第23話 宇宙
——相棒、忘れるなよ。
遠くで誰かの声がした。
重く、囁くような声。
さっきとは違い、はっきりとした言葉だった。
「何のこと?」
急に変なこと言われても、困る。
「ま、いいか」
私は、言葉を聞かなかったことにした。
忘れるなって……何を?
意味の分からないことを言われ、少し苛立ちを感じた。
宇宙——楽しまないと。
漆黒の闇を、太陽の光がゆっくりと照らしている。
音はない。
それなのに、不思議と寂しくはなかった。
惑星はどれも緑色の苔に包まれ、ところどころ白い霜がきらきらと輝いている。
おもちゃの車が、惑星と惑星の間を走り抜ける。
飛行機は、くるりと一回転した。
積み木やぬいぐるみまで、星屑みたいにゆっくり漂っている。
「子ども部屋みたい」
私は思わず笑った。
「気に入ったかな?」
突然、背後から声が聞こえた。
「え?」
私は振り向き、声の主を見た。
種のような形をした、一つ目の……宇宙人?
足はあるが、手がない。
頭には少し、植物の芽らしきものが飛び出ている。
「……今回も会えて嬉しいな」
それは、小さな口で微笑みながら言った。
「……私、あなたのこと知らないんだけど」
「だよね。人違いだった。初めまして」
それは、表情を変えず、訂正した。
「面白いところね」
「そうでしょ? いつも面白いんだよ」
いつも?
私はその言葉に引っ掛かった。
ここは私の夢の世界。
夢の中で、こんな生物にはあったことがない。
「へーそうなんだ」
私は適当に答えた。
「ここは、君の記憶だよ」
「私の記憶……」
私の夢だから、私の記憶というのはあっている。
でも“夢の世界”とかでよくない?
細かいところが気になってしまう。
「正確にいうと、君の記憶ではない。君の中の記憶さ」
「え?」
どういうこと?
言っている意味が分からない。
「私の中の記憶ってどういうこと?」
それはニコッと笑い、そのまま重い口調で言った。
「気づいてないと思ってる?」




