第24話 少年
「え?」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が小さくざわついた。
理由は分からない。
私は、思わず聞き返した。
「何を言ってるの?」
「ごめんね、急に。君も気づいていないんだね」
気づいてない?
意味が分からない。
私は少しだけ眉をひそめた。
「この記憶はね、少年の記憶なんだ」
それは、悟るように話し始めた。
「彼はね、内気で、人と話すのが少し苦手だった。でも、本を読むのが好きだったんだ。一番好きなのがSF小説。本の話をすると、目を輝かせる子だった。物語の世界が、彼の全てだったんだ——」
「だから、私の夢は、彼が読んでいた小説みたいになってるってこと?」
私は、それの言葉を遮った。
「……そうかもね」
それは、無邪気に答えた。
私の夢は、知らない誰かの記憶からできている。
でも、私には心当たりがない。
「その少年って誰? 私と関係あるの?」
「あるよ」
それは、私の言葉に被せるように言った。
先ほどまでの笑顔ではない。
私を睨みつけ、小刻みに足を震わせている。
「君は……彼を殺したんだ」
静かだった。
何かを押し込めるような。
そして、諦めているような、そんな声色だった。
「そして、君は……死んだんだ」
それは、小さくつぶやいた。
私が……死んだ?
呆れて何も言い返せなかった。
だが、それの顔は真剣だった。
一つしかない目をカッと開き、私の目を見ている。
まるで“真実”だと私を説得させるかのように——




