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花咲く頃に、僕は消えて  作者: 月嶋歩夢
【第四章】冬、キミを忘れる
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第25話 揺らぎ

「私が死んだ?」

「そうだよ!」


 それは無邪気に答えた。


 おかしい。

何を言ってるの?

私が死んだ?

じゃあ、今の私は何?私は生きてる。


「馬鹿じゃない」


 私は吐き捨てるように言った。


「君は死んでるんだよ……一年前に」


 一年前?

何言ってるの?

一年前に、何があったの——


 その時、左後頭部に鈍い痛みを感じた。


「だ、大丈夫?」

「う、うるさい……」


 視界がかすみ、眩暈がする。


……………み……みな…………

……だれ……か………………

誰か……助け…………て……


 脳裏に声が響く。


 誰なの?

誰が話してるの?

誰が私を……


「何なのよ……」

「……」


 それは黙って私を見ている。

睨んでいるのではない。

目は乾き、光がない。

感情すら感じさせない、無の表情だった。


「知りたい?」

「え?」

「一年前に何があったか。君がどうやって死んだか」

「私は死んでない」


 それは軽く微笑み、話を続けた。


「君はね、事故で亡くなったんだ」

「……事故?」

「そう、学校の屋上から落ちたんだ」


 信じない。

信じるわけない。

なのに、淡々と話すそれの表情は、嘘をついているように見えなかった。

私は生きている。

生きていると信じているのに……


 私は絞り出すように、それに言った。


「私は生きてる!」


 そう、私は生きてる。

信じない。

そんな事件、記憶にない。


「そうだよね。信じたくないよね。自分が死んだって」


 それは表情を変えず言った。


「じゃあ、今の君を見せてあげる」


 その瞬間、あたりが暗くなった。

暗闇の中に、所々キラッと小さい光が点滅している。


「な、何なの?」

「……」


 それは何も答えない。


 徐々に暗闇に慣れてきたからか、光の正体が露わになっていった。


「……鏡?」


 壁一面にぎっしりと鏡が埋め尽くされていた。

「え……?」


 私は微かな声を出した。

その声には、驚きと恐怖と絶望が入り混じっていた。

声にならない、微かな声だった。

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― 新着の感想 ―
ここまで読みました。 最初は綺麗で不思議な世界を旅する話なのかなと思って読んでいたんですが、少しずつ違和感が増えていって、気づいたらかなり続きが気になっていました。 特に「僕」から「私」に視点が変わっ…
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