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神々の箱庭  作者: 星奈
第三章 天界での出来事
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第56話 手紙

 茜たちが自身のルーツについて話していた時、突然異変が起こった。


 「皆さん、何者かがこちらに来ます。茜たち以外は姿を隠してください。」


 茜に着いてきていたラプラスが突然みんなの前に出てきて言い放った。

 その言葉に驚きはしたものの、数秒で茜たち以外は姿が見えなくなった。

 その後すぐに、少し離れた場所から近づいてくる足音が聞こえた。 

 茜たちの前に出てきたのは蒼よりも小さな女の子だった。

 少女はキョロキョロと周りを見渡し、茜たちに気づくと駆け寄ってきた。


 「おねえちゃん、おにいちゃん。むこうでおんなのひとがこれをわたしてって。」


 そう言ってその女の子は茜に一枚の手紙を渡した。

 手紙は便箋に入っているが表にも裏にも差出人や宛名は書かれていなかった。


 「これは?」


 「う~んと、とってもたいせつなことがかいてるんだって。」


 「大切なこと?」


 「うん。そういってたよ。」


 「貴方はどこに住んでるの?」


 「え~と、このもりのちかくにあるむら。」


 女の子が指したのは茜たちが人間界にいたころに住んでいた村がある方だった。 その村はウリエルの神の炎によって燃やされなくなっている。 


 「そう、手紙を届けてくれてありがとう。」


 蒼が女の子の頭を撫でると女の子は嬉しそうにして来た道を戻っていった。

 女の子が見えなくなった後ルシファーたちも姿を現した。


 「何を貰ったんだ?」


 「手紙?」


 もらった手紙をみんなの前に出す。

 手紙は便箋に入っていたので便箋から出して内容が見えるように広げると、

 








『拝啓 茜様、蒼様

 私は精霊界の王の一人、シルフと申します。精霊界を代表して書かせていただきました。この度お二方が神として目覚めたこと、大変嬉しく思います。そこで、我々、精霊界の王四人から心ばかりの贈り物です。あなた達の霊格の在り方を記させていただきました。

【一対の特別な神.死は運命の外にあり.己が心が為す儘に.世界を破壊し創造する.】

 四人の王から一言ずつあなた達に言霊を送ります。今のあなた達ならこの意味が分かるでしょう。

                                     敬具 風の王シルフ』









 手紙には挨拶と4つの言葉が書かれていた。

 精霊王たちから送られた言霊は茜と蒼の霊格が定義されていた。


 「あの子供は何者でしょう?」


 ラプラスが考え込むように首を傾げている。


 「お前でも分からなかったのか。」


 ルシファーが不思議そうにラプラスを見ていた。

 ラプラスの疑問に答えたのは茜だった。


 「あの子は私たちと同じあの村の掟で生贄になった子供だよ。」


 「生贄?」


 「天界と魔界の戦いに巻き込まれませんようにって神に生贄と言う名の人柱を捧げるっていう馬鹿な掟。その掟で死んだ子供がその土地に縛られているんだろうね。」


 蒼の言葉に全員が理解した。

 天界と魔界の戦い、それが今のような状況を作り出したのだと。

 そしてそれが原因で人間たちは生贄(さつりく)を始めたのだと。

 その結果が先ほどの少女だろう。


 「地縛霊ということか。」


 「ほとんどの奴はウリエルによって浄化されたみたいだけどね。」


 神の炎によって浄化されたが一部残った残滓が集まり、それを精霊は利用して一人の女の子を作り上げたのだろう。

 浄化された後だから思念もなく、集合体の為ラプラスも情報を読み取れなかったのだ。

 

 「蒼様、そろそろ帰られないとガブリエルあたりが文句を行ってきますよ。」


 「・・・分かった。じゃあ、お姉ちゃんまた1週間後に会おうね。」


 「うん。」


 蒼とラファエルは6枚の翼を広げ、飛び立った。

 茜、ルシファー、ベリアルも翼を広げ、蒼たちとは反対の方向に向かって飛び始めた。

 誰もいなくなった場所で自然が騒いでいた。


 『あいつらが王か。力は確かにあるようだが・・・まだ幼いな。』


 『仕方がありませんよ、地の王ノーム』


 『だな。だがあいつらが最後の希望そしてこれからの世の王であることは間違い

ない。それが我らが出した結論だ。』


 『その通りです。あの子たちに与えられた運命、しかと見届けなければなりません。』


 男の声と女の声、どちらも姿は見えない。

 声だけがその場に響いている。

 風が吹き抜け、二つの声も全く聞こえなくなった。



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