第55話 2人のルーツ
ルシファーが墓の方に言ってから茜と蒼は最近の話をしていた。
「ねぇ、蒼。封印解いてもらったんだよね。私のも解ける?」
「よく分かったね。これでも一応封印しているんだけど。やっぱりお姉ちゃんに隠し事は出来ないよね。」
蒼が茜に向かって手を伸ばしたが、蒼と茜の身長さでは手が届くかどうか微妙なところだった。
蒼の意図に気づいた茜は膝を折り傅くような姿勢になった。
「・・・何をするつもりだ?」
それまでやる気なさそうにしていたベリアルも異変に気づき、緊張をあらわにした。
「ベリアルはそこで見ていて。」
茜がベリアルが何かしでかさないように先に釘を刺す。
「じゃあ、行くよ。」
茜が頷いたのを確認し、蒼の手が再び茜の額に延び、触れた。
そして、触れた場所から次第に眩いほどの光が広がった。
光はすぐに収まり、元の状況に戻った。
「これで、終わり。これは、ゼウスから貰った封印の石。一時的に力を封印することが出来るよ。魔界だと必要でしょ?」
石が無くても力を制御できれば何の問題もないけれど最初からそれは出来なかった。
その証拠に茜の目の色は紅色から金色に変わっていた。
「ありがとう。」
蒼が首から外した赤色の石が入ったお守りを茜は受け取り、首にかけた。
目の色もいつも通りの色へと戻っていった。
「・・・マスター、やっぱり神だったんだな。」
「マスター?」
「うん。隷属させたんだ。・・・・」
信じてもらいたいのに信じて貰えないことは悲しいことだ。
茜の顔を見て、蒼は自分が如何すればいいかを理解した。
「お姉ちゃんは嘘をつかないよ、絶対に。それはあなたも分かっているんでしょ、虚飾の王?」
そう、茜は一度も嘘をついていない。
話ていないことはあっても話したことは全て真実なのだ。
蒼と違ってわざと真実を一部隠し、惑わしたり、騙したりするよりも、論理的にその場の流れを自分のものとすることを得意とする。
付き合いのそれほど長くないベリアルも茜が嘘をつかないことは分かっている。
あの時も茜は「まだ、神じゃない。」と言っていた。
「こいつはただ茜を心配してるだけだ。」
いつの間にかルシファーが近づいてきていて、茜の頭を撫でた。
その行動を離れたところで見ていたラファエルは驚いていた、そしてそれと共に先ほどの蒼の『ルシファーが、神を護ったら?』という言葉の意味を理解した。
「心配?あ~、また増えたんだお姉ちゃんを気に入ったやつ。」
蒼は呆れたようにつぶやいた。
それが聞こえたルシファーが聞き返した。
「また?他に誰がいるんだ?」
「そりゃ、クロアとかオーディンとかクロアとかクロアとか・・・・」
「お前にとってのクロアがどんな奴か分かるな。」
今度はルシファーが呆れている。
茜は自分のことばかり言う蒼に言い返した。
「蒼だってオーディンには気に入られてるよ。ジブリールとかロキあたりにも。」
「・・・どんだけ人脈が広いんだよ、お前ら。」
ベリアルの言葉に茜も蒼も苦笑した。
自分たちでもそれは思っていたからだ。
「ギリシャはルーツだから仕方がない。」
「他のオーディンとかトトとかクロア、ジブリールはバベルの塔で、ロキとか
トールは何故かよく道端で会ったからね。」
茜と蒼はこの巡り合わせは運命だとも感じていたし、仕方がないとも思っていた。
「ギリシャがルーツってどういうことだ?」
茜も蒼もゼウスの願いで天界や魔界に来たことは話したけれどそれ以上のことは話していなかった。
「・・・話してもいいよね?」
「うん、いいと思うよ。」
茜は一応、蒼に確認し自身らのルーツ、ゼウスのことを話した。
「私たちの祖父はギリシャのゼウス。神々と人間の支配者。」
それを聞いた三人ともが驚いていたが、最初にそこから抜け出したのはルシファーだった。
「・・・あの、ゼウスか?」
「うん。天空の支配者、神々の王、雷の神。」
蒼は頷いて、ゼウスの異名を並べていく。
呆気にとられていたベリアルもいつの間にか復帰していた。
「あの神鳴りはそういうことか。」
ベリアルは茜と戦った時の神鳴りを思い出したのだろう。




