006:コムニストの匂い
高層ビルの屋上に立ち、季雨は下方の上海理工大学のキャンパスを見下ろしていた。
片側四車線の道路には誰もいない。ここは忙しい都市圏のはずだが、蝉の声も鳥の声も聞こえない死んだような静けさが、ここが死んだ街であることを示していた。
リズと逃亡したあの夜以来、季雨は毎晩眠りにつくと、現実の上海と寸分違わず、ただ生き物が一匹もいない奇妙な夢の世界へ来るようになっていた。
それを夢ではなく何らかの異空間と呼ぶのは、季雨がかつて空城で実験をしたからだ。彼は小さなナイフで皮膚を少し切り開き、血が出ることと痛みを感じることを確認した。しかし目覚めた後、先ほどの傷は完全に消えている。
もしかすると、今この瞬間にこの奇妙な上海に存在する自分は肉体ではなく、何らかの魂のようなものなのかもしれない?
普通に眠り、夢の中でこの空城へ入らないようにすることもできる。ただ「空城へ入りたくない」という考えを抱いて睡眠に入れば、自然に一度の睡眠で目覚められる。しかし季雨は、人生の半分の時間を何の理由もなく睡眠に浪費するわけにはいかないと考えた。そこで彼は毎晩、この「上海」を目的もなくぶらつき、地図に慣れるつもりでいた。どうやら意識が空城で活動している間、現実の身体も十分な休息を得られるらしく、毎朝目覚めた後、彼は特に疲れを感じることはなかった。
目の前の上海理工大学のキャンパスは、季雨が時運苑へ引っ越してきたこの一週間の間に隅々まで歩き回っていた。もしかしたら新学期の時には新入生の案内役になれるかもしれない。
高層の風はそれほど強くなく、屋上の簡易手すりに寄りかかり、季雨は夕方に璃見真理と行った「対局」の全過程を振り返っていた。
彼は自分が臭い手を打ったと思った。あるいは、二人は団栗の背比べのように、互いの探り合いのレベルがどちらも良くなかった。
あのオレンジ色の髪の女のすべての行動はあまりにもわざとらしかった。わざとらしいナンパ、わざとらしいカップルラーメン、わざとらしい言い間違い、わざとらしいバー……
自分が「僕はL」という言い間違いで探りを入れた後、相手は即座に「人を家に連れて行く職業病」という新たな「何気なく情報を漏らす式」の新しい言い間違いで返してきた。
自分がジェンダー問題に関する皮肉めいたネタを振ったとき、相手はごく自然にそのノリに乗ってきて、まったく不快に思っている様子がなかった……一般的に、ジェンダー問題を前にしてもまったく動じないというのは、男女対立がもはや彼女の利益を侵害し得ないほど自己認識上の地位が高いか、あるいは他人に情緒的価値を提供するための専門的な訓練を受けてきたかの、どちらかだ。
まるで「前もって自分という目標を狙い定めていて、こういう機会を探して接近する必要があった」かのようで、決して所謂「偶然」や「縁」ではない。
彼女のレベルが高くないと言うのは、彼女がもっと忍耐強く、より合理的な手段で自分とつながりを持てたはずだからだ。しかし季雨は、この邂逅全体から一種の焦燥感しか感じなかった。まるで彼女がもう我慢できずに自分と会い、話し、探り、友達になりたいかのようだった。しかしこのような幕開けは、季雨の警戒心を高めるだけだ。今後の付き合いでは常に一手を警戒し、彼女の目的を探ることになる。
そして自分の打った臭い手はさらに愚かだった。璃見真理が自分の情報を集めに来たと感じていたのに——これが彼女の主な目的ではないかもしれないが——それでも名前という最も検証しやすい情報で嘘をつき、自分もまたこのオレンジ色の髪の女に無意識に警戒していることを露呈した。
「しかも未来、本当の名前を告白する時に気まずい思いをする。璃見真理が僕を大目に見て、あまり絡んできませんように」季雨はそう思った。
