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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
6章  初心忘れること無かれ

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閑話 Cランク冒険者の噂

ラスト達〈白の大樹〉がいない頃、街では…


─ 商業ギルドの場合 ─


カリカリ…


 商業ギルド〈ベビーリーフタウン〉支部、受付カウンターの奥にて。

 事務職員を兼業する受付嬢達が、本日の取引の帳簿付けを行っていた。


カリカリ…、パサッ

「フリージアさん、こっちの分は終わったわよ。」


 その中で最近臨時職員として働き始めた緋色の髪の美女が、上司らしき青髪の女性に書類を提出する。


カリッ…

「あら、ベアトリスさん早いわね。

 ………うん、バッチリよ。」


 ベアトリスから受け取った書類に暫し目を落としたフリージアは、ベアトリスの仕事の出来に満足そうに微笑んだ。


 その日の就業後。


 住む家が同じ方向にあるベアトリスとフリージアは、防犯も兼ねて一緒に帰路に着いていた。


「せっかく仕事を覚えさせた娘が辞めてどうしようかと思ったけど…、ベアトリスさんが来てくれて大助かりよ!」


「ど、どうも…。」


 その道中、フリージアは仕事の愚痴を吐き出し、ベアトリスはフリージアのクールな印象と話すテンションのギャップに引き気味だ。


「ねぇベアトリスさん、臨時じゃなくて正規職員になっちゃいなさいよ?

 あれだけ仕事が出来るのに勿体無いわ!」


 元より臨時職員として募集されていたのは実際のところ雑用係であり、ベアトリスの正規職員顔負けな働きぶりは提示された給与では安過ぎであった。


 いくら「儲けが正義」である商人の元締めたる商業ギルドであっても…いや、だからこそ労働に見合った「正当な対価」は出さなければならない。

 しかし契約は契約であり、一度提示した給与を上げるわけにもいかないという、二律背反に陥ってしまっていたのである。


 受付嬢達を纏める上司であるフリージアは、この問題の解決策としてベアトリスを正規職員へと勧誘したわけなのだが─


「ごめんなさい、それはちょっと…。」


「…やっぱり?

 C ランク冒険者のパーティーハウスのハウスキーパーをしているんだっけ?」


「えぇ…。」


 ─ベアトリスの答えは、これまでフリージアが何度か行った勧誘への答えと同様の「否」であった。


「やっぱり Cランク冒険者との縁ともなると、ギルド職員のお給金じゃ敵わないか~。

 その辺の男達よりは稼げるんだけどねぇ。」

(…まぁ、そのせいで嫁き遅れたんだけど…。)


「べっ…!?別にそんなんじゃ!…ない、わ…。」

 

 揶揄うような調子のフリージアの言葉に、咄嗟に否定するベアトリス。

 しかし濁されたベアトリスの言葉尻に、フリージアからは名前通りに冷気が漂う。


「良いのよ~、恥ずかしがらなくて。

 やっぱり女の幸せと言えば結婚する…ケケッ、結婚スルコトダモノ。」


「………。」


 「結婚」というワードに片言となった上司(フリージア)の言葉に、ベアトリスが「是」とも「否」とも答えなかったのは賢明な判断と言えよう。


(けっ、結婚!?わわっ…私とあいつ(ラスト)が!?)

 

 ………、訂正。

 ベアトリスはただ単に、内心でテンパっていただけなのであった。






─ 冒険者ギルドの場合 ─


ジャラ…

「こちら報酬になります。」


「おう、サンキュ。

 …ところで、この後どうだ?奢るぜ?」


 冒険者による受付嬢のナンパ。

 日常的に冒険者にナンパされる受付嬢の対応は慣れたもので─


「ご用件はお済みですね?

 次の方どうぞ~。」


 ─碌に相手されることも無く、もはや業務の一環として淡々と処理されるのであった。


 しかし淡々と処理しているように見えても、仕事である以上ストレスは溜まる。


「ゴクゴク、プハッ…!

