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固有スキル【交換】でいらないものを邪魔者に押し付けて成り上がります!  作者: 気まぐれ@ハズリバ2巻、コミカライズ1巻
S級昇格編

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第92話 七曜の魔女

 ロックドライブラリーの30階に入った時、魔物の気配が全くしなくなった。

 魔物の気配はしないのに、まとわりつくような粘っこい雰囲気がする。


「ミストラルさん、この感じ……」


「ええ、多分クラウスさんと同じことに思い当たっています」




 そのまま進むと、レッドラインが見えてきた。


「やっぱり、モンスターハウスですね」


「ええ。どうしますか、クラウスさん?」


「もちろん、ここで食い止めます。S級のスタンピードなんか起こったら、王都が崩壊してしまいます。ミストラルさん、結界を張るので動かないで下さいね」


「わかりました」



 黒い絨毯のごとく魔物が密集しているのが遠目に見える。

 やがて近くに湧いた魔物がこちらに向かってくる。

 メタルマンティスやキングアント達がやってくるので、ファイアボールで焼き払う。

 今度は本型の魔物が押し寄せてくる。


 ここで、とっておきの魔法の出番だ。

 ヴェルーガから得ていた全属性混合魔法、【虹魔法】だ!


「レインボーウェーブ!」


 火、水、風、土、光、闇、雷の7種のミックス魔法。

 七色に煌めく魔法の波動が辺り一面を覆っていく。


 バーストブック、フリーズブック、テンペストブックなどさまざまな属性の本をまとめて消し飛ばしていく。


「クラウスさん、まだ奥の手があったんですね……」


「僕のオリジナルじゃないんですけどね。ちょっと消費MPが多いので使いづらかったのですが、今の場面にちょうどいいと思ったので」


 ヴェルーガは『断罪の時牢』に閉じ込められていた間、この虹魔法を開発していた。

 開発したはいいが、ヴェルーガ本人の持つ【破壊魔法】より威力が少し低かったので、彼の中ではお蔵入りにされていた技術だ。

 僕にとっては充分高威力なので使わせてもらう。




 少し距離が空いたら今度はレインボースピアを投げて、出来るだけ遠くの敵を蹴散らす。

 その繰り返しだ。


 徐々にレッドラインが縮まっていくので、それに合わせて僕たちも前進していく。



◇◇◇



 しばらくして、レッドラインが縮まらなくなった。

 魔物はもうほとんど見えないというのに。

 


 やがて現れたのは、ゆったりとしたローブをまとった女性の魔導師。

 普通と違うのは青白いオーラをまとい宙に浮いていること、そして七色の宝石が彼女を取り囲んでゆっくり回っていることだ。

 そこらの雑魚とは雰囲気が違う。


 今まで見たことないタイプだが、おそらくボス級なんだろう。


「エレメンタルクラッシュ」


 彼女の無機質な声がし、七色の宝石からそれぞれの属性魔力のこもった球が大量に放出されこちらに向かってくる。

 

 視界を埋め尽くさんばかりの球体を目にして、僕は魔法結界を展開し防御する。

 激突する魔力球は結界にぶつかり光を発し弾けながら消滅していく。


 やがて光が収まるが、効かないとみるや彼女はすぐに、


「火土術、マグマボール」


 と短く呟き、赤い宝石と茶色の宝石が光った直後、燃える岩が僕に向かって飛んでくる。

 

 再び魔法結界で防ぐ。


 彼女を見ると、周囲の宝石が少し小さくなっている。

 彼女が目を瞑ると、宝石が大きくなり輝きを取り戻していく。


 これ以上攻撃させるのは面倒だ。


「魔法剣・オーラブレード!」


 射程を伸ばした剣で彼女に斬りかかるが、彼女の前にふよふよと赤い宝石が進み出てきて、剣撃を受け止める。


 ……この感じ。

 雑魚も面倒くさけりゃボスも面倒なのか。

 魔法剣に水魔法を付与してもう一度斬りかかると、赤い宝石は砕け散った。

 彼女はまた瞑想し、赤い宝石が再生し始める。

 

 隙ができた。

 

 僕は魔法剣に七色の魔法を纏わせ、再び斬りかかる。

 名前はないけど多分レインボーセイバーだ。


 他の宝石が彼女を庇って前に出てくるが、僕のレインボーセイバーは予想通りそれらを砕き彼女をも真っ二つにした。

 


 断末魔を上げることもなく彼女は静かに消えていった。

 あとに残ったのは虹色に輝く魔石と、鈍色の玉だ。



◇◇◇



「静かな、しかし壮絶な戦いは終わりを告げ、二つのレッドラインは結合し、消えていった。かくして、王都の滅亡の危機は誰にも知られることなく消えたのであった」


「ミストラルさん、どうしたんですか、急に」


「いや、出番がなかったのでなんとなく詠ってみただけです。魔石の回収すら必要ないですからね」


 これはミストラルさんの目にハイライトがないパターンだ。

 休ませてあげないと。



「とりあえず、ギルドに戻って報告しましょう。ミストラルさん、今日は僕だけで報告しますから、宿舎まで送りますね」


 ミストラルさんを宿舎に送った後、向かったのはギルド……ではなく、クラウディアさんの家だ。



◇◇◇



「モンスターハウスが発生してボスもいました」


「やはりそうだったのね。ごめんね、クラウス、エルフは人間世界に干渉しないから、例え恩人である貴方にも直接は言えなかったの」


「なるほど。でも助かりました。あのまま放置していたら王都が大変なことになるところでした」


「S級ダンジョンのスタンピードは千年に一度あるかないかだけど、起きてしまえば周辺の国がまとめて滅ぶのよ。この時代はクラウスがいて恵まれてるわね」


「そうでしたか。今回は僕が防いだのでよかったです。ところで、ボスが落としたこの鈍色の玉が何だか分かりますか?」


「これは『賢者の石』ね。超高密度の魔力の塊よ。あまりに高密度なため、物質化しているの。ということは、『七曜の魔女』と戦ったのね。まあまあ強かったでしょ」


「そうですね。攻撃は全て防げたので負ける気はしなかったですが、宝石群が少し厄介でした」


「そう、本体を守る宝石は、相反する属性でないと砕けない。一個ずつ壊してると本体によりほぼ無限に再生される。全属性攻撃か、七つの属性攻撃を一度に行うしかないの」


「とにかく、ありがとうございました」


「ん、まあ気にしないで」


 スッキリしたところで、次はギルドだ。



 いつもお読みいただきありがとうございます!

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