「これが本当にただのナンパ」という可能性は? ある。しかし彼は永遠に信じない。「犯人の後の完璧な振る舞いによって最初の疑いを打ち消してしまう」のは多くの探偵の死因だ。季雨はこの「傲慢」で「怠惰」な過ちを犯さない。
空城の空の太陽は、自分の日差しを穏やかに季雨の上へ降り注いでいた。現実は夏の夜のはずなのに、空城の気温は蒸し暑くならず、むしろ少し涼しい。どうやらここは毎日の時間が現実と逆なだけでなく、季節も逆のようだ。
自分の記憶喪失、誰もいない空城、リズの行方、政府の反応、璃見真理の目的、そしてあの奇妙なロボット。さまざまな謎が少年を思考の深淵へ巻き込んでいく。しかし少なくとも、少年の今日の空城での気晴らしはまだ始まったばかりだ。
◆◇◆
最初に投げ落とされた時、感じたのは四方八方から同時に押し寄せる、粒状感を伴う死の重さだった……
胸の上の圧力が最も顕著で、息を吐くたびに、土壌が重力でわずかに崩れ落ち、胸腔が縮んだ分の空間を埋めてしまい、次の吸気が前回より困難になる。
外界の光も音もすべて消え、少女に聞こえるのは自分の体内の音だけだった。心臓の鼓動は誰かが耳元で太鼓を叩いているかのように大きく、呼吸音は粗く響きのあるシューシューという音に変わり、唾を飲み込む音も非常に鮮明だった。
彼女は叫ぼうとしたが、声は土壌に即座に吸収され、分厚い綿布に向かって叫んでいるようだった。口と鼻にはすでに土が入り、アルカリ味と腐植質の匂いがする。吐き出そうと飲み込もうと、無駄な動作のたびにさらに多くの土が入り込む。
……
自分はテンペスト家の末娘だ。家族に伝わる超能力を覚醒していないため貴族とはみなされないが、それでも自分は「|リズ・テンペスト《Liz Tempest》」という名を誇りに思っている。
兄弟姉妹が自分を「雑種」と見なし、両親が自分を家から追い出しても、リズはロンドンで強く生きていた。盗みで、騙しで、未来には身体が成熟すれば自分の美色を売ることになるかもしれない。しかしリズは運命にこのまま敗れたくなかった。そんなある日まで——
「この街区を封鎖しろ、中の平民を残らず連行しろ!」
銃を携えた帝国の鷹犬たちが貧民窟に乱入し、暴力で目についた者全員を連れ去った。
幼児は母を叫び泣いたが、虚弱な母親は両脚を折られ、死んだ犬のように我が子と一緒に家畜運搬用の荷車へ詰め込まれた。
リズも例外ではなかった。
城に入り、厳粛な礼拝堂を抜け、実弾を装填した鷹犬たちが十数台の荷車を護送し、だだっ広い墓地へ到達した。墓地の中央には大小二つの穴があった。
小さい穴のそばの石台には一つの肥満した死体が置かれ、複雑な衣装を着た一人の司教が死体のために最後の|追思礼拝《Memorial Service》を行っていた。大量の貴族がその周囲を囲み、同じく貴族で構成された聖歌隊が讃美歌を歌い、共に埋葬を待っていた。
荷車の群れが墓地へ追い立てられるのを見て、そのうちの一人の貴族が嬉しそうに鷹犬の頭へ歩み寄り、彼を称賛した。
「ああ~よくやった、こんなに早くこれほどの『陪葬品』を連れてくるとは。この賎民どもを降ろせ、騒ぎを起こすな」
鷹犬の頭は片膝をつき、貴族の合図で再び立ち上がり、部下を率いてこの百匹の「家畜」を処理する準備をした。
目の前のこの光景を見て、「家畜」たちは皆、何が起きたのかを理解した。帝国領内でよくある、ロンドンのような貴族密集区ではさらに一般的な、貧民窟では日常茶飯事の——生きた人間を埋める殉葬だ。
百人以上の規模……最近何か大物が死んだのか? ああ、エドワード七世、十四日前に死んだ帝国皇帝。大物を一人選ぶなら、彼は引退したヴィクトリア女王以外では最大の人物かもしれない。
「ううあああ——」
「死にたくないよ!」
「パパ! ママ!」
「うううう」
「なぜ私を捕まえるの!」
