛み付く。
「んな!?なんですってぇ…?」
ボスさえも凹ませたソーナの物言いに、凹むどころか額に青筋を浮かべるベアトリス。
「「ぐぬぬぬぬ…!」」
ゴゴゴゴゴッ…!
再び睨み合うソーナとベアトリス。
その2人の背後に俺は実際には見たことの無い、牙を剥き出しにして威嚇する〈刃牙大猫〉と、立ち上がりその巨腕を振り上げた〈巨腕魔熊〉の幻を見た。
「コソッ(ちょっと、どうにかしなさいよ!)」
「コソッ(いやいや!?あれは無理だって!)」
一触即発の空気にマリ姉が俺に2人を止めるように言ってくるが、迂闊に割って入れば大惨事は避けられない。
ここまで酷くなるとは予想外であるが、そもそも帰還の旅の途中で「〈白の大樹〉にはもう1人、パーティーハウスを管理する仲間が居る」とソーナとカティアに説明済みだ。
そして互いの紹介とベアトリスへの事情説明をする前に睨み合いが始まってしまったのだから、…どうしようも無い。
…いや、俺が強く言えばどちらも引き下がってはくれそうではある。
しかしそれでは、いつまでも2人の間に禍根が残ってしまうだろう。
「なるほど…。
コソッ(…でも、あんまり酷くなるようだったら、ラス君がきちんと止めるのよ?)」
「ああ…。」
俺の考えを聞いたマリ姉は納得したようで、しかし俺に一応の釘を刺してから引き下がった。
だがマリ姉の納得を得てほっとしたのも束の間。
俺がマリ姉とコソコソ話している間に、睨み合いの方はヒートアップしてしまっていたのだろう。
「何よ!そんなにラストとしたのが偉いわけ!?
じゃあ私だって抱いて貰うわよっ…!」
売り言葉に買い言葉だったのだろう。
ベアトリスの出した大声が、周囲に響き渡る。
だが…ここは多くの人々が行き交う、街の往来だ。
「「「「「………。」」」」」
チラッ、チラッ
絶句する俺達。
通りすがりの人々…男からは嫉妬と羨望、若い女からは嫌悪と蔑み…と極一部から羨望の視線が俺に向けられる。
「あらあら~?」
「まあまあ!」
井戸端会議中のおb…奥様方は言わずもがな。
「っ…!」
(どうしてこうなった!?)
そう叫ばなかった俺を、誰か誉めて欲しい…。
… … … … … … …。
… … … …。
…。
その晩。
「うぅっ…。」
水浴びを終えた俺が久々の自室に戻ると、心配になるほど全身を羞恥で朱く染めたベアトリスが居た。
何故それが分かるのかと言えば、俺の部屋…もっと詳しく言えば俺のベッドの上に居るベアトリスが全裸であるからに他ならない。
「え…っと、別に無理しなくても…?」
あの後、周囲の状況に気付き言い合いを止めた2人を引き摺るようにして帰宅した俺達。
居たたまれなさで言い合いを再開する気も失せたようなので、改めて紹介と事情の説明を行った。
ベアトリスは臨時雇いの仕事に出るところだったらしいが…それはマリ姉がその辺に居た子供に銅貨を握らせて、ベアトリスの雇い先である商業ギルドに連絡済みだ。
その説明によりソーナとベアトリスは和解(?)して、ベアトリスのあの発言は無かったことになった筈なのだが…。
「…何よ、私のことは抱けないって言うの…!?」
しかし俺の気遣いは、ベアトリスに「俺がベアトリスを拒否している」と取られてしまったようだ。
「いや、そんなことは無いぞ!?」
盗賊団に拐われてしまったことで傷物扱いされ、それを嫌って村を飛び出して来たベアトリス。
だが実際は無傷であり、貴族に妾に求められた美貌は衰えるどころか増々磨きがかかっている。
その美貌に触れることに気が引けはするが、それは俺の問題であってベアトリスに問題があるわけではない。
…というかぶっちゃけた話、特殊性癖が極まっていない限り、ベアトリスを抱きたくない男などいない…と俺は思う。
「ならさっさと抱けば良いでしょ?」
ベアトリスはそう言うが、それでは遠慮無く…とはならない。
ニーニャの件で自分への好意を疑わないようにすると決めたが、ベアトリスからは好意の代わりに義務感…のようなものを感じるのだ。
「そんなこと言われても、だって今更…。
今更、どの面下げて「好き」って言えってのよ?」
…ん?
「職場で聞いたわ、ラストの話。
大きいものとしては、スタンピードの英雄、〈ラビリンス〉でギルドの正常化、悪魔の討伐。
この他にも─」
流石は商業ギルドというべきか、広く知られていることの他にも俺が冒険者となってからの活躍を挙げていくベアトリス。
「…じゃなくて、ちょっとまっ─」
「────1年も経たずに Cランクに昇級。
パーティーメンバー全員があなたのハーレムなのはマイナスだけど、だからこそあなたを狙う女も多いわ。」
俺が一旦制止しようとするも、ベアトリスには聞こえていないようだ。
「こんな状況で、一度あなたを振った私が─」
(ああ、もう!)
グイッ!
徐々に泣き出しそうになりながら、遂には見合いの件を持ち出したベアトリスを見ていられず、俺は実力行使に出た。
カツッ
「んん!?ん~っ!」
勢いをつけ過ぎて歯が当たってしまったが、俺は構わずベアトリスの口を塞ぎ続ける。
「ん、ん~…」
クタリ…
しばらくすると抵抗が無くなったので、俺はベアトリスを解放する。
「はぁ…はぁ…、…何のつもりよ?」
息も荒く、涙目で俺を睨みつけるベアトリス。
「ベアトリスは俺が好きなのか?」
既にそうだと気付いているが、これは最終確認だ。
「っ…、そうよ。
でも─」
ガバッ!
「キャッ!?」
まだ何かを言おうとしたベアトリスだったが、確認は取れたので押し倒す。
プライドの高いベアトリス的には俺が成功した途端に擦り寄ったみたいで嫌なのかも知れないが、この際ベアトリスの誇りは敢えて無視だ。
「ベアトリス…いや、ベア。」
「っ…!」
愛称で呼べば、ベアの金色の瞳が期待に揺れる。
「それこそ「今更」だ。」
ベアトリスという極上の餌を前に俺は「待て」が出来るほど賢くは無く、俺的なゴーサインまで確認した。
後はもう…、俺はベアトリスを獣のように貪るのであった。
ラストがベアトリスの好意に気付けなかったのは、ベアトリスが好意を抑えていたからというオチ。
ツンデレが処女を拗らせた結果ですねw
(恋愛小説だと、負けヒロイン確定)
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