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神々の箱庭  作者: 星奈
第三章 天界での出来事
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第57話 機嫌or不機嫌

 ラファエルと人間界に行って茜と再会した蒼は天界に帰ってきていた。

 その次の日早速、行動に移していた。


 「機嫌がいいね、蒼。」


 「お姉ちゃんにあったからね。」


 ジブリールが言うように蒼は機嫌がよかった。

 ミカエルと会ってもいいと思えるぐらいには・・・

 蒼は初めて天界に来た時にミカエルと会って以来、一度もミカエルと顔を合わさなかった。

 今はジブリールと一緒にミカエルの居る場所に向かっていた。

 ラファエルに四大天使を全員集めさせたのだ。

 それにプラスして興味のあるやつが何人か来るらしい。

 蒼の噂は天界中に広がっていた――――神(クロア)が新たな熾天使を連れてきた――――と。

 もう隠す必要もないので蒼は六枚の羽を広げ一気に飛ぶ。

 それでも残り二枚の羽は隠しているのだが・・・


 「蒼様、お待ちしておりました。」


 「うん。ラファエルも皆を集めてくれてありがと。助かったよ。」


 「貴様、何様のつもりだ。ラファエル様を顎で使って、殺されたいのか!!」


 一人の男が叫んだ。

 蒼はチラリとそちらを見てそれから興味を失くしたようにラファエルやジブリールと話し出した。


 「貴様!!無視するんじゃねぇ!!」


 その男が蒼に向かって突っ込んできた。蒼は軽くそれを躱し、


 「僕に傷もつけられない分際で、死にたいの?」


 その言葉で他の周りの天使たちも襲い掛かってきた。

 四大天使以外にも一人だけ動いていないやつがいた。

 来ないなら気にしないだけだが・・・


 「大天使をなめるなよ。小僧が。」


 「応よ。ひねり殺してくれるわ。」


 「大天使ごときが僕を、不可能だよ。・・・ラファエル止めないでね。」


 心配そうに天使たちを見ていたラファエルに先に命令しておく。


 「分かりました。」


 ミカエルもウリエルも何も言わない、ジブリールは楽しそうだ。

 蒼は天使たちの攻撃を躱しながら考える。


 (さて、どうしようか?殺すのは、つまらないし・・・・うん?)


 考え事をしているとふと視線が気になった。

 他の天使と違って最初から攻撃に参加していないと思っていた天使がこちらを見ていた。

 蒼は悪戯を思いついたようににやりと笑った。

 一瞬でトップスピードをだし消えた。

 周りの天使もそのスピードに追い付けず蒼を見失った。








 「何で効かないんだ?」


 男が驚きで呟いた途端、何もいなかったはずの男の後ろから声が返った来た。


 「何が効かないの?」


 「は?」


 男が振り返ると蒼が笑ってそこに立っていた。


 「貴方がサリエルでしょ?邪眼の始祖であり月の支配権を持つ。」


 「どうして・・・」


 「どうして効かないのかと言う意味ならそれが僕の運命(呪い)だからだよ。それとも、どうして名前をかな?」


 蒼はクスクスと笑っている。

 だが、サリエルの心情はかなり驚いていた。

 蒼が言った邪眼、これは視るだけで相手を死に至らしめる物である。

 その目でかなりの時間視ていたというのに蒼は弱る気配さえなかった。


 「いたぞ、あそこだ。」


 サリエルが必死で頭を動かそうとしているところに大きな声が聞こえた。

 サリエル以外の蒼を相手にしていた大天使たちだ。


 「・・・また、後でね。」


 蒼は舌打ちして、天使に向かって飛んでいった。


 「サリエル。」


 サリエルが呆然と蒼の背中を見ていると尊敬する人の自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。


 「ラファエル様。」


 「あの方には逆らわない方がいいよ。蒼様は我らの主だからね。」


 「・・・神と言うことですか?」


 「そういうことだよ。あ、これは秘密だよ。口止めされてるから。」


 空ではまだ戦いが続いている。

 天使たちが攻撃をし、蒼が躱す、この繰り返しだ。

 大天使たちはかなりの人数なのに対して蒼は1人だ。

 それにもかかわらず大天使の方は疲れが見えてきていて蒼はまだ余裕がかなり残っていた。


 「大天使があれだけ集まっても手も足も出てないね。」


 「当たり前だ。あいつは俺を倒したんだぞ。」


 ジブリールとウリエルはそれを見てるが楽しそうだ。

 その反対で蒼はそろそろ飽きてきていた。


 「クロア、結界張って!!」


 「やらやれ、人使い、いや神使いが荒いね。」


 「煩い、変態。」


 クロアが面倒くさそうにしながらも結界を展開した。

 それを確認した蒼は最大限の笑顔で思いっきり挑発した。


 「捻り潰してくれるんじゃなかったの?大天使様。」


 「ちまちまと逃げ回るんじゃねぇ。」

 

 かなりの時間同じことを繰り返しているためか大天使たちの怒りはすでにマックスだった。

 

 「ん~、じゃあ、動かないでいてあげるから殺してみなよ。何ならミカエルたちも交じってもいいよ。」


 「ミカエル様が出るまでもねぇ。殺してやる。」


 剣を抜いた男が飛びかかった来た。

 それに続いて他の天使たちも剣を抜き襲い掛かってくる。

 蒼は宣言した通り、全く動かず、目を閉じ命令した。


 『止まれ、そしてし―———』


 襲い掛かってきた奴らは全員動きを止め、蒼が続けて命令しようとしたところで声がかかった。


 「そこまでにしてやってくれ。そんなんでも私の家族だ。」


 ミカエルのその言葉に蒼の機嫌は急降下した。

 それと同時に哀しさも覚えていたが、それは心の奥隅に封じ込めた。


 「・・・家族ね。僕の家族を奪おうとした貴方がそんな事を言えるの?」


 ミカエルを蒼は睨む。


 「・・・ま、いいけど。」


 何も言ってこないミカエルに飽きたのか、蒼はすんなりと大天使たちの拘束を解いた。


 『動け。』


 蒼はそれだけ命じるとクロアたちの居る建物へと向かった。


 「どうなったんだ?俺ら。」


 天使たちは何が起こったのか分からないというように不思議そうな顔をしてい

る。


 「お前たちの負けだ。」


 「ミカエル様・・・」


 あのままでは自分たちは敗北していたこと、そしてミカエルにそれを助けられたということはそこにいる大天使全員が理解した。


 「お前たちはもう今日は帰れ。」


 「分かりました。」


 さっきまで蒼と戦っていた天使たちは帰っていった。

 椅子に座った蒼は不機嫌だ。

 蒼の機嫌を直す術をここにいる誰も持ちえていない。

 そして、その方法を知っているラファエルとジブリールは諦めるしか出来なかった。


 「あ~あ、折角蒼の機嫌がよかったのにミカエルのせいで・・・」


 「あれは無いな。」


 「あの言葉はいけないね。」


 三者三様の言葉を並べたが、ジブリール、ウリエル、ラファエルは同じ考えのようだった。



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