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36. 続 精霊の贈り物

「はい。石の力が使われないように気を付けますね」


「あぁ。ただ、どのような形で力が発動するかは分からない」



 精霊の力を具現化するため、フィオナを加護している精霊と意識を繋いだフリオニールは、精霊の力を凝縮した石と一緒にメッセージを受け取ったのだ。あなたばかりにいい格好をさせるわけにはいかない、と。

 王宮内であれば、精霊の方が力を発揮できるのは確かだが……。フィオナを護るのに自分と争ってどうするのだ、と思わずにはいられない。悪魔と同様、精霊も人には理解し難い性格をしているようだ。



「防御する術が色々あるというだけだ。その石が最善の策を選ぶだろう」


「まるで、生きているみたいですね。……大事にします」



 胸元でネックレスを握りしめたフィオナが嬉しそうに笑う。自分だけに向けられた笑顔には、何とも言えない美しさが伴っている。

 上気した頬がピンク色に染まり、アメジスト色の瞳と相まって艶やかな美しさだ。


(……。なるほど。この顔が見たいと考えているのか)



 初めて女性に何かを贈ったフリオニールは、目当ての女性に高価なプレゼントを贈り続ける男性たちの気持ちが、少しだけ分かる気がした。


 精霊の加護を石にした貴重な魔道具は、力を具現化したことで直ぐに守りの効果が現れる凄い物だが、プレゼントとして贈った物ではない。あくまでも護身のための道具。そのことを残念に思う。


(いつか贈りたいものだな……)


 ウォルスを楽しげに撫でる様子を見ながら「フィオナの苦手な物は何だろう」と興味を持った。今は「好きな物は何だろう」と考えている。恋とは不思議なものだ……。


 フィオナが恥ずかしそうに視線を逸らす。その仕草で、自分がずっと見つめていたことに気付いた。すまないと声をかけ、薬草園に視線を向ける。



「……あの、私もお知らせすることがあるのです。ギードの森に入れる理由を兄に聞いてみたのですが、知らないそうです。お力になれなくて申し訳ありません」


「そうか、ウィルフレッドも知らないのか……。建国の歴史にまつわる逸話は謎だらけだ。俺も勉強しないといけないな」



 アルディ家を継ぐ者にだけ知らされていると、昨夜ウィルフレッドから聞いている。律儀に覚えていてくれたフィオナには、ありがとうとだけ返す。



「明日からは油断するな。気になることがあれば直ぐに俺に相談するんだぞ」


「……兄も同じ事を言ってました。……覚悟しておきます」


 そう言って微笑むフィオナは悲しそうにも見え、フィオナが言う「覚悟」の意味を伝えてくる。フリオニールはフィオナの腕を掴み、真面目な表情で告げた。



「お前が傷つくことで悲しむ者が大勢いる。覚悟なんてするな……。俺を心配させないでくれ!」

 焦燥感に駆られ、思わずフィオナを引き寄せそうになった。


(フリオニール! 今はその時ではない)


「なっ!」


 ウォルスの声が頭の中で響く。制止されなかったらきっと、フィオナを抱き締めていたに違いない。


(……その時ではないって、一体どういうことだ?)


「ワオンッ、ワフッ!」


 ウォルスの声がした方を見る。すると、父のオーウェンがこちらに向かって来るのが見えた。

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