これが第一段階だ。自分がまもなく死ぬという真実を理解し、啜り泣きと叫びが家畜たちの間で広がる。そして——
「助けて! 助けて!」
「死にたくない! 殉葬なんて嫌だ!」
「私は今年まだ16歳! 死にたくない!」
「私には両親も妻も子供もいる、死ねない!」
「誰か助けて!」
第二段階、命乞いの声が家畜たちの発する音の主流を占めた。
続いて第三段階、誰が最初に罵り始めたのか、苦痛の叫び声は次第に怒りの、醜悪な呪詛へと変わっていった。
「私は何も悪いことをしていない! なぜお前と一緒に死ななければならない!」
「エドワード! お前が地獄に堕ちることを呪う!」
「|愛撫者エドワード《Edward the Caresser》! |ドイツの簒奪者《German usurpers》!」
「お前たち|ザクセン=コーブルク=ゴータ家《Saxe-Coburg-Gotha》の雑種ども!」
「くたばれ貴族ども! 我々は地獄でお前たちを待っている!」
鷹犬たちは醜態を露わにした家畜たちを大きな穴のそばへ追い立て、あまりに頑固な家畜に遭遇すれば、いっそ四肢を切り落とし、事前に穴の中へ放り込んだ。
リズも同様に捕まり穴のそばへ連れて行かれたが、彼女があの貴族のそばを通り過ぎる時、全力で彼のズボンの裾を掴み、叫んだ。
「私はテンペスト家の末娘、私は貴族よ、あなたたちは——」
返ってきたのは血腥い匂いのする、頭部に向けられた蹴撃だった。
「衣服も満足に着られない賎民が貴族のふりをするとは? 貴族だと言うなら、超能力を見せてみろ、ははは」
新たに染みついた血痕は、皮靴にすでに乾ききった血痕と合わさり、皮靴の持ち主をさらに高貴に見せた。
一時的に動けなくなったリズは言葉を発せず、同じく殉葬坑のそばへ引きずられた。
小さな穴のそばの貴族たちは、大きな穴のそばで藻掻く家畜の群れを冷ややかに眺めていた。ロンドンでその場で捕まえたため、これらの家畜は皆白人だ。空から見れば、汚物の中で蠢く白い蛆虫の大群のようで、家畜にすらならず、無用な害虫だ。
いや、彼らはもちろん家畜だ。これからまさに役割を果たすではないか?
「黙れ! お前たち賎民の命は自分のものではない! 今こそこの領地の主人に従う時だ。お前たちは天国でエドワード七世陛下の奴隷として生き続ける! これはお前たちの栄誉だ!」
一声の号令と共に、家畜たちは一人また一人と大きな穴の中へ突き落とされた。まずは反抗が激しすぎて四肢を切り落とされた人彘、鷹犬たちは長槍でその腹を貫き、串に刺した肉のように焼き炉へ放り込む。この演出の効率が悪すぎると気づいた後、料理人たちはいっそ手で押し、あるいは足で蹴った。先に落ちた者は後に落ちた者に上から叩きつけられ、穴の底の者は衝撃と継続的に加わる重圧で骨折する。四肢を失った者の傷口は水道管のように血を噴き出し、殉葬坑の乾いた泥は血と混ざって赤褐色の泥水に変わり、色とりどりの内臓が単調な料理に別趣の彩りを添える。ある者は泥水の中で藻掻きながら這い出そうとしたが、すぐに次々と落ちてくる食物の残渣によって再び残飯桶の中へ押し戻された。
百人以上の歪んだ表情には恐怖と怒りが溢れ、食物たちは野蛮な調理の下で苦痛の嘶きを上げた。
「許して! 許して!」
「死にたくない!」
「ああああ! 痛い! 痛い!」
「アダムが耕しイヴが紡いだとき、お前たちの誰が貴族であったか!」
手、多くの手。下層の人々は生存欲求のため、掴めるものすべてを全力で掴んで上へ這い上がろうとする。ゆえに外観から見れば、「スープの器」の中の肉と肉の隙間から一本あるいはそれ以上の手が伸び、食物たちが調理される時の絶望感を引き立て、かえってこのボリューム満点の美味な盛宴により芸術感を与えていた。
