第51話 2人の熾天使
ミカエルを説得して、あの塔を降りた蒼とクロア、ラプラス、ジブリールの四人は何をするでもなく、歩いていた。
「クロア、目立ってるね。」
「うん?・・・あぁ、これでも神霊だからね。」
そう、非常に目立っていた。
クロアもジブリールももう慣れているのか気にしていなかったが鬱陶しいほどの視線がこちらに向いているのだ。
熾天使の一人であるジブリールが近くにいることだけでなくクロアの神格に引き付けられるように他の天使たちがこっちを見ている。
「君がその封印を解けばもっと目立つと思うがね。」
クロアが蒼の胸元を見ながら笑う。
それに対して蒼も苦笑いで返した。
「これからどうするんだい?」
蒼はやることを天界に来たこの少しの時間でやり終えてしまっていた。
あと、一か月の間に出来ることと言えばできるだけ多く、味方をつけることだが・・・
「・・・他の熾天使たちにでも会って喧嘩を売ってこようか?」
冗談交じりで蒼が言ったのをクロアは面白いものを見つけたように笑う。
「ははは!丁度その相手が現れたようだ。」
クロアの視線が向いている空中に目を向けると六枚の羽を持つ天使が二人こちらに向かった飛んできていた。
先ほどまでクロアを見ていた周りの天使も今はその二人の方に視線を向けていた。
「ラファエル、ウリエル。」
ジブリールの呟きとともに、クロアの前に降り立った。
1人は柔らかい雰囲気の男でもう一人は少し気性が激しそうな男だが2人は丁寧な所作で腰を折った。
「申し訳ありません、ゲーデ様。お迎えも挨拶もせずに――――」
「問題ないよ。ガブリエルもいたし、それに何より今回はただの付き添いだからね。」
クロアがポンッと蒼の頭に手をのせた。
「・・・付き添いですか?」
不思議そうな顔でその天使の視線がちらっとこちらに向く。
「この子は蒼。ある天使と人間の間に生まれた子供だよ。」
クロアばかり見ていた2人に対してえ、やっとこちらに気づいたと言うばかりに嬉しそうにジブリールは蒼を紹介した。
「ハーフ?いや、それにしては・・・」
もう一人の天使が何かに気づいたように考えこんでいる。
「正体を明かしてはどうだね?」
それを見たクロアは何が楽しいのかニヤニヤと口元が笑っていた。
「他の天使がいなかったらいいよ。」
それに対して蒼は少し苦笑しながらも肩を落とし、一つ頷いた。
「君たち、何処か人目につかない場所を用意できないかい?」
男は不思議そうな顔で見ていたが神に言われたことなので素直にその場所を教えた。
「?それでしたら先ほど出てきたあの場所なら我々の許可がない者は入れませんが・・・」
「なら、そこでいいだろう。」
クロアは一つ頷くと、影を操りった。
もともと影がほとんどなかった場所にかなり大きい影が出来上がり五人は一瞬で元居た場所に戻っていた。




