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神々の箱庭  作者: 星奈
第三章 天界での出来事
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第52話 vsウリエル

 クロアの力でさっきまでいた塔に戻ってきた蒼たちは許可をもらい中に入った。

 さっきと違って飛んでいくというようなことはせず、一番下にある入り口から中に入った。

 中は広い空間となっていて、他に天使たちはいなかった。

 蒼とクロアは目線で合図をして、蒼は六枚の羽を出した。


 「「「!?」」」


 そこにいた三人の熾天使は驚きの声を漏らした。

 ウリエルとラファエルはその存在の在りえなさに、ジブリールは蒼が六枚しか羽を出さなかったことに。

 ただ、ジブリールはそのことを他の熾天使に伝えることが出来ない。

 なぜならば余計なことは言わないでと言う約束があったからだ。

 しばらく考え込んでいたラファエルは一つの答えに辿り着いた。


 「・・・貴方の親はミカエルですか?」


 「うん。・・・あ、そうだ。今から僕と勝負しよう。僕が勝ったら何でもお願いを一つ聞いてもらう。ラファエル様やウリエル様が勝ったら僕をどうしてもいい

よ。下僕のように扱おうが、殺そうが、ミカエル様のもとに連れて行こうが好きにしていいよ。」


 「蒼、何をするつもり?」


 訝しむようなジブリールの視線を気にせず蒼は飄々と答える。


 「さぁ、何でしょう?ジブリールもやる?ジブリールが勝てばあの約束の解除で

もいいよ。」


 約束の解除、それを聞いた時ジブリールの肩が一瞬揺れた。


 「分かった。二人もいいよね?」


 ジブリールにラファエルもウリエルも頷き返す。


 「クロア、ここを壊したらやばいからあの時のように異界を作れる?」


 「ふふ、仰せのままに。」


 クロアの冗談交じりの言葉と共に世界が構築された。

 バベルの塔の時と同じ空のない天地が陸続きとなった球体の世界。

 ただ、その風景だけが違った。


 「ここは、僕たちが住んでいた村?」


 「その通り。ただ、この風景はもう存在しない。そこに居る者が焼き払ってしまったからね。」


 スッとクロアがウリエルを指して言う。

 蒼もそれを追ってウリエルの方を見た。

 蒼にとって村自体に思い出はほとんどないに等しいがそこには茜と一緒に暮らした家があった。


 「へぇ、それはお礼を言わないと、ねっ。」


 地に足をついている蒼と違って熾天使の三人は空を飛んでいた。

 蒼は地を蹴りつけ、一気にウリエルとの距離を詰めた。

 そして、ウリエルの前で急停止し、蹴りを繰り出す。

 ウリエルは数メートル後ろに飛ばされたが蹴り自体は鞘に入れたままの剣で受け止めた。


 「そうだ、まだ決めてなかった。三対一でやる?一対一でやる?」


 「・・・おもしろい。俺は一対一でやる。手を出すなよ、ラファエル、ガブリエル。」


 蒼の挑発にウリエルは速攻で乗った。

 ジブリールもラファエルも呆れた顔でそれを見ている。


 「またいつもの悪い癖が出てるよ。」


 「小僧、俺はお前を負かして、一生こき使ってやる。」


 「出来るといいね。本気で来ないと負けるよ?」


 蒼は目を細めた。

 その反対にウリエルは余裕があるのか口角を上げている。


 「嘗めるな、小僧が!!」


 ウリエルは鞘から剣を抜いた。

 その剣は炎を纏っていた。

 六枚の羽を大きく使い、一気に加速し、蒼を捕らえると剣を振りぬいた。

 蒼は剣が迫ってくる中、避ける素振りを一切しない。

 目の前に剣が来たとき右手を出して受け止めた。

 ウリエルの目が驚きに染まる。そして、そのまま剣を掴み地に叩き付けるように放り投げる。

 そのまま下に落ちていくウリエルを追いかけ空中で踵落としの要領で蹴り下ろす。

 ウリエルは体勢を崩したまま蹴りを受け、そのまま地に衝突した。

 

