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その後、田原は、バーサーカーバトルフェスにおいて、無理のないペースで戦い、白星を重ねていった。間接技や閉め技を主体として相手に、ほとんど外傷をあたえない戦い方だった。
一方、島田も3戦目以降、白星を重ねていた。田原とは対照的に流血沙汰な展開が多く、打撃系の攻撃を得意としていた。
ある時、町田が家にいると田原が訪ねてきた。田原は、言う。
「島田とのバトルが決定したよ。1カ月後だ」
「そうか……まぁ、入れよ。お前に教えておきたいことがある」
町田は田原を家の中に入れ、リビングで待たせると一台のノートパソコンを持ってきて映像を再生させた。
その時、部屋のドアが開いて町田の妻である幸恵がコーヒーを持って入ってきた。「田原くん、久しぶり!ゆっくりしていってね♪」そう言って机にコーヒーを並べる。お腹が大きく、ゆっくりとした動作だった。田原は、「ありがとう♪幸恵ちゃん、転ばないようにね!」と言い差し出されたコーヒーカップに口をつける。幸恵が部屋から出ていき、田原は、神妙な顔つきでノートパソコンを見る。
島田のバトルの映像だった。
「おまえも、たぶんチェックしていると思うが島田はデビュー戦、2戦目の相手と再戦して、自分が倒された、やり方を、そのまま相手にやり返して勝利を治めている。正気の沙汰じゃない」と町田がいい、
ノートパソコンの映像には、対戦相手をタコ殴りにする、絞め落とす島田の姿が交互に写し出されていた。
田原は、「知ってるよ」と映像を見つめる。
町田は話を続ける。
「よく見てほしいんだが、島田の筋肉のつき方は尋常じゃない。表情のアップを見ると目が黄色く濁って充血している」
「……つまり?」
「島田は、筋肉増強剤、例えばステロイドのようなものに手を出している可能性が大だ。そういったものを使用すると身体はおろか、精神にも異常をきたす恐れがある」
「……」
「この戦い方、ドーピングをほぼ間違いなくしている島田は、かなり危険だ。おまえ、島田と再会し戦うことで、全てを分かちあって最後は抱き合うなんて、結末を安易に考えるなよ」
「…分かったよ」
町田は、ノートパソコンをしまい、もう帰るよ、という田原を玄関まで送る。そして言った。
「俺は、おまえを応援してるし、もちろん、おまえに勝ってほしい」
「ありがとう」田原は一言、そう言って帰っていった。




