~エピローグ~青年は日常へと
目の前で言い争いが聞こえる。
青年が一人二人の少女を前に嘆息している。
青年は二人の少女、銀髪と赤髪の少女を見て言う。
「なぁ……お前らもう少し仲良くできんの?」
「だってね! グレイ! アイシャがグレイを横取りしようとするんだもん!」
「グレイは婚約者。お父様が認めた」
「認めたのは別の意味でしょ!」
勝手に将来を決められても困ると青年――グレイは思う。
そう思うも二人の少女を前にすると何も言えない。
なぜ?
後が怖いからだ。
バンパイアの一件からは既に一月程が経っている。
レイグラントを襲ったバンパイアの一件は何事も無かった様に人の記憶には残っていない。
覆っていた霧が晴れると人が行き交いし出した。
長時間霧の中に身をさらす事で活力を失い皆眠って居たのだとはレイスの言。
何も知らず眠って居たレイグラントの住民達が知っている筈も無く、何事も無かったかのように街は活気を取り戻す。
ただ領主が失踪した、と言う事が上の人間達で問題となり一騒動があった様だがグレイ達が知る術は無い。レイスなら何か知っているだろう。
アイシャはグレイ達と同じ家に住まう事となったが、父親が亡くなり暫くの間気を落とし近寄りがたい雰囲気を発していた。
だが、数日経つと元気を取り戻し。こうしてグレイ達の輪に加わっている。
早すぎるのでは?とグレイはレイスに訪ねたが、女性とは元々気持ちの切り替えが上手な者が多いとの事だ。
アイシャの心が強いと言うのもあるだろうが……
「何でそんなもててるの?ここに色男がいるのにおかしくない?」
「あんたよりグレイの方が良い男だからでしょ」
「な……!」
グラリオとメイアが話し込んでいる。
この場は学園にある庭、
今ではレティ、アイシャ、グラリオ、メイア、この4人が日々グレイに近寄ってくる者だ。
「メイア! まさかグレイを!」
「レティは嫉妬しすぎ」
グレイは4人のやりとりを尻目に見ながら一人ふける。
結局ヴィルハルトが操られていたのかどうかは定かでは無い。
また魔法の中で見た村の事やグレイがただ一人の何かだと言うことも気になっている。
大人になれば村を探しに行こう。
そう思いながらヴィルハルトから託されたアイシャを見る。
アイシャと目が合う。彼女はこちらへ満面の笑みを輝かせる。
その瞳は以前までの悲しげなものとは違う。
あのまま剣を振り下ろさないでよかった。
全てとは行かなかったが目の前には確かなに守りきった光景があるのだから。




