16/26
【Side:レオン王】賭けと異国の料理人
【Side:レオン王】
そんな遥子の気持ちをよそに、王は思案していた。
宮廷医ですら匙を投げた病だ。医者でもなく薬師でもなく、ただの料理人。
しかも異国の女だ。
そんな人間に一体何ができるんだと、話半分で聞いていたが、発せられる単語の一つ一つは聞いたことのない言葉だった。
これも彼女の国では普通に用いられている言葉なのだろうか?
確かに理路整然としている。だが、信頼に足るかは別だ。
今日初めて会った得体の知れない人間には違いない。
けれど、どこかで「治る見込みがあるのだろうか」と期待してしまう自分もいる。
叶うのならば死にたくはない。余にはまだまだやらねばならぬことがある。
嘘をついている感じはしない。けれど、自信がある感じでもなさそうだ。
だが、ここで何もしなければ、ただ死を待つのと同義だ。
賭けてみるか。この異国の料理人に。
少なくとも、彼女の説明は誠実であった。
政治上、あらゆる人間の嘘を見てきたのだから、それぐらいは分かる。
だから、一縷の望みにーー彼女に賭けてみようと思った。




