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信一は、「夢」の中で誰かと対峙していた。
神父服を着ているが、顔がよく見えない。
じいちゃん?
私は、正山ではない。正山より、ずっと、お前を見ていたモノだ。そして、かって、お前が仕えていてくれたモノだ。
信一、お前は、本当にコッケイだよ。どうして、彼女に「とにかく会いたい!」と、ただ言わない?何を考えている?
あの時も、そうだ。あれは、冬だった。懺悔室に一人いた御前は、新聞を読みながら(寒いな)と思う。何か着てこよう、と席を立とうとする御前は、北の大地で幼子が雪遊びに行ったまま帰らず、その日の夕方、用水路で遺体で発見された記事が目に入る。
御前は、考えていた。ずっと考えていた。懺悔室で一人、立ち上がることなく寒さに震えて悲しみに震えて考えていた。
そこには、きっと何か意味があるのだ、と。
本当にコッケイだよ、信一。
もうすぐ朝だ、信一。
お前は、目覚めるが、この「夢」のことは一切おぼえていない。
お前は、私から、更に遠ざかって行くだろう。いつしか、お前は、もう私の存在を微塵も感じないだろう。
でも、それでいい。信一、それでも私は、ずっと、お前のことを見ている……見ているぞ、信一!
窓から日差しが、信一の顔に当たり、彼は目を覚ます。顔が汗やヨダレ、涙のようなもので汚れていたが彼は妙に清々しい気分だった。
今日は、日曜。信一は、スマホのラインでエミに、「とにかく会おう!」と送り洗面台に向かった。




