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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
5章  忍び寄る戦争の影

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197 盗賊団の洞窟砦

Tips :〈妖精郷メルヘニア〉

 この世界ハコステラの何処にでも存在するとも、異なる世界に存在しているとも伝わる、希少魔物〈ピクシー〉の国…とされている。

 ダンジョン等の時空間が歪んだ場所から迷い込むとも、気に入った者を〈ピクシー〉が招くとも言われる。

 あらゆる季節の花が咲き乱れる自然豊かな、夜の無い常春の楽園らしい。

 〈ピクシー〉以外にも「メルヘニアン」という〈ピクシー〉サイズの小人も生息しており、人を見かけると必死の形相で群がって来る個体が多いとか…。

 楽園とは言うが、一度訪れたら二度と元の世界には戻れない…というが、〈メルヘニア〉の話が伝わっていることこそが与太話である証明だろう。

 

 

 仲間を信頼すると決意してすぐ、俺は早くも心配で張り裂けそうな気持ちに苛まれていた。

 暗闇に溶けていくように見えなくなっていく後ろ姿を見て、ニーニャが俺の側から永遠に居なくなってしまうように思ってしまうのだ。


(そんなことは無い…、…筈。)


 ニーニャに対する気持ちを固めてからこの方、ニーニャが俺のことをどう思っているか不安が拭えない。

 愛想を尽かされていても文句は言えないのは重々承知しているが、強欲な俺はニーニャも欲しくなってしまっていたらしい。


(何が「いつか俺以外の奴を好きになるかも知れない」だ。)


 もしあの時に戻れるのであれば、そんな自己満足な格好つけをしている俺を殴って考えを改めさせる。

 …などと、今にもニーニャを呼び戻そうとする心を抑えるために、そんなことをぐだぐだと考える。


 しかし次の瞬間─ 


ゆらゆら…フッ


「!?、はぷっ…!」

(ニーニャ!?)


 警戒を示すように低い位置で揺れていた、ニーニャの白い尻尾。

 暗闇でも辛うじて見えていたそれが突然見えなくなり、俺は思わず出そうになった叫びを、咄嗟に手で口を塞ぐことで封じた。

 

 普段ならそんなことに気が回らないのだが、ニーニャが危険を冒して偵察に出たのに俺が台無しにするわけにはいかない。


(ニーニャ、無事でいてくれ…!)


 ニーニャの身を案じながらも、その場に待機して暫く。


「「「「………。」」」」


 その間、誰1人として身動ぎの音一つすら発てることは無かった。


スタタタ…


 永遠に感じたが…実際は然程、時間は経っていないのだろう。

 暗闇の奥から僅かに、軽やかに駆ける音が聴こえてきた。


 その音が聴こえてきて、俺が「誰だ…?」と思う暇も無く─


ヌッ


 暗闇から滲み出てくるように、意外と近い場所からニーニャの姿が見えた。


(っ!、…良かった。)


 一瞬敵かと身構えたが、特に大事はなかったらしいニーニャの姿にほっとする俺。


タタッ…


 しかしまぁ、一度通ったとはいえ躓くことなくあれ程軽快に走れるとは、獣人種はそれほどまでに夜目が利くものなのだろうか?

 しかもニーニャの身体が軽いのもあるだろうが、走っているのに普通に歩くより静かだ。


 貴族に多い人間至上主義の奴らは、一体何を以て獣人種やエルフにドワーフを亜人と蔑むのだろう。


「(ご主人、見てきた。)」


(おっと。)


 今はそんなことより、偵察結果の確認が先だ。


「(お帰りニーニャ…で、どうだった?)」


「(大体10歩くらい?で、右に曲がる。

 あと…、光るきのこが生えてる。)」


「(なるほど…。)」


 ニーニャの10歩というと大体6mか…いや、警戒しながらであるなら歩幅は狭くなるだろうから5~6mになるだろうか。

 暗さの割には通路が短いと思うが、それくらいならば松明など無くとも、出口の光を頼りに外に出ることは難しいことではない。


 入る時に関しても一度状態を把握してしまえば、あとは手探りや慣れで通行には問題が無いだろう。


(それが盗賊が灯りを持っていなかった理由か。)


 そしてそれはこの暗闇の中に罠がある可能性が低いということにも繋がり、そこに通路があると分かってしまえば侵入は容易い…ということになる。

 …しかし光る茸を灯りとした洞窟生活とは、随分とメルヘンな盗賊団なことで。


ヒョイ

「(…ねぇ、見てこれ。)」


 ニーニャの報告を聞いて府に落ちた俺の横。

 徐に屈んで何かを拾ったような動きをしたマリ姉が、手の平を開いて採取したものを俺に見せてきた。

 …のだが。


「(スマン…マリ姉、良く分からん。)」


 俺の知識が無いという以前に、薄暗いこの場所ではマリ姉の手に何か黒いものが載っているということくらいしか見えないのだ。


「(良く見てっ!…って、今は良いか…。

 良い?これは〈深淵苔〉っていうんだけど…)」


 そう言ってマリ姉は手の平の黒いもの…マリ姉曰く苔の一種らしいが、…の説明をしてくる。


 苔というものは大概が湿気と暗所を好むが、この〈深淵苔〉というものは光と音…もとい空気の振動(?)を嫌うらしい。

 そのため光と音を異常に吸収するらしく、暗闇を更に深めることからその名が付けられたらしい。


「(はぇ~…。)」

「(ほ~…。)」


 マリ姉の講義を並んで聞き、そんな声を漏らすリタと俺。

 無意識に口を開いたポカン…とした表情のリタだが、溌剌とした普段の表情と同様に愛嬌がある。

 …おそらく俺も似たような表情をしていたのだろうが、俺のそれはただのマヌケ面だったことだろう。


 それはさておき。


「これは苔全般に言えることなのだけど、こんなに綺麗に生えるわけ無いのよ。」


(確かに…。)


 マリ姉に指摘されて再び見てみると、〈深淵苔〉が生えている場所とそうでない場所が、横穴のところで線を引いたように分かれているようにも見える。


「(これを盗賊の方が…?)」


 アデリナがマリ姉に訊ねるが、盗賊団が住み着いた時期を考えると、苔がこれ程までに生い茂るのは早すぎだ。


「(今は「誰がこれをやったか?」は重要じゃないわ。

 今重要なのは、この洞窟は予想より遥かに手が込んでるってことよ。)」


 鳴子や落とし穴などの罠は予想していたが、入り組んだ地形に、苔を利用した隠蔽。

 盗賊が何処までこの場所のことを把握しているかは不明だが、俺たちはある意味での“砦”を攻略しなければならないようだ。

Tips は無いと言ったな?…あれは嘘だ。

(ネタが降りて来ただけとも言う…。)



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