 はぁ~、どこかに良い男…落ちてないかしら?

 もしいたら私の“これ”でイチコロなんだけど…。」


 ギルド併設では無いとある酒場にて。

 具体的に“何が”とは言わないが、暫定的に((垂))((小))((板))の三人組が女子(受付嬢)会という名の愚痴大会を開催していた。

 因みに先ほどの発言は、この女子会の主催者である最も年m─ゲフンッ!…ベテランである受付((?))(大)によるものだ。

 

「やぁねぇ、アンタの垂れたので喜ぶのなんてゴブリンかオークくらいじゃない?」


 そう言ってケラケラと笑う受付嬢(並)は、見目は受付嬢の中では“並”だが…性格は“並”とはいかないようだ。


「誰が嫁き遅れのオバサンですって!?」


「そんなこと言ってないし?

 …でも、怒るってことは自覚あるんだ~?」


「キィイィ-ッ!」


 そして始まる醜い喧嘩。

 …何故コイツらは、仲が良いわけでもなさそうなのに一緒に酒を飲んでいるのだろうか?


コトッ…

「…ねぇオークと言えば、さ。

 リタも上手くやったものだよね…?」


ピタッ


 その声は決して大きなものではなかったが、受付嬢(無)の発言により喧嘩を止める受付嬢(大)と受付嬢(並)。


「ふんっ、どうせあの身体で誑し込んだんでしょ!」

グイッ


「まさか1年経たずに Cランクになるなんて…。

 分かっていたら私に夢中にさせてあげたのに…!」

ゴクゴク…


「でもしばらく見てなく無い?」


ゴクゴク…

「あ~…、そう言えばそうね…?」


グビグビ…

「確か…最後に受けた依頼は、お貴族様の指名依頼だったわね?」


ゴキュゴキュ…

「まさか失敗して全滅してたり?」


バシャバシャ…

「あははっ、それは御愁傷様ね?

 C ランクになったからって調子に乗るからよ!」


 話しが盛り上がるにつれ、空となったジョッキの山が2つ積み上がっていく。

 そして鐘一つ(30分)が経つ頃。


「ンガーッ!」

「グゴォオォ…!」


 とても女性が上げるとは思えない、魔物の唸り声のようなイビキをかいて寝転ける受付嬢2人。


クピクピ…、コトン

「ふぅ…、ご馳走さま。」


 最後の1杯を飲み終え、しかし一切酔った様子も無く店の出口に向かう受付嬢(無)。


「あの~、お会計を…。」

チラッ


 テーブルで寝転ける2人に迷惑そうな視線を向けながら、受付嬢(無)に代金を請求する酒場の店員。


「冒険者ギルドにツケといて。」

スタスタ


「は?はぁ…。」


 そう店員に言い残すと、受付嬢(無)は酒場を後にするのであった。


 …………………。

 …………。

 …。


スタスタ、ピタッ

「…誰?」


 深夜の街を歩く受付嬢(無)は、ふと立ち止まり誰何する。


「確かに俺は不正の証拠を掴めと依頼したがな。」


 すると間髪入れずに、路地裏から山賊のような風貌の男が姿を現した。


「依頼通り、ギルド運営費の横領の証拠がそうね…明日あたりにでも来るんじゃない?」


「誰が証拠の捏造をしろと…!

 …はぁ、まぁ良い。」


クスクス

「どの道、調べればいくらでも不正の証拠が出て来るわ。」


 その笑い方は受付嬢(並)と似ているようで、どこか妖艶な雰囲気を纏う受付嬢(無)。


「…ねぇ、フルギア名誉男爵。

 これは私が個人的に聞きたいことなのだけれど─」


 

ペロッ

「これは…!ロリBBA!?」


フリージア、フルギア名誉男爵…

新しく名前の出た彼らはいったい誰なんだ?



いつも読んでいただきありがとうございます。


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