242 ヨアケ
前回読み飛ばした方用ザックリあらすじ
なんだかんだでニーニャと結ばれた byラスト
外は明るくなってきたが、朝食を摂るにはかなり早い時間。
「はぁ…、あのねぇラス君─」
衝撃の事実に思わず叫んでしまった俺は今、不機嫌な婚約者3人に囲まれてセイザで叱る方の説教をされていた。
最初は俺の叫び声に何事かと飛び起きて来たマリ姉・アデリナ・リタの3人であったが、俺の部屋に駆け付けた3人が目にしたのは全裸の俺…とニーニャ。
これでナニが─ゴホンッ!…何があったのか分からない3人では無く、引っ立てられそうになった俺は慌ててシャツとパンツを身に着けたのであった。
そして俺の供述を聞き終えて、いの一番に口を開いたのがマリ姉であったのだ。
「─あなた何をしたのか分かってる?」
「うっ…、済まん。」
呆れを隠しもせずに俺を叱責するマリ姉に、俺は再び自責の念に駆られて謝罪を口にする。
だがそんな俺に、哀しげな顔のアデリナが無自覚の追い打ちを掛ける。
「…そうですね。
今回は痴情の縺れで済みましたが─」
「面目無い!」
ゴッ…!
アデリナの言う通り起こったことだけで見るのならば、今回は俺が勘違いで暴走しただけ。
しかしこれが勘違いでなかった場合、それ単体の罪では牢屋に入れられることは滅多に無いこととはいえ…犯罪者であることに変わりは無い。
俺が俺の罪で冷たい目を向けられてもそれは当然の報いであるが、俺の咎は「俺の婚約者であった」というだけでマリ姉・アデリナ・リタの3人にも降り掛かってしまう。
アデリナの言葉でそのことに思い至った俺は、その瞬間に額を床に叩き着けていた。
(ああっ、俺は本当に何てことを…!)
ゴンゴンッ
アデリナの言葉を遮ってしまったことにも気付かず、俺は俺の浅はかさを呪った。
「ラストさん落ち着いて下さい!?
私も皆さんも…それにニーニャちゃんだって、ラストさんが優しい人だって分かってますから!」
一度ならず…二度三度と繰り返し床に頭を叩き付ける俺を、リタが慌てて止めに入る。
ズキズキ
「うぅ…止めないでくれリタ、こんなんじゃ俺が俺を─」
「私はそういうことを言ってるわけじゃないのよ!」
─許せ無い。
そう言おうとした俺だったが、マリ姉の怒鳴り声に遮られる。
「「「え?」」」
そしてマリ姉が怒鳴った内容の突飛さに、俺・アデリナ・リタは思わず顔を見合せる。
「ラス君がニーニャの一途さを信じられなくて取った行動が、一般的に見て問題なのはその通り。
でもそれは私たちが言うまでも無く、ラス君が勝手に反省してるでしょ?」
「「…確かに。」」
マリ姉の言葉を受けて、俺を見たアデリナとリタが納得したように頷く。
(え?じゃあ何にマリ姉は怒っているんだ?)
俺はそう思ったものの、それを言えば更に話がややこしくなってしまうため心の内に留める。
しかし、そう思ったのは俺だけでは無いようで─
「…えっと、では…。」
「マリアさんはラストさんの何に怒っているんですか?」
─アデリナが戸惑いがちに話を切り出し、アデリナの後に言葉を続けるリタ。
俺が思ったことをアデリナが切り出し、遠慮してしまったアデリナに代わりリタが嫌味無く訊ねる。
パーティーの連携力が、こんなところでも見事に発揮されている。
「ラス君、ここに来た時言ったわよねぇ…?」
「…え、何を…?」
(ってヤバ…!)