「これが、神の炎か。これなら大丈夫そうだ。」


 蒼は地面に落ちたウリエルを追いかけた。

 土煙が立つ中炎を纏う剣を目印に探し出し、剣を奪い突きつけた。

 土煙がはれ、決着がついた。


 「ここまでかな。」


 蒼は剣をウリエルから離し、ウリエルに剣を返した。


 「・・・俺が、負け・・・」


 「そ、餓鬼だって嘗めてかかった上に力を過信しすぎだね。」


 「・・・何故、神の炎が聞かなかった。」


 「さぁ、何故でしょう?当てられたら教えてあげる。」


 言外に教えるつもりはないと言い放ち、蒼はウリエルから視線を外し、空中を見上げる。

 そこには今の試合を見て驚いているジブリールとラファエルがいる。


 「次は、どうする?」


 「僕はやめておくよ。もともと戦いは向いていないからね。それに、・・・いや。まぁ、だから、あなたの願いを一つ聞く、それでどうかな?」


 「いいよ。僕も戦いが好きなわけではないし。ジブリールはどうする?」


 「蒼、確か誰かを相手に戦うのってこれで二回目だよね?」


 蒼は頷く。

 ジブリールが言っているのは茜と蒼がバベルの塔でオーディンと戦った時だ。


 「あの時はここまで力がなかったよね。一撃当てたのも茜の方だったし。」


 「それは、あの時は羽が二枚しかなかったしね。」


 「・・・何時、羽が増えたの?」


 「ついさっきだよ。見てたよね。僕がミカエル様と握手したの。あの時だよ。気づかなかった?」


 力を解放するためにクロアやジブリールは茜と蒼を魔界や天界と連れまわしているのだから力が増すのは当然だ。

 だが、ものには限度と言うものがある。


 「・・・はぁ、もういいよ。どうやっても蒼には勝てそうにないし。」


 「じゃあ、この勝負はここでおしまいと。クロア、ありがとう。」


 「どういたしまして。それじゃあ、少しぐらい話してあげてもいいんじゃないかな?」


 「うん、分かった。ジブリール、さっきのミカエル様との話は話してもいいよ。」


 「めんどくさいから押し付けているだけなんじゃ・・・」


 「いやなら、僕が話すよ。そろそろ誰かに話したいかなと思って振ったんだけど。」


 「・・・話すよ。」


 ジブリールはポツポツと話し出した。

 バベルの塔でミカエルが蒼の父だということを知ったこと、そしてそのすぐ後にミカエルにその話を噂として教えたことを話した。


 「それでついさっき、蒼をミカエルの所に連れて行った。そこで分かったことは、・・・これ、蒼が話した方がよくない?」


 そこまで言ってジブリールは言いたくなくなったのだろう。


 「いいよ。ここからは僕が話す。ミカエルは僕の母を無理やり奪った。その理由

は、本人曰く、ルシファーに心を許した母が許せなかっただって。僕の母はね、その何年か前にルシファーとの子供を生んでいたんだ。そして、ミカエルは母を奪うだけでなく、ルシファーの子を、姉を殺そうとした。もっとも、その時に姉が力を暴走させ、殺しきれなかったようだけどね。」


 「「・・・・・・・・」」


 あのミカエルがそんな事をしていたとは思わなかったのだろう。

 二人とも何も言えないでいた。

 そこにジブリールがさらに爆弾を落とした。


 「ラファエル、ウリエル。ちなみに言うと、蒼の羽は六枚じゃないよ。」


 「・・・・」


 「は!?」


 ラファエルは特に反応せず、先ほど闘ったウリエルはあれが本気ではないと言われ驚いていた。


 「そうだよ。これは僕の本来の姿じゃない。」  


 そう言って蒼は残り二枚の羽、計八枚の羽を広げた。


 「やはり・・・」


 ポツリとラファエルが何か言ったが聞こえなかった。


 「それじゃあ、またね。しばらくは天界にるから。クロア、ラプラス、それにジ

ブリールも帰ろう。」


 蒼はラファエルとウリエルに手を振って、塔を後にした。



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