第9話 教室
——俺たちは立ち止まっている暇はない!世界は広すぎるからな。
相手の手に触れた瞬間、脳裏に言葉が入ってきた。
「相棒——」
僕はポツリと呟いた。
「さーて、どこから探そうかな」
「影はあっちの方向に行った」
僕は登り階段を指した。
「そうか、じゃあ行こうか」
僕たちは階段を登る。
ここは何階だろうか?
走り回っていて、階数のことなど気にしていなかった。
階段を登ると、廊下と複数の教室があった。
よく見る廊下のはずなのに、微妙に違和感を感じた。
廊下がやけに長い。
教室の数も、多すぎる気がした。
「美術室、理科室、視聴覚室……特別教室ばかりだね」
教室のドアを覗いてみるが、暗く、何も見えない。
何の教室かは、名前を見ないとわからない。
僕が初めにいた教室は普通教室だった。
その階が全て普通教室だったかはわからない。
この階には普通教室はなく、特別教室が等間隔に並んでいる。
僕が初めにいた階ではなさそうだ。
「教室たくさんあるね。どのくらいあるのかな?」
「さぁ」
僕は軽く答えた。
この学校がどのくらいの広さなのかわからない。
だが、この中から影を見つけなければならない。
見つけても、きっとまた逃げられる。
僕は少し、面倒に感じた。
「ねぇ、音楽室だって!こっちはなんだろう?給食室かな?」
相手は無邪気に走り回っている。
楽しそうだ。
学校——
そういえば、長く行ってないような気がする。
なんだか懐かしい。
「広いねー。どこを探せば——」
ばたん。
相手の言葉を遮るように、大きな音がした。
僕と相手は顔を見合わせる。
「今の、聞こえた?」
「あぁ」
音のした方へ向かうと、扉がひとつだけ開いていた。
そこは——図書室だった。