変なことを考えていたせいでマリ姉に突然水を向けられた形になった俺は、マリ姉に返事を返してから己の失敗に気付く。
「私がラス君としたいって誘った時、ラス君「今は依頼中だから我慢してくれ。」って言ったのよ!?」
(あー…、そういう…。)
そう言われたら確かに、ここに泊まることが決まった際マリ姉に夜の誘いを受けていた。
しかし俺は泊まる場所が宿屋でも無い単なる空き家であったことや、俺たちを警戒する村人への警戒から「〈ベビーリーフタウン〉に帰還してから」と断っていたのであった。
その時は翌日には帰路に着くつもりだったのだが、度重なる直接依頼で滞在期間が延びに延びた。
これまで街に滞在していた時の頻度と比べた場合、現在は5回分ほどは溜まっているのではないだろうか?
「そういうことならラス君に我慢させるのも悪いからって、皆で相談してラス君との触れ合いを控えてたのに!」
ここに来てからやけに3人と関わらないとは思っていたが、まさかそういう理由があったとは!
「……私もカティアさんやソーナちゃんみたいに、ラストさんと…。
その…もっと、ぃ…イチャイチャしたいです!」
マリ姉の主張に感化されたのか、恥ずかしがりながらも中々に大胆なことを言うリタ。
「アデリナはどうなの?」
リタが自分に賛同したことで、勢い付いたマリ姉がアデリナにも意見を求める。
「えっ…と、………節度のある行動を心掛ければ良いのではないでしょうか?」
アデリナは悩んだ末、元聖職者らしい明言を避けた意見を述べた。
しかしアデリナは俺が誘えば婚約者として応じてくれるものの、あまり男女の営みに積極的では無い。
元凶を倒した筈なのに未だに解けぬ『魔化の呪い』のせいもあるのだろうが、マリ姉の主張には賛同しかねるのがアデリナの真意だろう。
「そう…。」
俺がそれを分かったのだから、マリ姉が分からない筈が無い。
しかし、ここでアデリナの明言しない言い回しが災いする。
「…じゃあ今晩から解禁ね!」
「ちょっ!?」
(何でそうなる!?)
そこは納得して引き下がるんじゃないのかよ!?
自分の意見を通すために、アデリナの意見をわざとねじ曲げやがった…!
「というわけで今晩はアデリナ、貴女がラス君に抱いて貰いなさい?」
「えぇ!?あの…、私は別に後でも…。」
マリ姉に意見をねじ曲げられた上、夜の営みの一番手に指名されたアデリナは当然ながら戸惑いが隠せない。
「駄目よ。」
後回しにして欲しいと訴えるアデリナであったが、マリ姉はアデリナの訴えをにべもなく却下する。
「ボソッ…(そろそろ“補給”、必要でしょ?)」
「う…、ラストさん。
…今晩はお手柔らかに宜しくお願いします…。」
しかしその後にマリ姉がアデリナに何やら耳打ちしたかと思えば、アデリナは恥ずかしそうにしながらも手の平を返してしまう。
最初の時を除けば初となる、アデリナからの“夜のお誘い”だ。
「お、おう。コソッ(…でも本当に良いのか?)」
しかし先ほどのマリ姉との様子から無理をしていないか気になった俺は、誘いに応じつつもコッソリとアデリナに確認を取る。
「コソッ(は、はい。…良い機会ですから。)」
アデリナの言う「良い機会」というのが俺にはさっぱりだが、アデリナも乗り気ではあることは確からしい。
パンパンッ!
「それじゃ話も纏まったし、朝食にしましょ♪」
「はーい♪」
「は、はい。」
マリ姉の音頭にノリ良く応えるリタに、まだ少し動揺が残る返事のアデリナ。
「…へいへい。」
俺は釈然としないものを感じながらも気怠げに返事をし、婚約者3人に雑用としてこき使われるのであった。
☆この話の要点
各々の説教の論点
ラスト・アデリナ・リタ
→ラストがニーニャに強姦紛いなことをしたこと
マリア
→自分たちがイチャイチャ()を我慢していたのに、言い出しっぺのラストがニーニャとイチャイチャ()したこと
…つまりマリ姉はエロ魔女 Q.E.D
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