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花咲く頃に、僕は消えて  作者: 月嶋歩夢
【第四章】冬、キミを忘れる
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第26話 声

「……誰?」

「これが君の今の姿だよ」

「どういうこと? 私じゃない!」


 鏡には知らない人物が映っていた。

私と同い年くらいの少年。

細身で黒髪。

前髪を目元まで伸ばし、視界に前髪が入ってくる。


「え? ちょっと待って!」


 私は気づいた。


「この制服、うちの高校じゃん!」

「ふふふふ、いい反応だね」


 それは満足そうに笑った。

まるで、私の反応が分かっていたかのように。


「ど、どういうこと? 何でこの制服着てるの?」

「同じ学校に通っていたからね」


 知らない、こんな男子。


「同級生だよ」


 知らない、こんな同級生。


「君が殺したんだよ」

「……知らない」

「君と一緒に」

「知らない!」


 それは話を続けた。


「さっき、本を読むのが好きだった少年の話をしたよね? 彼なんだよ。彼は学校の中庭にあるベンチに座って本を読むのが好きだった。君も見たことあるんじゃない?」

「……」

「……事故の日、いつものように彼は中庭で本を読んでいたんだ」

「……」

「……で、君は屋上にいたんだ……ね、聞いてる?」

「……」


 頭の中に靄がかかる。

それの声ははっきり聞こえる。

でも、話が入ってこない


 え?中庭?屋上?

……私……屋上から落ちたって……

気持ち悪い。

 

 呼吸が荒くなり、視界が歪む。


て……った……れ……たち…………


 その時、脳内に声が入ってきた。


「テスト終わったー! お疲れ私たち!」

「お疲れー!」


 聞き覚えのある声。

一人は私、もう一人は……佳奈?


「テストも終わったし、久しぶりにどっか行かない?」

「いいね! 駅前に、新しいカラオケできたの知ってる?」

「南口の? 行ってみる?」

「やったー! 今日はうたっ—————————」


 声が途切れた。


「あ……あ……」

 

 違う……


「湊美! 湊美! 誰か助けて! 湊美が、湊美落ちた! 湊美!」


 佳奈の叫び声が脳を揺らす。

悲痛に満ちた高い音が、目の奥を熱くする。


 違う……


「だ、大丈夫?」


 それは、私の異変に気づいたのか、顔を覗き込んできた。


「ごめん、一気に話しすぎたね。君も分からないことばかりなのに……」

「……は?」

「え?」

「……少年は? 少年は死んだんだよね? 何で死んだの?」


 それは少し悩んだ表情をした後に答えた。


「君は屋上から落ちた。その下に少年がいたんだ」

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