第30話 刺客と闇市
─前回から20分経過。
「色々大変じゃなぁ。」
「ごめんなさい・・・玄関破壊しちゃいました。」
粉微塵になった扉の残骸を見る。
「勝利の過程で壊さざる得ないのなら仕方が無いことじゃ、気にするな。」
(ワシの若い頃は家の一つや二つ木っ端微塵にしていたしのぉ。)
神子お婆さんは産まれも育ちも裏の世界であるため常識が通常と異なる。
「話は追々家に入るとしよう刺客共は昼間のうちは村の者も目を光らせておる。」
─現地時刻八時。
「全くワシも有名になったものだ。」
「蘇我さんが狙われている理由ってなんなんですか?」
「主にワシの能力、もしくは恨み事か。今回は前者じゃろう。生け捕りしようとする動きが見て伺える。」
「能力の利用か・・・。」
蘇我 神子の能力、「百人一瞬」。簡単に言えば生命体の魂に干渉することが可能な能力。名前の由来は若い頃に能力を用い百人の盗賊を一瞬にして制圧した伝説が元となっている。
「お主は気にせず依頼を全うすれば良いのじゃ。」
─場面は千瞳達に移る。八時五分。弔来村公園。
「ガハァー!!」
「これで二人目。こいつは人喰い陰陽師って輩ですね。札には触れないように食われますよ。」
「「「はい!」」」
別の場所で千瞳は村の人達と協力して刺客の相手をしていた。
「千瞳君前より強くなったんじゃない?崇城君に触発された?」
「そうかもしれないですね。崇城・・・少し違和感がありますけど。あの成長速度を見ると負けられないって感じます。」
「真奈ちゃんにもそういう関係があればもっと成長すると思うんだけどな・・・。」
ピピ・・・
「先生。村の北側に不審者の痕跡アリとのことです。」
「わかった先向かってて。」
(現時点で問題が山ずみだ。弔来村は再現された広い街の一部を利用しているから全ては警戒しきれない。敵の接近を許してしまったし、この騒動に便乗して襲撃してくる連中も出てくるかもしれない・・・。)
「デバーノが根回ししていると思うけど・・・ん?!」
背後からぬったりとした違和感が襲う。
(強者の予感?!一瞬だけど強烈な氣だった・・・。最悪かも、、これ程までの人員と刺客の質からみて、闇市が計画したことかも!)
「崇城君ッ!」
─崇城の視点に戻る。
現在地、お婆さんの家。
「まだまだ時間がある。少し着いてきなさい、渡しておく物がある。」
お婆さんはそう言うと二階の物置部屋へと向かう。
「これはこれは大昔にワシが使っていた武器じゃ。」
お婆さんは物置部屋から包みを取り出す。
「妖刀『蝶紋』、依頼報酬じゃ。デバーノとの話で一旦お主に託すことにした。」
「デバーノは何を企んでるか知らんが。この刀は妖刀じゃから気をつけるんじゃぞ。」
「凄い!力が染み込んでくるッ!」
「うむ、妖刀じゃからな今は持たない方が良さそうじゃな。保管用の遺物に包んではいるが思ったより強力じゃのう。」
お婆さんは多くの遺物を保有している。刺客にはお婆さんを狙う者と他に貴重な遺物を狙う者もいる。依頼報酬の妖刀は一部で伝説として語り継がれている。
「他の遺物はどうするんですか?安全な場所に保管した方がいいんじゃ?」
「遺物なんて所詮置物に過ぎん、くれてやるさ。この刀さえ無事ならのぉ。」
「この物置に置いてある遺物は全て実用的じゃが面倒な力をもつ。」
お婆さんが物置から適当に遺物を取り出す。
「この遺物は印をつけた場所に広範囲の瞬間移動ができる代物。ただし使用者の氣を大幅に消耗する。」
「今なら使えそう。」
「ふっ、こんなものばかりじゃ。ワシも歳じゃこれだけあればいくら盗られたってどうとも思わん。」
長く生き集まった遺物。崇城は一つ一つの遺物に思い出があると感じつつもお婆さんの考えを汲み取る。手放したとしても思い出は自分に残る。
フワアァァ
物置部屋のカーテンがゆらりとなびく。風は通っていない。
ガタガタ
小物が小刻みに震える、家が揺れている訳ではない。
・・・
崇城は強烈な違和感を抱く。お婆さんは違和感の中気づく、姿は見えなくとも既に部屋に人が居ると。
To Be Continued




