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花咲く頃に、僕は消えて  作者: 月嶋歩夢
【第五章】今、ボクは生きる
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30/36

第30話 白

——ピッ、ピッ、ピッ


 規則正しい音が聞こえる。

聞き覚えのある音。

テレビとか映画とかで聞いたことがある。


 ゆっくりと目を開ける。

眩しい。

視界がぼやけ、周りの状況が認識できない。


「……どこ?」


 白い視界の中に、微かに黒い線が見える。


 何だ?


 視界がだんだん鮮明になってくる。

白い天井。

黒い線は、小さなヒビだった。


 身体がだるくて重い。

指を動かそうとする。


 ……あれ?


 動かない。

どうなってるんだ?


 視線だけを動かす。

白い壁。

白い掛け布団。

点滴。

そして、視界の端には機械。


 ……病院?

ここは病院なのか?

なんで?


 状況が読めない。

身体が動かない。

僕はどのくらい寝ていたのだろうか?


 ガラガラガラ


 突然ドアが開く音がした。

 

「やっほー! 今日も来たよ」


 元気な声で誰かが話している。

少女の声だ。


「あれー、窓開けっぱなし。風邪ひいちゃうよ」


 僕の足元から窓側にかけて足音が聞こえる。

軽いステップで、靴が床を擦っている。


「さて、今日も始めますか」


 少女は僕の足元に椅子を引き寄せた。

ギギギギギ


「よいしょ」


 少女は椅子に腰をおろすと、バタバタと何かの準備を始めた。


「一仕事終えた探偵は桜舞う木の下で、ひとり物思いに沈んでいた。「エドワード、今回もお見事な推理だったな」「あーベネットか」「どうした? 何か納得いってないのか?」エドワードは少し考えた後、右の口角を上げた。「ベネット、君はこの天才探偵エドワードが、この小さな世界に収まると思うかい?」また、不思議なことを言っている。ベネットは眉間を掴み、ため息をついた——」


 少女は、迫真の演技で語っている。

もう何回も読んでいるのだろうか、流暢な語り口だ。


「「エドワード、この世界もいいじゃないか。穏やかで暮らしやすい。少し変わってるけど、皆いい人たちだ。」ベネットはエドワードの肩に手を置き言った。「確かにな」エドワードは続けて言った。「でもなベネット、私は見てみたいんだよ、まだ見ぬ世界を」ベネットはため息をついた。「君って人は」エドワードはベネットに意地悪な笑みを浮かべながら言った。「未知から背くことは臆病かそれとも勇気か。相棒、さぁ行こう」ベネットはもう降参だといいたげに両手を上げた。「わかりましたよ、あなたについていきます」「そうこなくっちゃ相棒」二人はまだ見ぬ世界へ歩き出した——」


 この話……

僕はこの話を知っている。


 僕は喉に力を込めた。


「こ……こは……る……」

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