聖歌隊の貴族たちは古代ローマの闘技場の血に飢えた観客のように、殉葬坑に落ちる人数が増えるにつれ、讃美歌の歌声もますます高らかになっていった。
背後からの推力に抗えず、リズも同様に殉葬坑の中へ落ちていった……
……
「リズ? リズ?」
ファストフード店の柔らかな照明の下、店長がリズをそっと揺り起こした。
フライドチキンとポテトの香りがリズの意識を安全な現代社会へ連れ戻し、彼女は目をこすり、ついでに目の端の涙を拭った。
「君はとても疲れているように見える。残業が多すぎるんじゃないか? 家に帰って休む必要がある?」
「いいえ、まだしばらくしないと夜が明けません。その時に交代すれば大丈夫です」
店長は泣き笑いした。
「君はもう連続十五時間働いている。うちは一応国際的なチェーン店で、従業員の労働時間には硬性規定がある。君のように長時間の労働が外部に露見すれば、従業員の健康を軽視している、強制労働だといった世論の風波を引き起こす可能性がある。無理はしない方がいい」
「ご迷惑をおかけするなら、すぐに家へ帰って休みます」
そう言うと、リズは従業員休憩室へ戻り、制服を着替える準備をした。
「ああ、そうだ」店長はリズを呼び止めた。「これは君の今週の給料だ」
「受け取れません」
「あ?」
店長が非常に困惑しているのを見て、リズは説明した。
「私にはこの社会に報いる一芸もなく、誰にでもできるこの仕事をして社会に貢献し、最大の真剣さで一人一人の労働者にサービスを提供するしかありません。私は自ら進んで社会に貢献しているのであって、金銭のような報酬のために働いているのではありません」
「あ?」
店長の困惑は驚愕へ変わり、リズはむしろ自信をなくした。
「ち、違いますか? 私……ここは社会主義国家だと聞きましたが……私と同じような人はいないのですか?」
「いやいや、我々は社会主義の初級段階で、共産主義のあの段階にはまだ達していない。だからやはり労働報酬は必要なんだ。考えてみてくれ。労働者が商品を生産し、報酬を得て、その報酬で別の労働者が生産した別の種類の商品を買う。まさにこの何千何万という生産者と消費者の連鎖が共に良好に運行する市場を築いている。もし君が報酬を受け取らなければ商品を買えず、他の労働者は君の金を稼げず、君は他の労働者を飢え死にさせるに忍びるか?」
リズの目つきが急に鋭くなり、彼女は店長の手から給料を一気に奪い取り、そしてお辞儀をした。
「店長、ご指摘ありがとうございます。この金はしっかり消費させていただきます」
ファストフード店を出て、リズは外の空を一目見上げた。まもなく太陽を迎える未明の空は完全な漆黒ではなく、プロイセンブルーのような深い色が渦巻いている。自分の髪の色にとても似ている。
——リズが後に到達した苦寒の地にとても似ている。永遠に溶けない雪水、骨を刺す冷たい雨、そして午後三時か四時には暗くなる空。
「この荒れ果てた土地で、お前は依然としてディスコを踊れる」
しかし今は夏で、上海も荒れ果ててはいない。
呟きを一つ漏らし、リズは未明の大通りを散歩した。
自分が一週間前に受け取った紙袋の怪人のスーツケースには、全套の着替えと身分証明書類が入っていた。「初心者教程」の指示に従い、リズはスマホの使い方を学び、Welinkをダウンロードして上海理工大学のキャンパスカードを有効化し、さらに上海理工大学の宿舎を事前に申請した。そのおかげで彼女は今、学校に住むことができ、個別に部屋を借りる必要がない。
学費はすでにスーツケースがくれた銀行カードに入っており、リズは今、生計を心配する必要はない。外へ働きに出るのは完全に彼女が自ら社会に報いる行為だが、今になってみると、労働報酬を求める普通の労働者になることこそが社会にとってより有益な行為なのだ——
だろうか?
「コムニストはどんな匂いがする?」
「失敗」




